第三十六話 ノアの箱舟
「オ~キ~ロ~お~に~い~ちゃ~ん~!」
? 誰かに起こされようとして
「お~き~て~、起きないともれなくJKのアサダイが最初のプレゼントとなるよ~!」
? アサ……だい? アサダイってなんだ?
トントントンと足音がした、何だか本能的に危機を感じた智也はパッと目を開き、布団をめくり起き上がろうとしたが、時はすでに遅し、智也の肉体の上方約50cm。明美が智也に向かっておちようとしている。というか落ちている
「ウっ、お、重い」
「女の子に対して思いは少し失礼だと思います!」
「まて、考え方を変えよう、40kgの物体があるとする、それが0.5メートル高さで落ちてくる。無防備だとなかなかの衝撃だぞ」
「私、そんなに軽くないよ?」
「むしろそっちの方が大変じゃないですかね!」
「まあ、まあ、目もばっちり覚めたみたいだし結果オーライ! さ! 起きて! 出かけよ」
「頼む、寝させてくれ」
「もう起きたじゃん!」
「はぁ~、誕生日プレゼントとかいらないから、寝させて」
「ほんとにいいの~?」
「ん? なんだ?」
「ふっふっふ~」
「これは起きておいて損はなさそうだ」
「さっ、出かけよ。今日はお兄ちゃんの行きたいところに行こ」
「それはそうと、明美、どうやって俺の部屋に入ってきた?」
「? お兄ちゃんの部屋なんてこれ二本あれば十分」
「ほほう、ヘアピン二本でピッキングして入ってきたと」
「うん!」
(部屋の鍵、もっといいものに変えるか、それに、これはまだ見つかってないみたいだし)
「わが部屋への不法侵入は多めに見ておこう、何か変なものは見てないよな」
「変なものって、もしかして……エッチな本?」
「フッ、持ってたとしてもそんな危険物を妹に見つかるところに置くと思うか?」
「へ~、持ってるんだ~」
「たとえ持っていたとしても素直に妹に言う男がどこにいる」
「それもそうね」
「さっ、出かけるか」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ここは、いいのか? お前の小遣いでこれは高いだろ」
「年に一度の兄の誕生日なんだから、その代わり、私の時もよろしくね!」
「ああ! 任せとけ!」
妹と一緒に来た場所は、最新のSR施設(VR、ARに次ぐさらに次世代の技術、anris社が開発した東京湾上に浮かぶ一キロ四方高さ200メートルの巨大な密封された施設。ノアの箱舟という名前になっている。利用料は一人(25000円/時間)
「明美、5万円もどこから」
「半分は今まで貯めてたぶんです。私も一度くらいは遊んでみたかったし、あとはこっそりバイトして貯めました! 遠慮なく一緒に遊ぼ! むしろほかのお坊ちゃんたちを倒しましょ!」
「ああ、お前の誕生日の日にはもっといいプレゼントを用意しておくよ」
「うん! 楽しみにしとく」
「それじゃー、始めるか」
今回使うのは500メートル四方の敷地で場所としては東京駅を再現している。施設内のすべての地面は可動式で地面がゲームに合わせて建物を地中から押し出すようになっている。
「まるでエ〇ァみたいだな」
「多分料金のほとんどは電気代みたいだね」
明美と智也、そして、金持ちの家のお坊ちゃんが二人、自称サバゲーマーと名乗る男性が一人この五人体制で生体兵器を相手に東京駅を目指すゲームとなっている。
建物はすべて実物の機械を使用し、生体兵器はARを使われている。
目的地は東京駅中央線八王子行きのホームに止まっている新幹線。1時間内で生きてそこにたどり着くのがこのゲームのクリア。支給される武器は日本刀一つ、ナイフ一つ、15発装填できる銃が一つ、それに対応した弾薬が45発、アサルトライフルが一つ、弾は90発あとは手榴弾が二つ。全員にこの装備がデータとして入っている。
「みんな見てる~! 俺たち二人でこのゲームをクリアしてやるぜ!」
この施設には大きなスクリーンがありプレイヤーたちの様子がそのモニターに映し出されている。
「どうやらあそこのお坊ちゃんは観客席にチアガールでも読んでるみたいだな」
「ああん? てめ―なんか文句でもあんのか、おっ、ずいぶん可愛い娘連れてるじゃね~か。おまえの女か? こっち来てお兄さんたちと一緒に遊ぼうぜ、そんないろいろと小さそうな奴なんてほっといてさ~」
パシッ
思いっきり明美に向けて伸びていた手を力ずよく払った。
「イッテ、何しやがる、チッ、俺がクリアするまで外で待っとけ」
「カッコ悪い所見せたくなかったら、あまりお勧めしないよ」
ゲーム開始へのカウントダウンが始まった
3 2 1
新章開幕です! 今回はまたどんな経験をするのかご期待を!
次回の予定は17日です!