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In a Dream ~魔法少女の夢を見る~  作者:
夢の始まり
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No.2 夢と現実のQuestion

「君は魔法を信じる?」



目の前にいる少女が私に問いかけてくる。


頭がはっきりとしない。

少女が何かを言っているのはわかるが何を言っているかが理解できない。


周りを見渡すと私と少女以外に何もなくただ黒い空間が広がっているだけだ。


どうしてこんなところにいるのかも、今まで何をやっていたのかも思い出せない。



「聴こえているかな?おーい」



反応がない私を見かねたのか少女は私の目の前で手を振りだした。



「ボクの声聴こえてるー?」



先程よりも声の音量を上げて私に話しかけてくる。


少女の努力のおかげか私の意識は次第にはっきりしてきた。

ゴスロリ風の黒い服を着た10歳くらいの少女が目の前で必死に手を振っているのが分かった。



「……うん。聴こえてるよ」



とりあえず彼女の声が聞こえていることを伝えるために返事をする。



「あ、聞こえてたんだ。よかった、てっきり無視されてるのかと思ったよ」



少女は安心したように胸を撫で下ろした。



「ごめんね、ちょっとボーッとしてて。ところでここはーー」

「ここはね君の夢の中だよ」

「夢?」



ということは今私は寝ているのだろうか。

夢を見ているならきっと家で熟睡しているのだろう。



「そう、君の夢」

「明晰夢ってやつ?」

「うーん、ちょっと違うんだけど。そんなものだと思ってくれていいよ」



そう言って少女は背を向けて私から遠ざかる。



「君は魔法を信じる?」

「え?」

「だーかーらー、質問。魔法を信じる?」



振り向いた少女は頬を膨らませて不機嫌そうになっている。



「魔法ってあの魔法?箒で空を飛んだり、火を出したりできるあの?」

「そう、その魔法。なんでもできちゃう魔法」



子供の頃は魔法を信じていて魔法を使いたいとか魔法使いになりたいとか思っていた気がする。

だけどそれは子供の頃の話だ。

15年間現実を生きてきて魔法なんて不思議なものはないと知っている。



「信じてはいないかな。あったら使ってみたいと思うけど」



答えてから後悔する。

相手はまだ幼い少女だ。

そんな少女の夢を壊してしまうような答えは正しい解答とは言えないだろう。

ここは夢のある解答をしなくては。



「じゃあ、魔法を使って叶えたい夢はある?」



だが、気にした風もなく少女は質問を続ける。



「……叶えたい夢かぁ」



私は少し考え込む。

これまでの人生を思い返す。


誇れるものが何もなく、努力もしないでただ何となく生きてきた。

他人を羨むばかりで行動に移さない。

運動神経がよかったらとか、頭がよかったらとかそんな妄想をしたこともある。


成功している人達のような才能や行動力が自分にもあったら今と違う自分になれたのだろうか。


そんなことが自然と思い浮かんだ。



「誇れるような自分になりたいかな。もしそんな魔法があったらだけどーー」

「あるよ。魔法はある」



どんな魔法もね、と少女は可愛らしい笑顔で私に言った。



「もし君がそれを心の底から願うのなら、ボクがその願いを叶えてあげるよ」



そう言って少女の手が私の目を覆う。

途端に目の前が真っ暗になる。

自分が周りの黒に溶けていく感じがして徐々に意識も薄れていく。


ボクが夢を見せてあげる


耳元で何か囁かれた気がしたけど鈍くなっていく聴覚では何も聞き取れなかった。




ーーーーーーーーーー




ガタッ!!


イスから落ちる音で目が覚めた。


周りを見渡す。

クラスメイトたちは各々自由なことをしている。

机に向かって勉強をする人、仲の良い数人で集まって談笑している人、寝ている人。

休み時間なのだろうか。

ふと時計を見ると針はいつもなら授業中である時間を指していた。



「らきちゃん、おはよー」



と後ろの席から声がする。

振り向くとクラスメイトであり親友である各務(かがみ)(ゆい)ちゃんがほんわかとした顔で笑っていた。


その額はまるで何かを長時間押し付けたかのように赤くなっていて綺麗なブロンドの髪も所々乱れている。



「えへへー。私も寝ちゃったー」

「だよね、寝ちゃうよね」



同士を見つけたことで安心した私は腕組みして深く頷く。


唯ちゃんはこの学園に入学してから知り合った友達だけどすぐ意気投合して親友になった。


考え方が近いからか一緒にいて楽しいし心地よい。

平日休日問わず遊ぶ仲良しなのだ。



「ねぇ、唯ちゃん。今って授業中だよね?」

「うん、そうだよー」

「じゃあ、何でみんな自由にしてるのかな?」

「なんでだろうねー」



…………謎は深まるばかりだ。

こうなったら奥の手を使うしかない。

この手は使いたくなかったが謎を解明するためには仕方ない。

私の脳細胞では手におえない。


よし。



「ツラえもーん!」

「誰がツラえもんよ」



バシッ



「あたっ!」



頭を叩きつつ背後から幼なじみの瑞端(みずはし)氷柱(つらら)がご登場なされた。


紹介しよう、この人間の皮を被った黒髪ストレートゴリラは事あるごとに私に暴力を振るってくる貧乳系女子なのである。


ガシッ

バキッ


腕を掴まれ、関節と逆の方向に曲げられた。



「いだだだだだ!ギブッ、ギブッ!」



物凄く痛い。

人間に元からある谷折り線には逆らわないことが大切だということを知った瞬間だった。



「なにするのさ!」



やっと解放された私は涙目で氷柱を睨み付ける。

だが、睨み付けられた本人はいたって涼しげな顔である。



「何か失礼なこと考えてた気がしたから」



平然と答える氷柱。

長年の付き合いでこちらの思考は筒抜けなのだろう。

腐れ縁というものは非常に厄介なものだ。



「何か文句でもある?」



自分に非が全くないと言わんばかりだ。

少し腹が立つが仕方ない。ここは大人である私が妥協しなければならないだろう。



「ないですー」



大人な私は大人な対応をする。

これでまた大人の階段を一歩上がった……あとで愚痴ノートにでも書いておこう。


ギロッ


氷柱が睨み付けてきたので話を逸らすことにしようか。



「ところで今って授業中だよね?」



意図が伝わったらしく黒板を指差して一言。



「自習」



と短く答えた。

呆れた様子でため息をつき、視線を唯ちゃんに向ける。



「これはもう手遅れにしても、あなたには未来があるんだからちゃんとしないと駄目じゃない」

「えへへー」



唯ちゃんは笑って誤魔化す。

何を言っても笑って誤魔化すのはいつものことなので氷柱は苦笑していた。


笑って誤魔化すと鉄拳制裁される私とでは随分と違うようだ。

何だろうかこの差は。


思えば唯ちゃんに対しては保護者の様な温かい目をしているが私に対してはゴミを見るような冷たい目をしているような気がする。


認めると精神的なダメージが大きそうなので気のせいだと思っておくことにしよう。



「でもよかったよ、自習で」

「そうだねー、先生に怒られないもんねー」

「うむ、今日は運がいい」



いつもなら先生に叩き起こされ説教をされる流れだが今日は怒られず睡眠も取れていい気分だ。


窓の外を見るとすっきりとした青空が広がっていてまるで今の気持ちを写し出しているかのようだった。



「ねえ」



不意に氷柱が私に話しかけてくる。



「あんたってそんなの付けてたっけ?」

「え?」

「頭悪いんだし校則くらい守った方がいいわよ」

「なに言ってるの?」



何を言ってるかわからない。

校則?別に何も破ってはいないと思うが。

あと頭が悪いは余計だ。


もしかしたら存在自体が校則違反とでも言いたいのだろうか。

いいだろう、拳で語り合おう。

そうしたらきっと私たちは分かり合える。


左手の拳を握り右手で包むようにして構える。

ふと手に違和感を感じた。



「だからそれ」



指で指された左手を見る。



「その指輪」



いつの間にか左手の薬指に指輪がはめてある。

全く身に覚えのない指輪がそこにあった。


それはまるで結婚指輪のようで案外悪くないなと思った。

人物描写苦手なので脳内補完して頂けると助かります。

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