2―さよなら
いきなり言った君の一言に、僕はただ涙を流すことしかできなかった…
× × × × × ×
いつもと変わらない風景。
学校が終わってから友達の家に集合な、と話す男子。
昨日の男がどうだと話す女子。
窓の外を見ると君が力一杯走る姿が目に映った。
どうして君はこんな僕と付き合ってくれたんだろうか。
付き合ってから一ヶ月経った今でも思う。
人見知りで、口下手で、スポーツも駄目、勉強も駄目で、臆病な性格の僕は友達や彼女も出来たことがない。
この前、教室にノートを忘れて取りに来た時、君が友達と話していたのが聞こえてきたんだ。
「どうしてあんな男と付き合ってるの?」
「えー…それは……」
本音が聞ける、と思って、廊下から聞き耳を立てていた。
「彼、誰にでも優しいんだぁ。そこに惹かれたの!」
「うっそだー!」
「本当本当」
僕は嬉しかった。
ノートの事なんて忘れて、半泣き状態で家に帰った。
それから僕達は学校の帰りに公園で話をしていた。
彼女のおかげで、少しずつまともに話せるようになってきていた。
でも、そんな幸せな時間は長く続かなかった……
「お前のこと嫌いだって言ってたけど」
いきなりで混乱していた。
隣のクラスの男子が僕にそう言ってきた。
「別れようって言ってたぞ。やっぱり、私はあなたと釣り合わないとかも言ってた」
そうだったんだ…
君はずっと我慢していたんだね?
気づいてあげられなくてごめん。
そうだよね…あんなに綺麗な君が僕と釣り合うわけないよね…
ごめん…
その日の夜に僕は思いを告げた。
君は電話の向こうで鼻をすすっていた。
泣いていたの?
僕が泣かせたんだね…ごめんね…
今までこんなダメな僕と付き合ってくれてありがとう。
「さよなら…」
× × × × ×
僕にもう少し、他人を疑う力があれば、あの時、君を泣かせずに済んだのかな。
逢いたい…
逢って君に謝りたい。
ごめんね…って。