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No.26 Immortal ~浅谷学園~

私は今、電車に揺られ隣の市へと向かっている。


隣に夜実ちゃんが座っているだけでこの車両には他に人はいない。

早い時間ということもあってかとても静かだ。



「ねぇ……」

「……どうしたんですか?」



静寂に耐えきれなくなった私が口を開く。



「私たちって何しに行くの?」

「……え?……先輩知らないで来たんですか?」

「う、うん」

「美園会長から……話聞きませんでしたか?」

「なんか昨日電話かかってきたんだけど寝ぼけてて何て言ってたかほとんど覚えてないんだよね。7時に駅集合ってとこしか覚えてない」



昨日の夜中、といっても他の人からすれば夜中って時間ではないだろうが、そんな時間に会長から電話があった。

寝ぼけたままで電話にでたから詳しくは覚えてないのだが、その時にどうやら今回の目的について説明があったらしい。

夜実ちゃんにも同じように電話があったそうだ。



夜実ちゃんの話によると内容はこんな感じらしい。

隣の市である浅谷(あさや)市で夢魔(ナイトメア)が最近大量に目撃されるらしい。

浅谷市の魔法少女だけでは夢魔退治が難しい為、私たちに協力が要請されたということ。



この前プールに行ったときには感じなかったが大変なことになっているようだ。

もしかしたら会長は視察も兼ねてあの計画を立てたのかもしれない。

……いや、それはないか。


ともあれ、今回の仕事は少し気楽だ。

相手が人間ではない分、色々と考える必要がない。

それに夢魔退治はこれからもあるだろうから経験を積んでおくことは悪くないだろう。


そんなことを考えながら浅谷市へ着くまでの間、窓から見える景色をなんとなく眺めていた。




ーーーーーーーーーー




「お疲れ様ですっ!」



浅谷駅に着くなり、元気な挨拶で出迎えられた。

声の主はおそらく学校指定であろう半袖短パンのジャージを着たポニーテールの少女だった。



「えっと……あなたは?」

「自己紹介遅れましたっ!ウチは木枯(こがらし)(ひかり)といいますっ!浅谷学園中等部2年ですっ!今日は案内役としてお二人を案内しますっ!宜しくお願いしますっ!」

「う、うん。よろしく」

「……よ、よろしくお願いします」



あまりの元気さに押されてしまう。

私も元気さには定評があると自負しているが木枯さんはそれを越えた元気さを持っていた。



「それではこちらですっ!ウチについてきてくださいっ!」



木枯さんに促され、私と夜実ちゃんはその後をついていく。



駅から数分あるくと、校舎らしき場所が見えてきた。

深山学園ほどは大きくないがそれでも立派な校舎だ。

校門前には『浅谷学園』と堂々と書かれている。

どうやらここが浅谷学園らしい。

『祝!陸上部全国大会出場』、『祝!バスケットボール部県大会優勝』などの垂れ幕があることから運動部が盛んなことが分かる。

その他にも垂れ幕が何個もあった。



「着きましたっ!ここが浅谷学園ですっ!」

「凄いねぇ。運動部強いんだ?」

「はいっ!浅谷学園は県内でも有名なんですっ!ウチも憧れてここに入ったんですっ!」

「木枯さんは何かやってるの?」

「はいっ!バスケットボール部に所属してますっ!」



まだ補欠ですけど、と少し照れながら話す姿は年相応で微笑ましかった。

応援したくなる雰囲気を持った少女だ。



「頑張ってね」

「はいっ!ーーって、そうでしたっ!お二人をお連れしないといけないんでしたっ!」



そうして私たちは浅谷学園風紀委員室へと案内されたのであった。




ーーーーーーーーーー




「君が砂々森(ささもり)さん?『埋葬』の件で噂は聞いてるわよ。深山の期待のエースって」

「は、はあ」



なんだか気の抜けた返事になってしまった。

それも仕方ないだろう。

部屋に案内された先にいた初対面の人間にいきなりそう言われたら誰だって気の抜けた返事になるに違いない。



「同然ですわね。何といっても(わたくし)の可愛い後輩ですもの」



すでに浅谷学園に来ていた会長が私を後ろから抱きついてくる。

どんなセクハラをされるのか少し身構えたが何もする気配はない。

むしろ、二つの柔らかい感触を首もとに感じるので悪くない。

いい香りもするし、悪くない。



「美園は相変わらずだねー。あ、私は浅谷学園高等部3年、風紀委員長の八丁堀(はっちょうぼり)(あずま)。よろしくね」

「は、はい」

「……よろしくお願いします」

「そんな緊張しないでいいよ。何もとって食ったりなんかしないから」



サバサバした人だ。

考えが柔軟になった月岡先輩といった感じだろうか。



「まあ、気を付けないとそこの人に食べられちゃうかもしれないけどね」



私の後ろを指差しながらそう言う。

後ろにはもちろん会長がいる。



「『美少女を喰らわば破瓜まで』っていいますし、同然じゃないですの?」



いや、そんな諺はない。

あってたまるか。

てか、この状況危なくない?

これ貞操の危機?



「いや、そこは嘘でも否定しようよ。一応私風紀委員長なんだしさ。友達を取り締まるとか嫌だからね」



八丁堀先輩は笑っていた。

できれば笑っていないで取り締まって欲しいです。



「……」

「…………」



ほら、夜実ちゃんと木枯さんがどうしたらいいかわからないで固まってるよ。

ここは彼女たちの為にも話を変えることにしよう。

身の危険も感じるから早く話を変えよう。



「あのーー」

「ああ、ごめん。話がそれちゃったね」



話を切り出す前に八丁堀先輩が察してくれたようだ。

軽く咳払いをする。



「それじゃあ、気を取り直して説明をさせてもらいます」

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