外伝:ホア→ローズ
「少し前の話をしましょう、私が今、ここにいられるようになった二人の優しい人との出会いの話を」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「これからお前の父親になる男だ」
そう話しているのはバルタザールといういかついが本当は優しい大男。その男がホアに一枚の写真を見せて
「中国系三世のアメリカ人、輸出業をしているつい最近娘と奥さんを交通事故でなくしてしまい、君のことを知って引き取りたいと連絡を取ってきた、この人でいいなら頭をたてに、嫌なら横に振ってくれ、安心しろ、信頼できる男だ」
「……」
「なぜ泣くんだ、やはり俺の顔は怖いか?」
ホアが涙を流しながら、頭を横に振った
「この男は嫌なのか、ならばもうしばらく」
バルタザールの袖を引っ張り、何かを言いたそうにしている。だがそののどからは声なんて出したくても出ない
「俺には、お前の意志は理解できない」
「この男が嫌なのか?」
そう聞かれたホアは頭を横に振った。伝えたくても、伝えられないただ、感謝の気持ちを伝えたいだけなのに。
「この男でいいんだな」
そう聞かれて、ホアは一度だけうなずいた。
「あの子が生きていたら、今お前と同じくらいの年か」
そう言って、バルタザールはホアをそっと抱きしめ、方に触れているその手はその手は強く、優しく、だけど、少しだけ、震えていた。
「これからのお前の人生が、幸せでありますように」
そう言われ思わずホアは思わず大泣きしてしまった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そのあとの生活はかなり裕福な生活を送っていたと言える。新しい父親のHaoran・Zhouはバルタザールの紹介通り、輸出業を個人でしているから本来なら家族とともに幸せない生活を送っていたはずなのだ。
「すごく、暖かいです」
季節は冬、狐の毛皮コートをzhouからもらった。ホアは新しい父親と湖の近くの別荘群の中の一つの貸し別荘で休みを過ごしていた。そこで出会った一人の少女は体が弱く、環境のいいこの大自然の中で病気を治そうとして頑張っていた。その子と一緒にいるのがなんだかとても居心地がよかった。
二人で一緒にテレビを見ていると、その子はカナダの女性歌手のミュージックビデオをよく見ていた。
「私も、元気になったら、あんな歌手になりたい」
(きっと、成れるよ)
ホアは頭がいいみたいで教えたらすぐ覚えた。英語の読みは無理だけど書いて自分の思いを相手に伝えることはほんの数か月で簡単な会話程度なら辞書を持っていればすぐに書けるようになっていた。
もちろん、英語が書けるようになってから、最初に書いたE-メールはバルタザールに向けたものだった。
病弱な少女はアブリル生まれたころから心臓が弱かったようで、この別荘からあまり移動したことがないという。
「成れるといいな~」
そう言って、ミュージックビデオに合わせてアブリルが歌い始めた。それを聞いてローズはリズムに合わせて体を左右に揺らして、知らない間に二人は仲良くなった。ほんの一か月の間だったが。ローズにとっては大切な友達ができた。だけど、それから3か月後アブリルの心臓が止まった。遺書には自分の声帯を人生の最後に出会った友達へというメッセージを残して、彼女は旅立った。
「わ、たし、は」
友達から声をもらったローズはその娘の夢を引き継ぐと決心し、そして、もともときれいな声を生かし世界的に有名な歌手になった。
次回は13にちのよていです~