No.21 Burial ~おし埋~
あの後、私は執行部の人たちに病院へと連れていかれた。
運がよかったのかあんなに殴られたのにも関わらず、大事には至らなかった。
大事には至らなかったのだが、全身の打撲などで全治一週間と言われた。
しばらくは入院生活をしなければならない。
一連の事件の後処理は全部魔法協会が引き受けてくれるそうだ。
真地さんがお見舞いに来てくれた時にその話があった。
土間さんの処遇も教えてもらった。
ああいう罪を犯した魔法少女は魔法協会が管理する矯正施設へと送られるそうだ。
そこでメンタルケアや教育を行い、社会に復帰させるのだという。
私にできることはなかったのか。
こうならないようにするために何かできなかったのか。
そう考えてしまうこともある。
話を聞いたときもそれが顔に出ていたのか真地さんに諭すように言われた。
君は悪くないよ、と優しく。
その優しい表情がかえって胸が痛かった。
深く考えてしまうこともあったが、友達や執行部の人たちがお見舞いに来てくれたので思い詰めることはなかった。
関係者以外には詳しく説明できなかったから階段から派手に落ちたと説明したら唯ちゃんは心配してくれたけど氷柱からは呆れられた。
まあ、一応心配はしてくれていたようだけど。
そう信じたい。
夜実ちゃんと蓮君も来てくれた。
夜実ちゃんは心配してくれていたけど蓮が爆笑していたので後で教育的指導をしてあげよう。
未来子先輩と月岡先輩からは凄く謝られた。
自分達が不甲斐ないばかりに、と。
それと怒られもした。
一人で危険な行動はするなと、報告もするようにと言われた。
そこは自分の落ち度なので仕方ない。
でも、あんなことになるとは思わなかったのだから勘弁してほしい。
会長は私が動きづらいことをいいことにセクハラしていった。
途中で看護師さんが引きずって連れ出してくれたのは助かった。
本当に患者のことを考えてくれるいい病院だ。
千藤さんも来てくれた。
来てくれるとは思っていなかったので驚いた。
驚いたけど嬉しかった。
お見舞い品の果物を根こそぎ食べていったけど。
ベッドから体を起こす。
入院中は特にやることがないので暇だ。
私は何かできることがないか考えてみる。
ふと、あることを思い出した。
そして、ベッドの横の棚に置いてある一冊のノートに目を移した。
月岡先輩がお見舞いに来てくれた時に置いていったノートだ。
読まなくてもいいと言われたがやっぱり気になる。
私はノートを手に取りページを捲ってみた。
それは日記帳だった。
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堀峰咲diary
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3月20日
舞花の様子が変みたい。
元気もないし疲れているようにみえる。
どうしたのか聞いてみなくちゃ。
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3月24日
舞花がやっと話してくれた。
お父さんとうまくいっていないみたい。
私たちが何とかしないと……。
舞花が壊れちゃう。
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3月25日
陽亮と相談して舞花のお父さんと話をしてみることにした。
親子なんだからわかり会えるはず……。
もし、駄目だったとしても。
舞花は私たちが守る。
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3月27日
舞花のお父さんと話をした。
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3月28日
舞花が怪我をして学校に来た。
お父さんに殴られたらしい。
私たちのせい?
何とかしないと……。
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4月1日
舞花のお父さんともう一度話をしてみたけど駄目だった。
どうしよう。
私にできることはもうないの?
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4月15日
陽亮はずっと舞花のお父さんのところにいっている。
あとは俺がなんとかするからって。
舞花を頼んだって。
普段頼りないけどこういう時だけ頼りになる。
格好つけちゃって……。
陽亮……お願いね。
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4月17日
舞花がお父さんと向き合って話をしたみたい。
やっと前の笑顔が帰ってきた。
本当によかったね……。
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4月24日
陽亮が舞花と付き合いだしたって。
まあ、前から陽亮の気持ちはわかってたけど。
好きな二人が幸せになったんだから応援しないとね。
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5月10日
陽亮から相談があった。
舞花のお母さんをどうにかして見つけたいって言ってた。
私もそう思う。
舞花には幸せになって欲しいから。
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6月2日
舞花のお母さんを探しているけど見つからない。
やっぱり情報が少なすぎるのかなぁ。
いや、でもがんばらないと。
舞花の誕生日までには見つけたいな。
舞花、喜んでくれるかなー。
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そこには親友の幸せを願う、友達思いの少女の姿があった。
一応これで一区切りです。




