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In a Dream ~魔法少女の夢を見る~  作者:
夢の始まり
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No.4 魔法のExplanation

『生徒会執行部』


目の前のドアにはそう書いてある。


あの不思議なことがあった次の日、私は放送で呼び出された。

しかも高等部の執行部にである。


私が通う深山(みやま)学園は中高一貫の学園である。

広大な土地には中等部棟と高等部棟と特別棟の3つの建物があり、生徒たちはその建物を使い学生生活を送っている。


中等部の執行部に呼び出されるのは分かるがなぜ高等部の執行部なのだろうか。

いつもは関わりがない所なだけに少し緊張する。



「失礼します」



ノックをして返事を待つ。

するとすぐに返事が帰ってきた。



「入ってくれ」



ドアを開けると教室2つ分はあろうかという大きさの部屋が広がっていた。


中央には長机がいくつも並んでおり、その上には書類が積まれていて仕事の量と大変さが伺える。

前に中等部の執行部室に入ったことがあるがここまでの書類の量はなかった。



「君が砂々森(ささもり)荒木(あらき)か?」



凛とした声で一人の女性が話しかけてくる。

長く黒い髪を後ろで一つに束ねているいわゆるポニーテールの綺麗な女性だ。

つり目気味のその女性の眼光は鋭く、気の弱い人ならば殺せそうなほどだった。



「は、ハい!」



思わず声が裏返ってしまった。



「…………」

「…………」



広い生徒会室に沈黙が走る。

物凄く気まずい。

ただでさえ初対面なのに気まずい雰囲気を作ってしまった。


コンコン


この空気をどうしようかと悩んでいるとノックの音が聴こえた。



月岡(つきおか)先輩、千藤(せんどう)です」

「…………入ってくれ」



少し間があって先輩が答える。


誰だか知らないが助かった。

この沈黙に耐えられるほど私の精神は強くない。



「失礼します」



ノックの主が入ってくる。

この状況を救ってくれた人物を見るために振り替える。



「あ!」



思わず声が出てしまった。

なぜならその人物は昨日私を救ってくれたあの少女だったからだ。



「どうも。奇遇ですね」



少女は隈のできた不健康そうな顔をにやけさせて私の方を見て軽く手を挙げる。


再び先輩は私の方を向き、咳をして話をする体勢に入った。



「改めて、私は高等部生徒会執行部副会長の月岡(つきおか)(まどか)だ。そして彼女がーー」

「中等部2年の千藤(せんどう)もがみでーす」



自己紹介をする二人。

月岡先輩は時々見かけるから知っていたが、少女、もとい千藤さんって年下だったのか。

大人っぽいから全然わからなかった。


ともかく、自己紹介されたならこちらもしなければなるまい。



「中等部3年の砂々森(ささもり)荒木(あらき)です」



今度は声は裏返っていない。

何度も裏返っていたら変な人だと思われかねないので細心の注意を払って喋る。

後輩もいることだし少しはしっかりしなければ。



「いきなりのことで混乱しているかもしれないがわからないことがあれば何でも聞いてくれ」



うん?

状況が全く理解できないぞ。

月岡先輩は何を言っているのだろうか。



「大変なこともあるだろうがーー」



状況を把握できていない私を置き去りに話が進んでいく。



「共に魔法少女として平和を守っていこう」



…………魔法少女?

今魔法少女と言ったのか。

あのファンタジーとは無縁そうな月岡副会長が。

そもそもどういう意味だ?共に?

小学生じゃあるまいし魔法少女ごっこなんてことはないだろう。

冗談?いや、わざわざ呼び出す必要はないしそもそも冗談を言い合えるほどの仲でもない。

だが、嘘や冗談をついている様には見えない。

もしかしたら魔法少女というのは何かの暗喩なのではーー。



「……千藤。お前ちゃんと説明したんだろうな?」

「いえ、全然。魔法少女かどうかの確認だけです」

「説明までしろと言ったはずだが」

「面倒だったんでやりませんでした」

「……はあ。お前に頼んだ私がバカだったよ」





ーーーーーーーーーー




考え込んでしまった私に月岡先輩は魔法少女について色々と説明してくれた。


魔法という人知を超えた力を与えられた人のことを魔法少女と読んでいるらしい。

夢に謎の少女が現れる。これは魔法少女になった人全員が経験した共通する現象だという。


目的も使命もわからない。

ただ不思議な力を授かるだけ。


朝起きたら不思議な力に目覚めている。

思春期の子供なら誰しも夢見たことだが実際起きてしまったらこれ程恐ろしいものはない。


人の命を簡単に奪えてしまうものを思春期の子供が持つのだ。

当然加減をしらない子供は好き勝手に使うだろう。

気に入らないものを壊し、気に入らない人を殺し、自分勝手に好きなようにする。

そんなことが容易に想像できてしまう。


そんなことを起こさせないために月岡先輩達は他の魔法少女の抑制などを行っているのだという。

いわば自警団のようなものだ。


始めは信じられなかったが魔法を目の前で見てその存在を信じるしかなくなった。

そんな力が自分にあると言われて始めは嬉しかったが時間が経って落ち着いてくると不安になる。

違う世界に紛れ込んでしまったようなそんな感覚。



自警団に誘われた私だがとりあえず仕事を見てから入るかどうか決めてくれということだった。

そして放課後、どんな仕事かを知るために千藤さんと街を歩いていた。



「これって本当に魔法の杖なの?」



左手の薬指にはまっている指輪を指差して前を歩いている千藤さんに尋ねる。



「そうですよ。さっきも説明しましたけどそれを媒体に魔法を使うんです」



どうみても普通の指輪にしか見えない。

別に魔法の杖への拘りはないのだが『魔法少女=魔法の杖』のようなイメージはあったので残念感は否めない。



「魔法を使えば形状も変化させられるんですけどね。だから『おかしな杖(ワンダーワンド)』って呼んでる人もいます」



なるほど、じゃあ杖にもできるということか。

その他にも剣とかにもできてなかなか便利そうだ。



「まあ、形状変化させる人なんてそうそういないですけどね」

「え、なんで?」



なぜだろう。

魔法を使うのが面倒なのだろうか。



「壊れたら魔法使えなくなりますからね。剣とかにして壊れでもしたら大変ですから」

「あー」



それほど万能なものでもないらしい。

物理的に損傷があれば壊れる。

それはこの世にある万物と同じでありファンタジーのような耐久性はない。

そこは妙にリアルでなんだか一気に現実に戻されたような感じがした。



「ここら辺ですかね」



歩いていた千藤さんが立ち止まる。

どうやら話をしていた間に目的地へ着いたらしい。


寂れた商店街の一角。

シャッター街と化した街のさらにはずれ。

人気が全くといっていいほどない場所だった。



「ところで今日の仕事ってなにをやるの?」



今までの疑問に思っていたことを聞いてみる。

月岡先輩には仕事を見てくれとは言われたが内容は聞かされていない。



「影狩りですよ」



その言葉と同時に周りの影が揺らぎ出す。

木や家の影だったものはやがて人の姿へと変わっていく。


昨日見たあの影だ。

あのときは震えが止まらなかったが今は平気だった。

千藤さんがいるからだろうか。

後輩に安心するとは我ながら情けない。



「今日はこいつら『夢魔(ナイトメア)』のお掃除です」



千藤さんが指輪に手をかざす。

瞬間、眩い光に包まれた。


光が収まるとそこには紫色の魔法少女服に身を包んだ千藤さんがいた。



「それじゃあ、よく見てて下さいよ」

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