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No.12 Burial ~土間舞花~

その後、様々な場所へ行き情報を集めようとしたのだが収穫はなし。

堀峰(ほりみね)さんと福祉原(ふくしばら)君の足取りは掴めなかった。


どこで話を聞いても特に変わったことはない、いつもと変わらない様子だったと言われた。

さすがにここまで何も情報が集まらないとは思わなかったので正直手詰まりだ。


そこで視点を変えようと思い、埋葬事件の被害者についての資料を執行部から借りてきた。

被害者と何か接点があるかもしれない。

行き詰まったら見方を変えるのも大切なことである。


そして今、部室で資料を眺めているのだがお手上げだった。

被害者は職業も年齢もバラバラでおよそ接点があるように思えなかった。

共通点といえばこの街に住んでいるということだけか。

もしかしたら意外にどこかで繋がりがあるのかもしれないが、資料を見ただけではわからない。

また、聞き込みをするしかないだろう。


私は淹れてあったお茶を飲み、休憩を取ることにした。

ずっと資料を見ていたので目が疲れたし、肩も心なしか凝っているような気がする。



コンコン



肩を解すために軽く首を回していると部室のドアがノックされた。



「どうぞ」

「失礼します」



ドアを開けて入ってきたのは土間さんだった。

前見たときよりは大分顔色は良くなっているが、それでも疲れているように見えた。



「今お茶淹れるね」

「……ありがとうございます」



土間さんは私に促されてソファに座る。

待っている間、少し落ち着かない様子だった。



「どうぞ」

「ありがとうございます。……それであの、どうですか?」



その問に対して私は首を横に振る。



「ごめんね。学園も色々としてくれてるみたいなんだけど」

「……そうですか」



その答えに対して土間さんは肩を落とした。



「元気出してね。私も出来ることがあれば手伝うから」

「……はい」



「……」

「……」



無言が続く。

しばらくの無言の後、土間さんがぽつりぽつりと話し出した。



「咲と福祉原君は私の大切な友人なんです。

私が辛かった時期にずっと支えてくれていて、とても心強かったんです。

二人がいたから私は笑えるようになったんです」



その後も話は続いた。



土間さんは幼い頃に両親が離婚し、父親に引き取られた。

幼い土間さんは母親と一緒にいることを望んだが、父親がそれを許さなかった。

プライドが高かった父親は自分よりも母親が選ばれたことが許せなかったのだろう。

無理矢理土間さんを自分の所へ連れていったらしい。

知り合いに優秀な弁護士がいた父親は裁判で勝利し、親権を勝ち取った。


しかし、彼は優秀な人間ではあったのだが、優秀な父親ではなかった。

母親と離婚した父親は仕事に没頭していった。

離婚した怒りをぶつけるようにひたすらに仕事に明け暮れた。


ある日、父親の会社が倒産した。

仕事一辺倒だった彼は日に日に落ちぶれていった。

優秀だった彼はギャンブルにはまり、仕事もせず、昼間から酒を飲むようになった。

そのころから父親の家庭内暴力が始まった。

仕事にぶつけていた怒りが土間さんへ向けられることになった。

拳を振るわれ、罵声を浴びせられ、体も心も磨耗していった。


そんな中、出会ったのが堀峰さんと福祉原君だった。

二人は壊れそうになっていた土間さんに親身になって接し続け、励まし、協力し、ついには家庭内の問題を解決した。

壊れかけた心を修復し、凍りついていた心を溶かしていった。



話を聞いているだけでいかに二人のことが大切なのかが伝わってきた。



「す、すみません!いきなりこんな話してしまって……」



話が終わった後、我に返ったようになった土間さんは顔を真っ赤にさせながら謝ってきた。



「大丈夫だよ。土間さんは二人のことが本当に大切なんだね」

「はい!だからーー」



その続きは聞かなくてもわかった。


土間さんにとって堀峰さんと福祉原君はとても大切な人。

それが痛いほど伝わってくる。


私は改めて決意を固める。

私は土間さんの力になってあげたい。

なんとかして二人の居場所を見つけ出す。


もし、その結果が最悪なものだったとしても。

私は最後の最後まで希望は捨てない。

そう決意をした。




ーーーーーーーーーー




その翌日、福祉原(ふくしばら)陽亮(はるあき)の遺体が地中から発見された。

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