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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

鮮血メッセージ・・・ある就活性の悩み

作者: 腹刺音

西野奏栄は就職活動中の大学4年。


これまで200社近い企業にエントリーして、毎日届くのは不採用のメールだけ。徐々に焦ってきていた。


売り手市場と言われながら筆記試験や1次面接止まりでなかなか内定が近づいてくる気配がなかった。大学も有名な私立大学であるし、英語もTOEICは800点を超えている。まだ社会人になっていない学生の中ではむしろスペックの高い学生であった。外見だって誰もが振り返る美人ではないが、だからといって不細工なわけではない。最初の方は順調に思えたが、なぜか落とされるのであった。


友人との会話も減ってきた。最初の方は行きたい会社や応募書類の書き方を教えてもらったり、教えたりして活き活きとした日々だった。スーツを着るのは大学の入学式以来だが、新しく買ったリクルートスーツと白いブラウスを着て都心を歩くと、自分が夢に向かって歩いているような気がしていた。


この間、ビッグサイトで就活セミナーに行ったときは隣の男子学生と親しくなり、その場の勢いで夜遅くまで彼と語りあり、そのままラブホテルに行き、リクルートスーツを着たままSEXもした。リクルートスーツが好きな男子が意外に多い事も知った。でも思えば、その彼とその先の展開はなかった。メールを2回ほど交換して音信不通になった。その彼は大手の金融機関に内定したという知らせが最後だった。


リクルートスーツを脱ぎ始める友人が多くなってきた。自分だけが取り残されている。そんな気がしたし、事実だった。


西野は今までに受け取った不合格通知を自室の床に広げた。


「この度は応募くださいましてありがとうございます。慎重に選考を進めた結果・・・」その先は読まなくてもわかる。「ご縁がなかった」のだ。


床に広げられないくらいの通知が届いていた。


「もうこのまま続けていても意味がないな」


ボソッと西野はつぶやいた。


西野は気持ちを落ち着けるためにシャワーではなくバスタブにお湯をはった。全身の毛穴から汗が流れ出た。その時にふと気になったのが自分の下腹部だった。ぷっくりと膨れ上がっている。その中に腸が詰まっているだ。


そういえば、昔の人は風呂で身を清めて、この下腹部を切り裂いて人生を終わらせる人がいた。


シャワーで全身を流して、風呂から出ると西野はクローゼットから就活のスーツとブラウスを出した。


何かを決心したように、西野は髪の毛を後ろで束ねて、白いブラウスに袖を通して、スカートをはいた。そしてスーツを着て前ボタンを閉じた。


西野は台所に行き、牛刀を握った。これが自分の腹に刺さったらどうなるんだろう。


両手で包丁を握り、自分の腹に手加減して刃を立てた。


自分の力ではスーツを突き破るほどの力で刺しぬく事は無理だと思った。


西野は包丁を右手で握ったまま部屋にはいった。正座をすると、ゆっくりと上着を脱いで、ブラウスとスカート姿になった。


包丁の刃を横にして切っ先を脇腹に当てた。ブラウスの上から自分の腹を左から右になぞった。


どうなってもいい


手は震えていたが、西野は覚悟を決めったようだった。


背筋を伸ばして、両手で包丁の柄を握りしめて、刃を自分の腹に向けた。


ゆっくりと切っ先を自分の脇腹に当てた。


狙いを定めるように、切っ先を脇腹に当てて、また引いて、それを何度か繰り返した。


ブラウスの脇腹は小さなくぼみがいくつかできていた。


時間は午前零時。


西野は手を洗って、姿見で自分の姿を眺めた。


そして正座で座り直して、床に置いた刃渡り20センチの牛刀の刃を横にして、柄を両手で握った。


目を閉じて思い切り息を吸い込んで、全ての力を自分の両手に預けた。


グザッッッッッ・・・・


鈍い音が部屋に響いた。


んんんっぅぅぅぅんんんぅぅぅうぅんんん・・・・


腹から激痛が全身を駆け巡った。


目を開けると天井が見えた。そして自分の腹に視線を落としていった。


自分の両手に握られた包丁は確かに腹に突き刺さっていた。


西野はそれを抜かずに刃を切り裂くように右側にスライドさせた。


血がピュッと飛び散ったのがわかった。床にばら撒いた不合格通知にも血が降りかかっていた。


腹から流れる生暖かい血が太ももやお尻を伝って床に流れていった。


んんんっ・・・


自分呼吸に合わせて血がドクドクと流れていった。


とても真一文に切り裂く事はできなかった。


西野は包丁を抜いた。包丁が手から滑るように床に落ちた。刃渡りの半分くらいは血に染まっていた。単純に10センチほどは体内を突き刺したことになる。


痛いぃぃ・・・・うぅぅぐぐぅぅぅ・・・・


西野は腹を両手で押さえるが出血を止められるような傷の長さと深さではなかった。腹から飛び出した腸がブラウスの中で行き場を探していた。ブラウスが袋のようになっていた。


腸は切り裂かれたブラウスからはみ出した腸がスカートの上にドロドロと流れ出た。


西野はそれを握りながら体を左右にねじり、のたうち回った。


うんんん・・・・


上半身をエビのように反り返らせるとCカップの胸がブラウスを大きく盛り上げた。


すでにブラウスは血に塗れ、飛び散った血がスカートや床を汚していた。


床にばら撒いた不合格通知は全てが血に染まった。


徐々に意識が遠のく時に西野が鷲掴みにした不合格通知はセクハラ面接をうけた大手上場企業のX社だった。

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