No.13 Burial ~容疑者~
「今回の事件の犯人、魔法少女はおそらくこの学園にいる」
福祉原君が発見されて数日後、私は執行部室に呼び出された。
そして、月岡先輩先輩からそう告げられた。
執行部室には私が知らない人も何人かいた。
おそらく彼女たちも魔法少女なのだろう。
皆表情が固いような気がする。
もしかしたらここまでの召集は滅多にないことなのかもしれない。
それほどまでに大きな事件なのだろう。
「君たちには学内及び、学外の魔力の痕跡を調べてもらいたい」
「なんで学園にいるってわかるんですかー」
緊張感漂う中、緊張感がない声で質問をする人がいた。
千藤さんだった。
「被害者はほぼ全員無傷で埋められていた。一人を除いてはな」
「あーなるほど、それが福祉原君ってわけですね」
「そうだ。福祉原陽亮だけは損傷が激しかった。おそらく怨恨だろう。警察もそう睨んでいるようだ」
そうだ、福祉原君は死んでしまっていたのだ。
行方不明者ではなく、被害者として遺体で発見された。
昨日の決意はなんだったのか。
決意しても現実には何も影響を与えることはできない。
無事であって欲しいと願ってもその願いは届かない。
福祉原君たちのことを話している時の土間さんを思い出す。
私は彼女になんと声をかければいいのだろうか。
いや、何もかける言葉はない。
彼女に声をかける権利があるのはあとは堀峰さんだけだろう。
出会って数日しか経っていない私の言葉は届かない。
「これが容疑者のリストだ。後で目を通しておいてくれ」
配られた資料に目を通す。
そこには中等部と高等部に在籍している生徒の名前がいくつかあった。
そして、私の視線がある名前で止まる。
『堀峰咲』
土間さんの親友であり、殺された福祉原君の友達でもある現在行方不明の少女の名前がそこにはあった。
「あの!これって!」
私は思わず月岡先輩に詰め寄っていた。
取り乱す私とは対照的に月岡先輩は冷静な様子だった。
「言いたいことはわかる。だが、あくまで容疑だ。決まった訳じゃない」
「でも……」
何か言い返そうと思ったけれど何も思い付かなくて私は口をつぐむしかなかった。
「話はこれまでだ。未来子、あとの指示は頼む」
「わかったわ」
「すまない。百合姫、行くぞ」
「……わかりましたわ、行けばいいのでしょう」
月岡先輩は会長を連れて、執行部室を出ていった。
「それじゃあ、役割分担なのだけれどーー」
それから未来子先輩は私たちに今回の事件についての情報と仕事の分担について説明があった。
ーーーーーーーーーー
「あー、めんどいっすね」
隣で千藤さんがそう呟いた。
見るからに怠そうにしている。
「別に自分達がやらなくてもよくないですかね。日本の警察も無能じゃないでしょうし、犯人見つかってからでもいいと思いますけどねぇ」
私と千藤さんは福祉原君が発見された場所へと来ていた。
学園から商店街へ向かう途中の雑木林。
そこで福祉原君は発見された。
警察の人たちがいて近づいたときに止められたのだが、執行部の名前を出すとそこの責任者が出てきて難なく通して貰えた。
警察も公認なのだろうか。
だけど一度止められたことを考えると一部の人しか知らないようなことなのかもしれない。
「まあ、決まったことは仕方ないですし早く終わらせましょうかね」
「ところで何を調べるの?」
元々私は違う仕事が割り振られたのだが、自分で申し出てこの仕事に変えてもらった。
土間さんのこともあるし、何かせずにはいられなかったのだ。
結局いい経験になるだろう、とのことで千藤さんとこの仕事をすることになった。
「魔力の痕跡ですよ」
そういって千藤さんは指輪の形を変形させていく。
変形させた姿はダウジングに使うL字型の棒だった。
「魔力を使うと必ず痕が残るんです。ほら指紋とか足跡とかありますよね。あんな感じで」
まあ、目には見えないですけどね、と言って肩を竦める。
千藤さんが言うにはその魔力痕は指紋と同じで人ごとに違うらしい。
それを分析すれば誰が魔法を使ったのかわかるそうだ。
千藤さんはそこら辺を歩き回っている。
ダウジングが反応するのを待っているのだろうか。
「これ気になりますか?」
ダウジングの棒を指差す。
「これは気分ですよ。別に意味はないです。魔力痕なんてすぐにわかりますし、要は暇潰しですよ。あ、先輩やってみます?」
「そんなに簡単にわかるものなの?」
「よゆーですよ、よゆー」
千藤さんに言われて魔力探知をやってみる。
「目を瞑って感じてください」
千藤さんの説明は大雑把だった。
「それで何となく感じた魔力をそれとなく分析するんです」
やっぱり大雑把だった。
その後、一時間ほどやって魔力を感じることはできたがその魔力がどのようなものかはわからなかった。




