第二十六話 《燃える恋》12
「準備はいいですか」
「はい、OKです」
「では行きます」
作戦実行の二日前、テストが行われた。実戦形式の戦闘相手は闇さん試験監督? のような役割をしているのは銀さん。場所はとある山の森の中、銃弾の中には緑色の蛍光色の入った塗料が入った弾が装填されており、闇さんはその弾で智也の致命傷にあたる部位に着色したところで試験終了、それに対して智也に対する条件はどこでもいいから一発でも闇に当てること。二人が身にまとっている服は特別な材料で作られており、塗料が当たるとその部分が固まってしまう。つまり、被弾した状況を再現しているという事になる。
それか二時間の間、一発の当てられずに済むこと。もちろんずっとどこかに隠れておくのもいい。
二人は一つあまり大きくない山が範囲とし、それぞれ山の東と西から山に入って、一時間後にスタート、つまり発砲解禁とする。所持できるものは銃以外に二つ、何を持ってくるかは銀さんと本人だけが知っている。
「歩きずらい……」
森の中に入ってすぐに腕にはめてあるタイマーを作動させる。一時間後に振動することで、発砲の許可が出たとわかるように。
「この一時間、たぶん、この一時間は空いてよりも先に居場所を突き止めて、狙いを定めるだけの時間、それなら」
森の中へ向かって走っていく、相手を見つけるならやっぱり一番高いところが妥当、だが山の頂上付近はその分見つかるリスクも増える。
「とりあえず近づける距離まで行ってあとは隠れながら闇を先に見つける」
体力を温存するために下のほうを時計回りに山を周り、隠れやすいスポットと、持ってきたものを使って罠をあっちこっちに作る。この試験に持ってきた二つのものはナイフと長いロープ。試験会場が森だと聞いていて、ネットでわなの作り方をあらかじめ調べておいた。
時間の許す限り、山のあちこちにわなを仕掛けながら闇の居場所を探る。そしてついに、タイマーが振動した。そう思った瞬間銃弾がすぐ近くの木に当たった。
(見つかってたのか、いつからだ、俺が罠を仕掛けているところをいつから見られていた)
とにかくまず隠れる。しばらくすると、罠が作動した音がした。
「よし! 引っかかった!」
そう思い、銃を罠のほうに向け気を付けながら近づくだが、
「やっぱそう簡単にはいかないか」
仕掛けていた罠は刃物で切断されていた。これから判断すると、闇の持っているものはナイフか何か。その直後に発砲音が聞こえた。すぐに隠れてゆっくりと近づく、そこにはうっすらと焦げたクサの匂いが漂っている。その出所を確認してすぐに、周囲が一気に火に囲まれた。もうすでに一時間と少しは経過している。このまま逃げ切ることも考えたが、逃げ道をすべて火でふさがれた。どうやら二時間というタイムリミットはもう使えないみたいだ。
「熱い、山火事になったらどうするんだ。向こうにはこちらの居場所がほとんどばれているにもかかわらず、こっちは相手気配すら感じ取れていない
(ええか、見えへん敵を探すときは耳を地面に近づけるしかない、そして、大体の方向がわかったら反対側に走れ、必ず敵は現れる、もし現れへんかったら背後を気をつけな)
銀さんに言われたことを思い出し、実行する智也、足音は、聞こえない。気が燃えてパキパキ鳴る音だけが聞こえてくる。だが、その音の中で一つ違う音が聞こえた。フンくんのいた国で一緒に森の中を進んでいくときにずっと聞こえていた音。
すぐにその音の反対側へと走り、元居た場所へと銃を向ける。だた、いない。なら、躊躇なく見もせずに後ろに向けて一発撃つ。そして、
「合格」
放った銃弾は闇の脇腹にあたっていた。
「ほな、明日は俺がテストしたるわ」
すみません、まだもうしばらく燃える恋続きます! たぶん14で完結です!
次回は18日に投稿する予定です