彼女が煙草を嫌う理由
書きたくなったので。
お暇な時にでもどうぞ。
*煙草に関して→吸ったことの無い人間が書いたものです。
偏見です。おかしいかと思われますが、一作品として読んで頂きたいです。
ザーザーと横殴りの雨が降っている。
窓を閉めきっても聞こえてくる、雨の音。
窓を叩きつけ、コンクリートにぶつかり、知らしめるかのように降る雨。
「あー…雨って嫌だね」
彼女は言う。
だけど、彼女は晴れてるときも
「晴れてるな…嫌だなぁ…」
と言う。
彼女は、嫌いなものが多い。
雨、晴れ、パン、白米、大人、子供、束縛、自由…等々
色々な嫌いの中で一番嫌いなのは、煙草。
何故嫌いなのか聞いてみたら
「体に悪影響」
と一言。そして、
「大人が、自由に、たしなんでいるから…だから嫌いなの」
嫌いが一杯詰まってるからだそう。
僕は、吸ってるけど…
「あなたは良いの。吸ってる姿が好きだから。」
…のろけじゃないよ?
彼女は、随分難しい。反対のもの同士を嫌う。
でも理由は、単純。嫌いだから。
「ねぇ、今日何の日か分かる?」
いきなり彼女が言ってきた。
誕生日は二人ともまだ先で、付き合って2年経つが節目の日では無くて…
「フフッ。今日は、何でもない日よ。」
…騙された…
本気で何か忘れてしまっているのかと考えこんでしまった。
「…ねぇ。煙草って美味しいの?」
今日は質問dayらしい。
美味しくは無い。
只、大人であるという証拠であり、自由を象徴するもの、すがり付きたくなる…害のある煙を出す白の円柱
「…ふーん。」
興味無さそうに返事をする彼女。
期待していた返事じゃなかったようだ。
「一本くれる?」
首をかしげ、長い黒髪を少し動かし、僕の瞳に目を向け、彼女は言う。
今日は随分と違う1日だ。普段なら絶対に言わない事を言うなんて。
「何だか少し、大人で自由になりたいの。」
僕は、
いつものケースから一本取りだし、彼女に渡す。
いつものライターで、彼女の持つ煙草に火をつけてあげる。
いつもの煙草はもくもくと煙を出し、彼女は吸った。
「…何だか苦しいわ。それに苦い。…これが大人で自由なのかしら…」
彼女はそう呟いた。
外は雨が降っている。どしゃ降りの雨。
彼女が嫌いな雨だ。
読んで頂き、ありがとうございました。
よい暇潰しになれた事を願って…