No.9 Burial ~初めての仕事~
文章変だったらすみません
とりあえず慌てていた少女を落ち着かせようとお茶を出した。
お茶を飲んで少し落ち着いたのか、土間舞花と名乗った少女は一息ついて話を始めた。
一週間ほど前、彼女の友達である堀峰咲から一通のメールがあったという。
内容はしばらく家出をする、学校にも行かない、というものだった。
何か事情があるのだろうと思った彼女はあえて何があったかは聞かなかった。
前にも何回か似たようなことがあったが数日後に何事もなかったかのように学校に登校してきたのだという。
しかし、今回は数日たっても学校に来なかった。
心配になってメールや電話をしても返事がなかったらしい。
口外しないで欲しいと書いてあったが流石に何かあったと思い、相談しに来たそうだ。
「事情はわかったんだけど、何でうちの部活に?」
「咲の家に電話しても誰も出ないし、先生に相談しても相手にされなくて……。またいつものことだろうって」
頼る相手がいなかったってことか。
でも、何でこのボランティア部なのだろうか。
「そんなとき、ボランティア部の張り紙を見たんです」
そういえば張り紙に書いていた気がする。
何でも依頼承ります
困ったときはぜひボランティア部へ
そんな感じだったはずだ。
我ながら無責任なことを書いたものだ。
だけど、今回は放っておけない。
もしかしたら堀峰さんが何か事件に巻き込まれているかもしれないのだから。
「なるほどね。うん、わかった。でも、流石に私たちだけじゃ何もできないと思うから執行部に報告しておくよ」
個人の訴えはなかなか届かないだろうが執行部という公式な組織が訴えれば受け入れられるだろう。
「ありがとうございます!」
土間さんは落ち着きを取り戻していた。
不安そうだった表情は少し安堵した表情になっている。
「何かわかったら連絡するね」
ーーーーーーーーーー
「ーーーわ」
「ーーーーーーーないんだ」
執行部室から声が聞こえてくる。
言い争っているような声だ。
土間さんが帰ったあと私と夜実ちゃんは執行部へと足を運んだ。
さっきのことを報告するためだ。
話が話だし早めに報告したほうがいいだろう。
現在執行部室の前にいるのだが入りづらい雰囲気が漂っている。
「これ帰っちゃ駄目かな?」
「……駄目かと」
夜実ちゃんも苦笑している。
内心では同感しているのだろう。
だが、帰るわけにはいかない。
私は意を決して執行部室のドアを叩く。
「失礼します」
少しの静寂の後、中から返事が帰ってきた。
「入ってくれ」
執行部室には月岡先輩と美園会長がいた。
会長はなんだか不機嫌そうな顔をしている。
「あの……何かあったんですか?」
何を話していたのか少し気になったので思いきって聞いてみた。
「そうか、お前たちにも話さないといけないな」
月岡先輩が私たちの方へと向き直る。
「埋葬事件についてだ」
埋葬事件?
なんだろうどこかで聞いたことがある気がするのだけど思い出せない。
最近聞いたことがあると思うのだが。
「……最近ニュースでやってるあの事件ですか?」
「ああ」
そうだ、そういえば朝そんなニュースをやっていた気がする。
内容は確かーー。
「一昨日の夕方、男性の遺体が土の中から発見された。死因は窒息死だそうだ」
思い出した。
それで一昨日からニュースで騒いでいたんだった。
「その事件がどうかしたんですか?」
「魔法少女が関係している」
魔法少女が……。
一体どういうことだろうか。
「例の男性が埋まっていた場所なんだが、土を掘った形跡がなかったそうだ」
土を掘った形跡がない?
埋まっていたのに掘っていない?
「警察がいくら調べても掘った形跡は見つけられなかった」
「……魔法で埋めたってことですか?」
隣から夜実ちゃんの声が聞こえた。
私よりも早く理解したらしい。
「ああ。普通なら土を掘らずに物を埋めることはできない。だが、魔法ならできる」
なるほど、魔法を使えるのは魔法少女だけだから魔法少女が関係しているという訳か。
「それで、その事件について百合姫に調べてもらおうと思ったんだが……」
「私やりませんわよ。何故男性が一人死んだ程度で私が調べなければならないの?」
「この通り百合姫は男性が嫌いで手伝おうとしないんだ」
噂では聞いたことがあったが、まさかここまでとは思わなかった。
人が死んでいるのに何も感じていないようだ。
むしろ迷惑そうな顔をしている。
「はぁ、仕方ない。鹿ノ坂、手伝ってくれ」
「は、はい」
夜実ちゃんに仕事が回ってきたようだ。
魔法少女も楽じゃない。
「それで、何か用事でもあったのか?」
月岡先輩の言葉で本来の目的を思い出した。
私たちは土間さんの相談について話した。
話が終わった後、月岡先輩は少し考えるようにして固まった。
「わかった。それはこちらで学園側に話をしておく。百合姫頼めるか?」
「わかりましたわ。女の子のピンチとあってはこの美園百合姫動かない訳にはいきませんわね」
さっきと打って変わって嬉々として立ち上がる。
そして、風の如き早さで執行部室を出ていった。
「はぁ、いつもこれくらいやる気を出してくれたらいいのだが」
溜め息をつく月岡先輩から苦労人の雰囲気を感じた。
色々苦労しているんだろうな。
月岡先輩はやっぱり凄い人だと思った。
「だが、少し気になるな。砂々森、悪いが堀峰咲の失踪について調べてくれ」
これがお前の初めての仕事だ、そう言って月岡先輩が私の肩に手を置く。
「頼んだぞ」




