第十五話 《燃える恋》1
毎朝、登校するといつも校門前で友達を待っている。……いいえ、いつからか、友達ではなくその隣を歩いている殿方を目で追ってしまっている。二人は兄妹というよりまるで恋人のよう。
「もしも、あそこにいるのが私だったら……」
少女は顔が赤くなった。深呼吸をし、少し落ち着き
「明美ちゃん! おはよう! 今日もお兄ちゃんと一緒なんだね」
明美がお兄さんから離れて、こっちに合流する。
「ああちゃん! おっは~! 自慢の兄と一緒に登校なのだよ! エッヘン」
「はいはい、ブラコンおつ」
「ちょっと~! ああちゃん聞いた? 風ちゃんひど~い、私ブラコンじゃないもん」
「はいはい、早くいかないと遅刻するよっ」
少女は振り向き際、気付かれないように、智也を見つめていた。
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ある日、大雨が降っていて、学校からの帰り道。私はいつものように遠回りして家に向かってたのだけど、コンビニの近くを通るとそこに同じ高校の制服を着た男子がいた。何だか電信柱の近くで傘を差しながらしゃがみ込んでいる。私は心配になって話しかけようとすると、傘を開いた状態で箱の上において、猛ダッシュでどこかに走り去ってしまいました。お体の具合が悪いわけではなくてよかったです。
その方が走り去った後、気になって箱に近づくと、そこには震えている二匹の子猫がいました。かわいそうだと思い家に連れ帰って父の許しも得て飼うことになりました。
茶色の子が琥珀、黒色の子がダイヤ、琥珀は臆病でおとなしい性格だったようです、ダイヤはあっちこっち走り回って、うちのおじさんたちにうっかりぶつかってしまっても、足にすりすり、荒々しい父の仕事仲間の方たちも……嫌がる様子もなく。最近ダイヤが少し太ってきたと思うと。電気を消した後、琥珀はもう寝たように見えるけどクロは部屋から抜け出しどこかへ……
そのあとをこっそりついていくと、みんなに「兄貴」と呼ばれて、私にとっても兄のような存在の銀さんの部屋の前で「ミャーミャー」と泣いたと思うと、扉があき、中に入って行く。
部屋の近くまで近づいていくと、話し声が聞こえてくる。
「クロ、うまいか」
ダイヤを太らせた犯人は銀さんみたい。
次の日、少し内容を変えて親友二人に話すと明美ちゃんが気になることを
「なんかそれ聞いて思い出したんだけど。私のお兄ちゃんが一回びしょびしょになって帰ってきてたよ。放課後傘忘れないようにってわざわざ言ったのに、部活帰りの私が先に家についていたのに家にいないと思ったら、そのあとすぐに家についたお兄ちゃんね。川にでも飛び込んだのかと思うくらいびっしょびしょだったの。聞いたら傘忘れて雨宿りしてたけど雨がやみそうになかったから走って帰ってきたって。もしかしたらその人うちの兄ちゃんかもね~」
それを聞いて、ああちゃん改め《太田 愛》はあの雨の日の生徒が明美の兄だと確信した。
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まだ智也が組織と接触する前の話だ、雨の日、放課後家に帰るのがとてつもなく嫌だった。前日、久しぶりに父親が家に帰ってきたと思うと。まただ、またこの音だ、耳を枕に当てると、一階から両親が言い争っているのが聞こえてくる。もう十年は続いてる。
「今日は少し心を落ち着かせてから帰ろう」
そう言って、いつもは通らないルートをたどって、家に帰る。コンビニでジュースを買い、ゆっくりしてから家に帰ろうとした。コンビニの前で一人で飲んでいると。すごく、弱った声で
「ニャー」
っと聞こえてきた。すぐ隣の電信柱の下に置いてあったミカン箱を覗き込むと、そこには二匹の子猫がいた。黄色い子がすでに弱り切っていた。心配して、抱き上げる。しばらく体温を与えると、腕の中でもじもじし始めた。それを感じた智也は、少し、安心した。腕の中から顔を出し、こちらを見上げてくる。かわいいと同時に、かわいそうという感情が
「そんなに見つめるなよ……いくら見られてもお前たちを連れ帰るわけにはいかないんだよ」
連れて帰っても、面倒を見れない、ペットを飼うのは命を扱るくらい責任が伴う。
「できることをしよう」
そう言い、立ち上がりさっきジュースを買ったコンビニに向かい、カイロと水と子猫の食べられそうなものを買い。走って戻ってきて、カイロを箱の周りに置き、そして、水と食べ物をおいて、立ち上がり、帰ろうとすると、二匹が同時に鳴く。傘を開いた状態でたてて、このままではここから離れなくなる。どうしよう、鳴くな、やめろ、そんな目で俺を見るな。心を鬼にして、家に向かって走り出す。こんなに心苦しいなら、感情なんてなかったほうがいいのかな……
更新しました! いつもペットショップを外から不審者のように覗き込んでいます! あえて距離をとって! そばにいたら離れなくなりそうです、いつになればペットを飼えるのでしょうか……
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