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No.24 少女達のSummerVacation(3)

遅くなりました。

○REC



「何してるの?」



私は子供用プールで浮き輪を付けて浮かんでいる千藤さんに声をかけた。

大事な選択がどうとか言ったけれどあれは特に意味はない。

なんとなく、ノリというやつだ。


マンガとかゲームでは選択肢は重要だ。

その選択肢によって物語が大きく変わったりする。

物語のターニングポイント、いわゆるフラグというものだ。

恋愛フラグ、死亡フラグなどフラグは多種多様あるがそのすべてにこの選択肢が関わってくる。

だから選択は慎重に行わなければならない。


だけどそれはフィクションに限った話である。

たった一つの選択だけで未来は決定しない。

選択を間違っても他で釣り合いを取ればいい。

未来は無限に広がっているのだ。

だからといって適当に選択をしていいものではないのだが。


要は大事そうだと思ったときに慎重になればいい。

それ以外は気にしてもしょうがない。

そのときのノリで決めればいい。



「何って見てわからないですか?浮かんでるんです」

「いや、まあそれはわかるけど……」

「ああ、先輩は何で自分が子供用プールにいて、そして何で浮き輪をしているのかを知りたいんですよね」



その通りだ。

皆大人用のプールへ行ったのに千藤さんだけは子供用プールへ向かった。

一応これは親睦を深めるという目的があるのでできれば皆の所にいって一緒に遊んで欲しいのだが。



「あー、自分騒がしいところ苦手なんですよ。皆さん楽しんでるのに一人だけテンション低いのがいると雰囲気悪くなるじゃないですか。自分空気読む天才ですからこうして距離とってるんですよ。気が利きすぎてヤバイっすね」



…………。

まあ、何も言うまい。



「そ、そんなことないよ。私も千藤さんと仲良くなりたいから一緒に遊ぼうよ」

「お気持ちは有難いですけど気を使わなくて大丈夫っすよ。こうやって浮いてるの楽しいんで。それにしても浮き輪を発明した人って偉大だと思いません?こんな輪っか着けただけでこんなにも水に浮かぶようになるんですよ。どんなにカナヅチでも溺れないんですよ。まさにカナヅチ界の救世主(メシア)ですよね」



ふむ、やけに浮き輪を評価しているようだ。

もしかして泳げないのだろうか。

それなら考えがある。

意地は悪いが親睦を深めるためだ。

致し方ない。



「ねぇ、千藤さん。一つの勝負をしない?」

「……勝負ですか?」



千藤さんか私の質問に少し反応を示す。

勝負という言葉が引っ掛かったようだ。



「うん、勝負。千藤さんは一人がいいみたいだけど私は千藤さんと遊びたい。お互いに譲り合う気はないから話は平行線のままだよね?だから勝負をして勝った方に従う。どうかな?」

「勝負ですか。自分相手にですか?そんなの決まったようなものじゃないですか」

「そうとは限らないかもよ」

「大した自信っすね。それで何で勝負するんです?」



私は一呼吸おいて千藤さんに言い放つ。



「私と水泳で勝負だ!」




ーーーーーーーーーー

○REC




はい、負けました。

完敗です。

過程を書く必要もなく惨敗でした。



「泳げるじゃん!!」

「いや、まあ泳げますけど」



息を切らしながら叫ぶ私の横に息一つ乱していない様子の千藤さんがいた。


普通ああいう浮き輪使ってる人って泳げないんじゃないの?

早かったんですけど!

私クロールしたのに平泳ぎで負けたんだけど!


こんなはずではなかったのに……。

なぜ現実は思い通りになってくれんのだ。

全く世知辛いぜ。



「じゃあ、先輩。罰ゲームやりましょうか」

「へ?」

「罰ゲームですよ。言ったじゃないですか、勝った方の言うことを訊くって」

「いや、言ったけど。それは千藤さんが一人でいることを私が了承するってことじゃーー」

「手ブラで」

「へ?」

「今日一日手ブラで過ごしてください」

「いやいやいやいや!!」

「まさか自分から言い出しておいて反故にするなんてこと先輩がするはずないですよねぇ」



その言葉に反論することはできなかった。

勝手な思い込みだけで決断してはならない。

そんな教訓を学んだ瞬間だった。




ーーーーーーーーーー

○REC



「そういえば会長どうしたんでしょうね?遅くないですか?」



ベンチに座っている月岡先輩の隣に腰掛けつつ、疑問に思ったいたことを聞いた。

結構な時間が経っているがまだ会長の姿はない。

ここまで来るのが遅いと何かあったのではないかと心配になってくる。



「いや、私はお前の方が心配なのだが……」



なにやら複雑そうな表情をしている。

その視線は私の首より下、へそより上を捉えている。

目線をおっていくとどうやら私の胸部を見ているようだ。

それはそうか、スクール水着をわざわざ半分下げ胸を手で隠している人間がいたら誰でもそのような反応を示すだろう。



「何もいわんでください。女にゃあやらねばならない時があるんですよ」

「そ、そうか」



かっこよく言ってみたが効果はないようだ。

逆に可哀想な人を見るような視線になった気がする。



「それで、会長どうしたんでしょうね?」

「ああ、それなんだが。よく考えるとあいつがこの状況でなにもしないとは考えづらいんだよ」

「それっていつものセクハラ的な何かですか?」

「まあ、そうだ。だからこうして警戒しているわけなのだが……」



なるほど、だから月岡先輩はプールが見渡せる所にいる訳か。

確かにいつもの会長を考えたらそうなのかもしれない。

でも、初対面の唯ちゃんや氷柱(つらら)がいるからそんな大それたことはしないと思うけれど。



「それをやるのが百合姫(あいつ)なんだよ……」



月岡先輩は溜め息をついて心底疲れきった様子でそう言った。


月岡先輩がそういうならそうなのだろう。

私も警戒しておこう。


さて、気を取り直して私も遊んでこようかな。



「あっ!」



1歩足を進めた所で視界が大きく傾いた。

どうやら足を滑らせたみたいだ。

そう思ったときには目の前に水が迫っていた。


水に勢いよく叩きつけられる。

そんなに高さはないのだが衝撃が結構あった。

身構えてなかったから余計だろう。


だけど、水に沈んだ私は叩きつけられた時の衝撃よりもっと大きい衝撃を受けることになる。



そこにあったのは……水の中で私が目にしたものは。



まるでスキューバダイビングをするような装備でカメラを構えた会長の姿だった。

今回で終わろうと思ったのですがまだ続くようです。

茶番にお付き合いください。

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