No.25 少女達のSummerVacation(終)
今思ったんですが実際の季節とこの話の季節が真逆過ぎますね。
でも、たぶんそのうち追い付きます。
「まったくお前はなんでこういつも問題ばかり起こすんだ」
ご立腹な様子の月岡先輩の視線の先にはスキューバダイビング装備のまま正座させられている会長がいた。
「だって……」
「だって何だ?」
対する会長はどこか拗ねているように見える。
「目の前にうら若き少女の肢体があるのに永久保存版として残さないと勿体ないじゃない」
「…………」
「登山家が山に登るのが当然なように私が女の子の肢体を舐め回すように見るのは当然のことですわ」
「…………」
「綺麗な風景を見て思わずカメラのシャッターを押してしまうように、綺麗な肢体を見て思わずREDで水面下から撮影してしまうのは人間の性でしょう?」
「…………」
「何故避難されるのか理解に苦しみますわね」
「……もういい」
会長の熱弁とは真逆で月岡先輩の声はとても冷やかだった。
「私は公私混同はしないと決めているのだが今回は別だ。帰ったら私の魔法でお前を今度こそ真人間にしてやる」
「何を言っているの?私はすでに真人間じゃない?それより、貴方はその怒りっぽい性格を直した方がいいと思いますわ。もっと心を広く持ちなさい、私のように」
「……(ぷちっ)」
何かが切れる音がした。
それを察したのかすぐさま未来子先輩が仲裁に入る。
会長には諭すように、月岡先輩を宥めるように二人を説得していた。
「ねぇ」
「ん?」
隣にいる氷柱が小声で話しかけてくる。
「あれって本当に会長よね?」
「そりゃ、そうでしょ。え、なに?バナナにでも見えーーぐふっ!」
肘鉄が鳩尾を抉る。
「バカ?あんたってバカなの?」
「冗談じゃん、何も本気にしなくても」
「本気にしてない。悪意を感じたからやっただけ。今度言ったらまた病院送りにするわよ」
「わ、わかったって」
目が怖かったので頷いておく。
こりゃあ、本気で殺る目だ。
「それで話戻すけど、会長、学園にいるときと全然違うわね。前にあったときと別人みたい」
「え?会ったことあるの?」
「そりゃ、あるわよ。私も会長だし」
「いや、会長は会長でしょ」
「だから、美園会長は高等部の会長で、私は中等部の会長ってこと」
「あー、なるほど…………って、えぇっ!?氷柱って会長だったの!?」
「……はぁ。今さら?」
「唯ちゃん、知ってた!?」
プールに足を浸けて遊んでいる唯ちゃんに確認してみる。
「知ってるよー、有名だもん。らきちゃん知らなかったんだー、あははー」
どうやら本当らしい。
夜実ちゃんの方も見てみるが同じ意見のようで頷いている。
「むしろどうやったら知らずに過ごせてたんですかねぇ」
千藤さんもやや呆れ顔でそう言った。
私だけが知らなかったのか。
「……まあ、あんたが知ってても知らなくてもどっちでもいいけど」
そう言っていたが、幼馴染みのことを知らなかったのは流石に申し訳ないと思った。
しばらく気まずい雰囲気が続いて、なんだか居心地が悪かった。
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月岡先輩のお説教が長引くようだったので、私たち中等部組は離れて遊ぶことにした。
楽しい時間というのはあっという間で、気がつくともう閉館の時間が迫っていた。
名残惜しかったが仕方ない。
プールから上がり、着替えを済ませて帰る支度をする。
「皆、忘れ物はないか?」
落ち着きを取り戻した月岡先輩は皆に確認を取る。
いつもの月岡先輩だ。
少し後ろを歩いている会長は生気を失ったような顔をしていた。
どうやら撮影していた映像を消去されてしまったようだ。
まあ、あれは盗撮になってしまうから仕方ない。
「あ!すみません、忘れ物したので取ってきます。先に行っててください」
そうだ、忘れ物をしてしまった。
危ない危ない。
忘れちゃいけないものを忘れてしまうところだった。
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○REC
「あったあった」
よかった。
これを忘れたら大変だ。
コツコツお金を貯めて買ったのに買ってすぐなくしてたんじゃもったいない。
私は更衣室の隅に置いていたカメラを手に取る。
よし、帰って鑑賞会でもしようかね。
いやー、楽しみだ。
「ふーん、やっぱりそうだったのね」
後ろから声がしたので振り返る。
「なんか怪しいと思ってたけど」
そこには殺気と絶対零度の視線を向けてくる氷柱がいた。
「いや、これはそのーー」
「問答無用。懺悔は済ませた?この世に未練はない?何か言い残すことは?」
「や、優しくしてね」
こうして忘れられない夏の思い出がまた一つ増えたのであった。
REDってのは凄く綺麗に撮れるカメラらしいです。
全然知識ないですけどテレビとかでそんなこと言ってたような気がします。




