第三十一話 花
「おいおい、智也~、お前いつあんな有名人と知り合ったんだよ~、俺にも紹介しろよ~。いや、智也様! 俺をローズさんにぜひ! ぜひ紹介してください!!」
図々しさオリンピックとかがあったら、日本代表に選ばれそうな男、それが秀吉。クラス、いや、クラスどころか全校生徒が智也のことを奇妙な目で見てくる。秀吉を除いて。
「なぁ~、なぁ~、智也~」
「そうだな、確かに有名人のひとりじめは良くないな」
このままじゃきりがない
小声:「ちょっと一階の自販機に行ってくる。そこであのこと会う場所をお前に教えるよ」
「マジか! さすが智也様! 今度ぜひおごらせてくだせー!」
小声:「ハァ~、馬鹿なやつで助かった」
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「なぁ、智也~そろそろ教えてくれよ~、周りには誰もいないしさ~」
「まあ、そう焦るな。ほら、これでも飲め」
「おっ! 今日はやけに優しじゃないですか! お兄様!」
「そのお兄様っていうのもやめろ」
「はい! わかりやした!」
そう言って渡したジュース(薬入り)を秀吉は疑いもせずにのどの中へと流し込む
「もうそろそろ教えてくれてもいいだっ、ろ」
「やっと静かになった、このままこのベンチの上で寝かせておこ」
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昼休みが終わっても秀吉は教室に戻ってこず、発見した生徒が保健室まで秀吉を運んだらしい。貧血で倒れていたと。少しだけ、副作用として、意識を失う前の数時間の記憶が欠落するけど。
秀吉は多分目を覚ましても、周りのみんなが何を言おうと冗談だと思ってくれるだろう。
なぜだろう、授業中、教師になってそう何年も経っていない女の先生までほかの生徒同様にこちらを見てくる。これじゃ、あのほぼばれない姿勢でもばれてしまいそうだ。
ほぼばれない姿勢:それは、窓側、しかもクラスの後半の座席に座っている人の特権、右手で顎近くを支え、頭は微かに外を向く、せいぜい“何黄昏てるんだ”って質問されるくらい。
「はぁ~」
だめだ、このままじゃ、早くこの状況を何とかしないと、とりあえず水曜日まで待つか
その日の夜、妹に質問攻めされると思ったが、なぜか妹は質問を二つしかしてこなかった。
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そして、水曜日
学校が終わる数分前にすでに学校のあっちこっちからざわついた声が。やはり、原因を作っているのは、
「あれか」
校門前にはすでに黒い車と、その車の前にはすでに白いドレスを着た誰かが立っていた。チャイムが鳴った。それと同時に、クラスの4人ほどが教室を飛び出した。それに続くようにぞろぞろと教室から出ていく。
教室に残っているのは、智也と
「ケッ、三次元の歌姫なんて。ちょ~と顔がきれいでスタイルが良くて歌がうまいだけじゃないか。やっぱり俺たちには桜ちゃんしかいない!」
っといいながら手に持っているqsqの画面の中に描かれているピンク色の髪をした美少女キャラクターに話しかける。
あとは、一番後ろに座っている普通にしていれば相当イケメンなヤンキーが耳にイヤホンを刺したまま大音量で何やら激しくドラムをたたく音と激しいギターの音ワーワーと叫んでいるような歌、うた? あれは歌なのか? よくわからないけど、あの種類の音楽はあまり好きには成れそうにないや。
靴を履いて校門へ向かう。ガラスの扉の向こうには人の群れが。
「ローズさん~! サイン下さ~!!」
「おい、お前! 押すなよ!」
「ちょっと男子! どさくさに紛れて変なところ触らないでよ!」
ローズ?のすぐそばにいる黒服たちが智也を見つけ、ローズの耳元にで情報を教える。ゆっくりとローズのほうへと歩いていく。やっぱり注目されるのは、なんだか嫌な感じがする。近づくと、生徒たちはみんな一応道を譲る。
車の中でローズが智也に話しかける。
「日曜日の夜10時まで、私のボディーガードをしてください。私からのお願いです」
予定よりだいぶ遅れました! 期末が近いので勉学にもう少し専念します! 空いた時間に書いて1000文字くらいたまったらまた投稿します!