第十四話 手に入れた武器
ヤクザ:暴力を背景に犯罪行為を繰り返し、非合法に収入を得ている集団
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「行ってきます」
「お嬢! 行ってらっしゃいやせ!」
「「「行ってらっしゃいやせ!」」」
和服を着て、顔に傷がついている人がちらほらとその少女を送り出していた。
平和ではない家に生まれ、毎日なるべく明るく、そして学校のみんなに家がヤクザの親玉だと知られたくなく、帰りはいつも遠回りし。仲のいい友達もいるがいつもなるべく早く家に帰り、自分の部屋に入ってしまう。
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「よっ、智也!」っと秀吉
「あ、智也くんおはよう!」
「今日はなんだか一段と二人仲がいいね!」
「ヒューヒューお前ら本当に兄妹か」
……何かがおかしい、秀吉はともかく、普段全く話さないほかのクラスの女子や、めったに話しかけてこない同じクラスの男子までちゃかしに来る。
「なぁ妹よ、兄はいつの間にこんな人気者になったのかね?」
「お兄さんや、火曜日の体育の授業を覚えるかや?」
……確か、あの日記には普通にドッチボールをしていたと。
「確かドッチボールだったはずだが。それがどうした?」
「あの時のお兄ちゃんすごかったんだよ? ほかの人がどんなに投げてもかすりもしないし、当たった! っと思ったらキャッチされるし。かと思ったら、投げ帰ってくるボールは野球選手かと思えるほどの剛速球。決めつけはあれだよ、背後から来たボールを見もしないで避けてた」
……あれ? 普通って……なんだっけ? 俺って、普段そんなことできてたっけ?
その時、智也はある事実に気付いた。あの組織の連中の普通と、一般人の普通は、少し違っていることに。
「あっ、あ~、あの事ね! 覚えてるさ」
まずい、ただでさえ疑われているのに、今のは、案の定、腕に抱き着いている明美と目が合った。
「まあ、お兄ちゃんが人気になって妹としてはうれしいんだよ? だけど、なんだか少し複雑な部分が心のどこかに……」
「? なんでだ?」
「クラスに入ればわかるよ」
? 一体何なんだ?
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そして、教室
「よう、智也」
「あ、智也くん」
クラスの数人からあいさつされる、
「おっ、おう。おはよう」
そんな、変な生活が始まってしまった。
クラスの女子も、何だか智也を見る目が変わっていた。あのメスざるどもは、遠くから気にくわない顔で見ていた。
「けっ、みんなあいつが少しスポーツできて、成績もそこそこあって、顔もまあまあいいほうで、最近みんなと普通に接するようになってから何態度変わってんの?」
「ほんとよね~、いつも教室の隅っこでオタク臭い本読んでたくせに」
「よし子~、やっぱり気があるの~? “顔もまあまあいいほう”だって~! 聞いたよね佳奈~!」
「え? ……あ~! 聞いた聞いた! うける~! ぎゃはははは」
「智也くん、あんな人たちのことなんて気にしなくていいんだよ」
「あぁん? おい、こらそこのビ〇チ、もういっぺん言ってみなさいよ」
そう言って三バカが近づいてくる。
それを見てさっきの女子は少しおびえて。
「あっ、ごっ、ごめんなさい」
おびえながらに三歩下がる、そして、机の脚につまづいた。
そのまま智也のほうに倒れ掛かる。そこを、智也は立ち上がり一瞬で支えた。
「あら、王子様のお出ましよ」
三人がこっちに迫ってきて、胸元をつかんできた。
「ねぇ、何とか言いなさいよ! 王・子・様!」
そして、智也の胸元をつかんだ瞬間。
「えっ」
智也の胸元をつかんでいたはずの佳奈っと呼ばれていた女子がさかさまになって、宙を舞った。そしてそのままの勢いで背中から地面にたたきつけられた。
「あっ」
わざとではなかった
「いま、何を」
「いった! 何すんのよ!」
「おいおい智也、いくら気にくわないからって女子に手を挙げるのはよくねえよ」
「智也、今のなんだよスゲーな! お前いつの間にそんなに強くなったんだよ! 格闘技か? 俺にも教えろよ」
授業チャイムが鳴り、先生が入ってきてみんなが散らばっていく。
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放課後、学校の体育倉庫の近くに呼び出された。
「おいおい、俺の女にずいぶんと手荒な真似してくれたみたいだな~!」
そこにいたのは、三バカと、そのそれぞれの彼氏、そして、あと6人がいた。
だが、最後に立っていたのはたったの一人だった。
本日も課題が忙しく、投稿遅れてしまい申し訳ない。
新章開幕! 今度は国内です!
次回は、、、、たぶん28かな~もしかしたら27日かも。
これからもよろしくお願いします。