第二十一話 《燃える恋》7
「本物じゃねーか!!」
「何を驚いている? 訓練に大人向けおもちゃを使ってどうする」
「さっき隣に一般客がいたぞ!!」
「うるさい、ハイ! 次!」
こちらが何を言おうとただ流される、銃を連続して打ち続けているせいか手がどんどん痛くなり、筋肉痛のような感じもある。
「そろそろか、はいっ、これ。今度はこっちで練習」
言われるがままデザートイーグルを手に取り、そして、さっきのと同じように狙い、しっかりと重心を低くして立つが、先ほどのM92と比べ威力が大きく、すでに疲れ切っていた両手から、反動で銃身が頬にあたった。智也は痛みで頬を手で押さえしゃがみ込んで悶える。
「っと、そういう風に威力の大きい銃を使うときは自分体の具合も把握しておく必要がある。すべての武器は《諸刃の剣》いつか、自分にその刃を向けてくるかもしれないという事も覚えておいた方がいい」
「いって~。実践的な指導をありがとう……」
「それでは昼を食べに行こう」
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「こっ、ここは……」
看板には大きな“肉”という文字、メニューは様々だが基本的に肉、店内を見ても様々な体型の人が肉を次々と口の中へとほおばっていく。まあメニューを見た限り、別に大食い専門というわけでもなさそうだ。
二人で一緒に席に着き注文をする。
「いらっしゃいませ。二名様ですね。こちら全席禁煙となっております。注文が決まったらそちらのボタンを押してください」
メニューに目を通したところ100グラムから何故か5キロまである。しかし、値段が高校生にはかなり厳しい。
5キロなんて喰いきれる人なんているのか?
智也は食品サンプルに目を通し、大体300グラムでちょうどいいかなと思い。頼みたいのが決まったと闇に伝える。すると、闇がすぐにボタンを押した。
「はい~! 今伺います!」
そう言いながら眼鏡をかけた少し細めの男性店員が歩いてきた。
「え~と、俺はこの300グラムので」
「3キロのを」
「「「……」」」
智也と店員、そして隣の机の客の視線が一瞬闇にとまり、時間が少し過ぎてから
「申し訳ございません、もう一度うかがってもよろしいでしょうか?」
自分が聞き間違えたのかと疑うように店員が再度確認した。
「3キロの黒毛和牛ステーキ」
「……あ、はい、それでは確認いたします。300グラムのステーキと3キログラムのステーキですね」
そして、店員は厨房のほうに行った。中でこちらを腕のごついアメリカ人っぽいコックがこちらを厨房から覗いてくる。
それからしばらくすると二つとも同時に運んできた。運んできたのは女性店員でどうやら机だけ教えてもらったようだ。
3キロのを智也の目の前に置き、300のほうを闇のほうに置いた。
「……」
まあ、勘違いされても仕方ないか、店員がほかの机に行ったところを見て智也はゆっくりと自分の皿を持ってきて、闇のを持ち上げて闇を方へ。
明らかに重さが違う。
そして、二人は食べ始め
「お! おいしい!」
5分後
「うん、この味ならまだいける」
10分後
「……何だか顎が、疲れてきた」
20分後
「もう、これ以上は食べられない」
だが、闇はまだひたすら食べ進めている。周りのみんながこちらを見ている。一体その体のどこに入っているのか。そして、ついに完食。そのあとは二人でジムへと向かった。
ボクシングによく見る台があり、そこに着替えの終っていた闇が上がっていた。
「こい」
言われるがままリングに上がった智也、向かいに立っている美少女は少しだけ筋肉質で、なぜか少し威圧感がある。
「全力で来なさい」
組織の女だ、弱いわけないか
「行くぞ!」
そう言って全力で向かっていく智也、少しだけ、迷ったが、こぶしを思いっきって闇の首を狙ってパンチを繰り出す。だが、“消えた!?”そう思った瞬間、下のほうから顎がすさまじい勢いで押し上げられる。そのまま、智也の体と意識が、飛んだ。