No.22 少女達のSummerVacation (1)
『浅谷市民プール』
目の前の建物にはそう書いてある。
そう、プールだ。
世間じゃもう夏休み、学生たちが待ちに待った長き休みなのだ。
これを励みに学園へ行っていた人も少なくないだろう。
かくいう私もその一人。
夏休みだけでなく、ありとあらゆる長期休業は私の励みであり、目標だ。
「おっきいねー」
隣で唯ちゃんが感嘆の声をあげる。
「こんなところ貸し切りだなんて、あんた何か怪しいことしたんじゃないでしょうね」
さらに隣では氷柱が訝しげな目で私を見ている。
視線が痛かったが、何も悪いことはしていないので胸を張って無視をする。
そう、今日はこのプールは貸し切りだ。
私と唯ちゃん、氷柱、夜実ちゃん、千藤さん、そして後から来る執行部の先輩方と遊ぶのだ。
ことの発端は私がまだ入院していた時のこと、病院で暇だった私の所に会長がやってきた。
「海にいきましょう」
「へ?」
いきなりのことに疑問符が浮かぶ。
何せ唐突だった。
病院で何もやることがなく、窓から見える木の葉っぱでも数えようとしていたとき突然会長が部屋の扉を開け放ってそう言ったのだ。
「海にいきましょう。水着を着ましょう。ポロリもしましょう」
「え?」
「あ、つい本音が。冗談ですわ。せっかくもうすぐ夏休みですし、親睦を深めるために海に行ったらどうでしょうと私は提案しますわ」
なるほど、親睦を深めるためにか。
確かに悪くない。
会長の本音が気になるが……。
「いいですね、私は賛成ですよ」
「そう言ってくれると信じてました。ではさっそく準備に取りかかりますわね」
そう言って会長は去っていった。
いきなり来ていきなり帰る、まるで嵐みたいな人だと思った。
いやー、この部屋が私一人でよかった。
他に人がいたら申し訳なかった。
次の日、また会長が来た。
浮かない顔だったのでどうしたのか聞くと、海に行く計画は白紙になったらしい。
なんでもこの前の事件の事後処理に追われてそんな遠出をする余裕がないようだ。
確かに遠くまで出掛けないと海はない。
会長は会社を首になったサラリーマンのごとき哀愁を漂わせていた。
病室で落ち込んでいる姿があまりに可哀想で私は提案したのだ。
海が駄目ならプールはどうですか、と。
そして、今ココ。
会長は隣の市にある市民プールを貸しきることに成功したようだ。
どんな方法を使ったのかは想像できないが。
プールを提案したときのあの会長の救世主を見るような目が忘れられない。
そんな大層なことを言ったつもりはなかったのだが、会長には救世主に思えたのかもしれない。
正直複雑だった。
メールが来て、先輩方は少し遅れるとのことだ。
先に遊んでいていいらしい。
「そんじゃあ、行きますか」
「おー!」
「お、おー」
唯ちゃんと夜実ちゃんはノってくれたが残りの二人はノってこない。
「ほら二人も」
「あ、はい。おー」
千藤さんはノってくれたが完全に棒読みだった。
まあ、いい。
ノってくれただけでも上々だ。
「ほら氷柱も。おー!」
「はいはい」
やっぱりのらなかった。
ノリの悪いやつめ。
だから友達がいなーー。
「ぃぃったい!」
腕を締め上げられた。
何も言ってないじゃん!
これ私じゃなかったら訴訟に発展するよ!
「くぅっ」
文句を言おうとしたがすでに姿はない。
どうやら建物へ入っていったらしい。
くそっ、あとでお返ししてやるからな。
私は決意と共に建物へと入っていったのであった。
あ、ちなみに蓮君は簀巻きにして置いてきました。
別に病室で爆笑されたからじゃないよ。
今回は女の子だけの水着パーティーなんで。
美少女達の水着が見れないなんて悔しいでしょうねぇ。
なんか続きます




