第十九話 《燃える恋》5
恋って、なんだろう。よく小学校低学年で“私!好きな人がいるの~!”などとリア充感満載な発言をするのをよく見かけるがその年ごろで生物的に異性を異性として意識するには少々発達が早すぎるのではないのかな?いや、早すぎる。せめて小学校5年生以降じゃないときっとそれは異性に対する好奇心を純粋な小学校の女の子たちは“もしかしてこれが恋?”などと勘違いをしているに過ぎない。
言い換えればそれ以降に芽生えた感情は恋である可能性が高い。ましてや高校生にもなると……。
「ねぇ、明美ちゃん、私最近少しおかしくて。急に顔が熱くなったり、胸元が少し苦しくなったり」
「大丈夫? もしかしてなんか変な病気にかかっちゃった? 顔の熱は今は大丈夫そうだね~。胸元が少し苦しいっと」
そう言いながら愛の胸元をジーと見つめる明美、ニヤリ
「ちょっと成長したんじゃないかのう~ほれほれ、ちょいと私が確かめてあげるよ~ぐへへへへ」
「ねっ、ねぇ、明美ちゃん? 明美ちゃんったら、何だか目つきがエロおやじよ? ほら今学校ですし、みんなもなんかこっち見てるよ?」
「よいではないか×2」
「ちょっ、明美ちゃん!? あっ、かゆい、かゆいってば~」
「むっ、これはなかなか。私には及ばないがこの柔らかい感触は」
「明美ちゃん、っつ、かゆっ、あ、はっ、あん!」
愛が高校でもし男子のスマホから聞こえたら人生が終わりそうな声を出したところで、明美の手が止まった。っというか、クラス中半分の視線が瞬時に二人のいる方向へと向いた。二人は気まずそうに教室のみんなを見て、静かに着席した。
小声:「もう~明美が変な触り方したから、変な声出ちゃったじゃない」
小声:「ごめんね、なんか同性でもなんだか少し興奮しちゃって」
小声:「明美の変態!」
小声:「ごめんって」
「でっ、話し戻るけど、ほかに何か症状はないの? ちゃんと病院行った?」
「う~ん、強いて言えば、たまにボートしちゃったり、特定な何かをじっと見つめちゃう」
「ふふ~ん、その何かって、もしかしてお兄ちゃんのこと?」
それを聞いた愛は目を大きくして、驚きを隠せずにただ顔が少し赤くなってくる。
「図星か~、お兄ちゃんも罪な男ね。愛なら、応援しようかな」
「? 応援って何のこと?」
「告白だよ! 何びっくりしてるの? 確かにお兄ちゃん同級生の先輩たちとはあまり仲良くないから彼女できそうにないけど。時々さりげな~く優しいことしてるから年下の女の子には人気あるんだよ~?」
「それ、たぶんほとんどの発信源明美ちゃんだよね~。それに、私には無理だよ」
「え、なんで~? 好きなんでしょ? お兄ちゃんこと」
「家が(ヤクザだから)厳しいから」
「人生で一度の恋かもしれないんだよ!? まあ、愛ちゃんのことお姉さんって呼ぶのはなんだか嫌だけど、まあ、愛がいいなら別にいいんだけど」
「ジャーこの話は終わりっ、ねっ」
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その二週間後の土曜日、富士急ハイランド
「あれ? 君はあの時の明美の友達、すまん、人の名前を覚えるのは苦手で」
「愛といいます。お兄さんは、もしかしてデートですか?」
「デート……ね~、彼女なんていないよ。君は?」
「私は明美ちゃんに“来週土曜日富士急に遊びに行こ~!”って言われて来たんですけど、明美ちゃんに聞いてないですか? まだ来ていないのですが」
「? 明美? 俺もあいつに遊びに行こうって言われて、途中で本屋に行って買いたい本があるって言って途中で急に扉が閉まる前に電車から降りて、先に行って待っててっとLINEでメッセージが来て」
その時、愛の携帯が鳴った“ファイト!”たった四文字の短いメール“ファイトって何!?”……しばらくたっても返事がない。そして、次に智也の携帯にもメールが“お兄ちゃんもう少し時間がかかりそう! そっちに友達がいると思うからその子と一緒に先に遊んでおいて~、すぐに行くから!”
「? なんだこれ?」
電話をかけてみてもでない。
愛の心の声「明美ちゃん~!」
「まあ、立ってても仕方ないし、遊ぶか」
「えっ、あっ、はい、そっ、そうですね」
「? 大丈夫か? 顔が赤いぞ」
「いえ! 平気です! あそこに行きましょう!」
「……あ、あぁ、まあ……行こうか」
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「重力加速度が9.8で初速度ゼロ、加速度……」
「おっ、お兄さん? お兄さん? 大丈夫ですか?」
「えっ、あ、あぁ、平気だ」
口ではそう言っているが、友達の少ない智也は、これまでにジェットコースターになんて乗ったことはなかった。だが、最初は、恐怖感だったが、それは次第に興奮へと塗り替わった。いろんなアトラクションを回って行ったあと、あっという間にお昼になり、12時頃になって明美が二人と合流した。
「年下とのデートはどうだった~? お兄ちゃん」
「悪くなかったとだけ言っておこう」
そして、三人とも閉園ぎりぎりまで遊び、楽しく別れを告げた。
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