第二話 夢
「ここは……どこだ……」
あたりを見回すと
真っ黒なスーツを着て杖を片手に持った老人が月光の差し込む窓際にいた。
「ようこそ《moon light》へ、津田智也くん。ここはどこかに対する答えだがね。それを教えるには一つ条件がある。何せここはわれらの秘密基地のひとつでね、外部の人間に知られるのはいささかまずい」
「つまり……俺を勧誘していると考えていいのでしょうか?」
「感がいいではないか、だが、時に感が良すぎるとこの仕事だと死を招くことになるぞ」
「ここは、テロ組織のアジトってわけか」
「ホッホッホ、いや、テロ組織などではない。う~ん、強いて言うなら、社会の掃除屋をしているのじゃよ。今の社会はごみに満ちている。路地裏、コンビニの前、きれいに整備されているホテルの中にもな。そんなごみを【掃除】するのが仕事じゃよ」
「どっちみち犯罪組織じゃないか! 」
「確かに我々は罪を犯しているのかもしれない……じゃが、お主は知っているのか? 昨日おぬしの目の前で殺されたあの男のことを」
「確か……大きな国際物流企業の社長で孤児院を世界各国で営んでいるいい人だって」
「フッ、それは真っ赤な嘘じゃよ。一つ質問をしよう、人の臓器は一人分いくらすると思う」
「そんなの知ってるわけない」
「お主のその眼球だけでも十数万の価値はあるのじゃよ、そして孤児院なら親切に引き取ってくれる人もいるであろう。じゃが、果たして引き取られたうち何人が本当に優しい両親を持ち大人になれるのかのう。人身売買なんてまだ優しいものだ、あの偽善者は孤児院の子供を殺した後に臓器を売っていたのじゃよ」
それを聞いて、智也はあの優しそうな社長が極悪人だったという驚きよりも先に、殺意が目に映った。
「そうじゃ、その目じゃ、やはりお主には暗殺者の資質がある」
「つまり、あんたたちが殺しているのはあなたたちが悪人だと判断した人ってことだな」
「いや、それは少し違う、吾らはあくまで技術、武器、およびその他のサポートをするのみ、決めるのは各自の判断に任せる。そして、仕事として依頼することもある、その場合報酬はターゲットにもよるが、大体10万~500万じゃ」
いかん、一瞬目が¥の形をしてしまった。
金の問題じゃない、決めるのは各自? どういうことだ?
「一つ引っかかる、決めるのは各自っていうのはどういうことだ?」
「そのままの意味じゃよ。殺す相手は君が決めなさい、誰を殺そうが構わない、だが一つ気を付けるのじゃな、もし君がただの殺人鬼となってしまった時。その時は……わかるな」
そう言って急に遮光性の高いカーテンが閉まり、部屋が真っ暗になった。
かと思うと急に部屋の明かりがついた。
暗い部屋に慣れてしまっていた眼を細めて、まぶしい光から目をそらす。
少しずつ慣れてきて、正面を向くとあの女がいた。
だが、あたりを見回してもさっきの爺さんの姿が見当たらない。
あんな一瞬で姿を消した。
ドラマでよく見る社長室のような部屋、外を見る限り高層ビルの一室のようだ。
「ようこそ……って、これはボスが言ったわね。どう? 入る気になった?」
どうやらさっきの爺さんがボスだったらしい。
「少し、考える時間を、くれないか」
「いいわ、決心がついたら、この端末の月のマークの描かれたアプリを起動しなさい」
そう言って、スマホ? のようなものを渡してきた
「ごめんね」
っと小さい声で話すのが聞こえて、端末を見つめていた眼を上に挙げた瞬間、あの女を見つめながら、再び意識を失った。
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「お兄ちゃん! お兄ちゃん! 朝だよ! 起きて!」
「ん~」
腰を伸ばし、徐々に意識が夢から現実に戻ってくる。
昨日のことを思い出し
「ハッ!」
っと急に起き上がり、あたりを見回し、
「キャッ、びっくりした~、急に起き上がってどうしたの? 何か怖い夢見たの?」
? 夢? そうか、夢か。
額から垂れてきた冷や汗をふき取る。
そして、ベットに手を着ける。
何か固いものが、そう思い手もをとみると、昨日あの女に渡された端末がベットの上に。
「お兄ちゃん? どうしたの? 顔色悪いよ?」
「いや、ごめん、何でもない」
そっと端末を布団の中に隠す。
「あ! お兄ちゃん! 今何か隠したでしょ~」
「何も隠してないよ? 」
「もう~エッチな本隠すときはもっとばれないようにね!」
「ちが~う!」
「さっ、渡しなさい、あたしが処分しておくから」
「だから違うって! さっ、今から着替えるから出た出た」
そう言いながら妹を部屋から少し強引に押し出す。
そして、ドア越しに
「も~、じゃ先に食べて待っておくからね、今日は買い物手伝ってくれる約束でしょ~」
「ちゃんと覚えてるよ! 」
妹が階段から降りていく音が聞こえた。
家は少し広めな一軒家、二階には兄弟の部屋がそれぞれあり、そして倉庫がある。
一階には和室とリビング、キッチン、玄関そしてお風呂がある家のすぐ隣に駐車スペースがある。
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再び智也の部屋
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ベットの前に立ち、端末を見つめる。
この後の用を思い出し、着替え始め右ポケットにスマホ、左ポケットに財布、そして、あの端末をカバンの中にしまい、そのかばんを持って一階に。
父親が珍しく家にいた。
「体は大丈夫か? 屋上で倒れていたお前を植田のところのスタッフが見つけて、うちまで送ってきた。少し疲れたようだな、しばらくホテルのほうは休め、あんな事件があったんだ。おまえにも警察がいろいろ事情聴取に来るかもしれないし」
“それでは本日のニュースです。昨晩国際貿易会社の社長、財前正義氏が何者かにより殺害されたことが明らかになり、警察がまだ犯人を特定できていないと言われています”
“いや~怖い世の中ですね~いまどきこの安全な日本でまだ暗殺される人が出てくるとは……”
やっぱり、夢じゃなかった。
明らかに昨日の出来事であった。
画面を見ながらテレビの前に突っ立っていたら。
「お兄ちゃん! 早く食べて出かけるよ! 」
「あぁ、わかったよ」
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朝ご飯を済ませ、二人で出かけた。
近くのショッピングモールに行き二人でマク〇ナ〇ドかファミレスで少し言い争い、結局妹が勝利し二人でファミレスへ
「あそこのカップル、女の人のほうすごいかわいいよね!」
「チッ、なんであんなのに、あんなかわいい彼女ができるんだよ」
妹といるだけで、周りから視線が集まってくる。
長めのポニーテールをし、服はひらひらとした少々短めのピンク色のスカートに、上着は首の近くにもこもこの付いた白いジャケット、薄くナチュラルメークをしただけでテレビに出ているような美人系の女優さんとかわいいアイドルを混ぜて二で割ったような容姿をしている、。
ハンバーグにサラダ、ぶどうジュース、そして追加でステーキを食べた後に大きなパフェを頼み、おいしそうに食べる明美。
「ん~!! おいしし! ありがとね! お兄ちゃん!」
「おいおい、俺がおごる前提かよ」
対して
智也はあまり食欲がなく、スパゲッティにサラダ、そしてドリンクを頼みすべて食べ終わりゆっくりとアイスの乗ったメロンソーダを飲みながら、おいしそうに食べる妹の姿を見ながら
「ずっと、こんな(平和な)生活が続けばいいのに」
なるべく三日に一度ないしは三日以内には更新するように頑張ります!
どうぞ引き続きお楽しみください。
気に入ってくれると嬉しいです。