No.7 Burial ~特訓~
遅くなりました。
さっそく放課後、魔法の訓練があるということで私は高等部の執行部室に来ていた。
執行部室にいるのは二人。
私と未来子先輩だ。
私を指導してくれる人が来てくれるらしい。
その人を待つ間、未来子先輩と色々と話をしていた。
昨日のテレビ番組の話や駅前にできた店の話など何気ないありふれた会話をした。
気を張る必要がないのでとても楽だ。
月岡先輩と話すときは緊張するし、千藤さんも話しかけづらい雰囲気があるのであの二人といるときは少し居心地が悪い。
話し始めて30分くらいだろうか、執行部室の扉が叩かれた。
「あいてるわよ」
「……失礼します」
部屋に入ってきた人物を見て固まる。
「紹介するわね。彼女は中等部二年生の鹿ノ坂夜実さん。知っているとは思うけれど」
「……こんにちは、先輩」
夜実ちゃんが軽く頭を下げる。
私は少しの間驚いて動けなかった。
「彼女は一年前から魔法少女として活動しているの。だから魔法少女としてはあなたの先輩ね」
少し意地悪そうな笑みを見せた未来子先輩。
そんな表情もするのかと思っていると夜実ちゃんが控えがちに話しかけてきた。
「……まさか先輩も魔法少女になったなんて……お、驚きました」
「自分でも驚いてるんだけど、それより夜実ちゃんが魔法少女だったってことの方が驚いてるかな」
「す、すみません!不用意に話すなって言われててそれでーー」
頭を物凄い勢いで下げている。
あのおとなしい夜実ちゃんには珍しい動きだ。
普段聞けないような大きな声だったし。
「気にしないでよ。私もそのことは未来子先輩たちに聞いてるから」
「……ありがとうございます」
「……」
「…………」
落ち着いたようだが少し息が上がっていた。
そんなに激しく頭を下げてたのか。
普段おとなしい夜実ちゃんとは違う一面を見ることができてなんだか得をした気分だ。
「そろそろいいかしら」
ふふっ、と笑って未来子先輩が会話に入ってきた。
その表情は子供を見る母親のような母性溢れるものだった。
なんとなく恥ずかしくなる。
横では夜実ちゃんが真っ赤になって俯いていた。
ーーーーーーーーーー
「意識してください」
そう言われて意識を指輪に集中させる。
目を瞑っているため、視界は真っ暗だ。
神経を指輪に集中させるイメージをする。
聴こえてくる雑音を無視して集中する。
どのくらい時間がたっただろうか。
全身の血液が指輪へと流れていく様な感覚を感じた気がした。
っ!?
これは成功か!
目を開けると先程と何も変わらない風景が写っていた。
気のせいだった。
「駄目かぁー、はぁ」
「だ、大丈夫ですよ先輩。焦らずいきましょう」
あの後未来子先輩から簡単な説明を受けた。
これから魔法を使えるようになるまで夜実ちゃんと訓練をしてもらうとのことだった。
今日は特別に執行部室を使っていいとのこと。
明日からは他に部屋を用意してくれるようだ。
さすがに毎日ここに来ていたら息が詰まってしまう。
未来子先輩は用事があるようで席を外している。
人はこないから心配しないでいいと言っていた。
漫画とかでよくみる人払いの魔法というやつなのだろうか。
ともかく、私は夜実ちゃんと、いや、夜実先生と魔法の特訓に勤しんでいた。
まず、始めにやることは魔法を使う感覚になれることだった。
今まで魔法なんてものを使ったことがないからどうやればいいのかわからないと言ったところ。
指輪に意識を集中させてみてください
と言われた。
とりあえずやってみているのだがこれがまたなかなかできない。
成功すると指輪が光るのだそうだが光る気配は全くといっていいほどない。
「私才能ないのかなぁ」
思わずため息が出てしまう。
それも仕方ない。
魔法が使えると言われて期待していた分、いざできなかった時の落差が激しい。
「まだ、使う感覚がわからないだけだと思います。……………………。」
しばらく夜実ちゃんは考え込むと。
「……そうだ」
何か思い付いたらしく顔を上げた。
そして、私にある提案をする。
「あの、私の魔法でサポートするのでもう一回やって貰っていいでしょうか」
「うん、いいけど……」
魔法でサポート、一体どんなことをするのだろう。
気にはなるがとりあえず言われた通りやってみよう。
私はさっきと同じく目を瞑り、意識を集中させた。
「では、いきますね」
夜実ちゃんがそう言った直後、変化が表れた。
突然周りの音が聞こえなくなる。
さっきと違い周りの音がまったく気にならなくなった。
どれだけ頑張って集中してもやはり限界がある。
どうしても聞こえるものは聞こえるし、集中することを意識し過ぎてかえって集中できなくなるものだ。
だけど今は自然に集中することができた。
音が気になることもないし、集中することを意識し過ぎることもない。
自然に指輪へ意識を集中させることができている。
集中すること数秒。
再び指が熱くなる感覚を感じた。
さっきの感覚と似ているようで明らかに違う。
何かが確実に起こると確信できる感覚だった。
私は目を開ける。
すると今まで反応が全くなかった指輪が光り輝いていた。
物凄く、眩しすぎるくらいに。
……太陽拳かよ。
「っ!?す、凄いです……」
夜実ちゃんがぼそっと呟く。
「そうなの?でも、魔法でサポートするって言ってたけど」
「私は先輩が集中しやすい様にしただけです。魔力を上げるものじゃありません」
なるほど。
じゃあ、本当に私に魔法の才能があるということなのか。
そう言われると素直に嬉しい。
さっきまで才能がないと思っていただけに喜びも大きい。
「月岡先輩と同じか、それ以上かもしれません」
月岡先輩がどれほどの凄いのかは分からないけど表情を見る限りそれは凄いことなのだろう。
しばらく私たちは眩しい光を見つめていた。
人間、どんな才能が眠っているのかわからないものだ。
やっと私にしかないものを見つけることができたような気がした。
見やすくなるように弄ってみました。
見辛くなってたらごめんなさい。




