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狐神社の森のなかで  作者: 佳
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出会い

それは、小さな思いだった。


私の心には、たくさんの思い出がある。

たくさんの感情をありがとう。


私の心は、あの夏の日々が沢山占めている。


私はこの出会いと思い出を大切に生きてゆこう。

10年前の夏。世界がまだ純粋だった頃。

私は、小さな恋をした。それは、私の愛しい愛しい初恋。


私(秋風 朱音)は、8歳くらいの時、妹出産準備のため、おばあちゃんの家にお泊まりしていた。


「朱音ー!スイカ切ったけ、食べんしゃい。」

「わぁ、スイカ大好きー!」

「そうかい、そうかい。それはよかった!たんと食べりーね!」

「うん!おばあちゃん大好きー!」


私は、田舎の夏が大好きだった。

おばあちゃんの家は、狐神社と、狐神社の森と川と、田んぼがあって、おばあちゃんは、朝から夕方まで田んぼで仕事をしていた。その間、私は仲良くなった近所のガキんちょ達(皆の中心で、人一倍優しい滝星 健太-たきぼし けんた-面倒見のいい、姉御肌の宇野 みき-うの

みき-おっとり優しいお嬢様の音月 桜子-おとつき さくらこ-マイペースで不思議系だけど、決めるところは決めるクールな涼夜 浩-りょうや こう-)と一緒に、仲良し5人組で、探偵団兼探険隊を結成し、町の安全を守ったり(近所を木の棒を持って散歩するだけ)森を探険したりした。


「今日は、町の安全を守る日だ!」

「隊長!!さっき見知らぬ猫をはっけんしました!」

「よーし!追跡だー!」

「「「「「おぉー!」」」」」


「桜子君、異常は?」

「ありません!隊長!」

「みき君、異常は?」

「さっき、10円を拾いました!隊長!」

「なにー!すごいじゃないか!」

「ありがとうございます!隊長!」

「朱音君、異常は?」

「ありません、隊長!」

「そうか。つめ、なかなかしっぽを出さないな。」

「浩どうする?」

「猫は集会を開くそうだから、適当に猫に着いていけばいいと思う。」

「有力な情報だ!よーし!そこら辺の猫を追跡だー!」

隊長は、健太で皆の舵をとり、みきが代表桜子は意外に思ったことははっきり言うし、私はどんどんアイデアをだす。最後に、浩が現実的に考える。

この5人組は、最強の布陣だった。


今日も、いつものように5時の鐘が鳴り、カラスが鳴き始めたので、お開きとなった。


翌朝。

「あーかねちゃん!遊びましょ!」

「はーい!今行くー!」

「いって来まーす!」

「気をつけるんよー!」

「はーい!」


「よーし!皆揃ってるな」

「今日は、狐神社の森で、鬼ごっこだ!」

「「「「「おぉー!」」」」」


「「「「「グーとパーでわかれましょ!」」」」」

「俺とみきと、桜子はグーだから、こっちね!」

「私と浩君はパーだからこっちだね!」

「各代表者が代表でじゃんけんだ!勝ったら、逃げられる側な!グーからは、俺が行くぞ!」

「パーからは、俺が行く」

「「じゃんけんポン!」」

「俺が勝ったから、俺たち3人はにげるけ!」

「ごめん。負けた」

「いいよ、いいよ!気にしないで!」

「10秒たってから捕まえてね」

「「はーい!」」


「1、2、3、4・・・・・・29、30!」

「よーし!探すぞー!」

「俺はあっち探すから、朱音はそっち探して」

「わかった!」


「全員捕まったのかー。」

「朱音ちゃんと浩君脚速いんだもん!追いつかれちゃったよ。」

「えへへー!」

「じゃあ、交代だな」

「数えるよー!」

「はーい!」


「いーち、にーい、さーん・・・」


私は逃げていた。その時!

ツン!

どてっ!

私は、石につまずき、派手に転んだ。

痛くて、心細さと不安から、その場で泣いた。


「あぁ、派手に転んだのぉー」

えっ?

目の前の大きな木の枝に、美しい銀髪の人が座ってこちらを見ていた。私は、目を奪われた。

顔は逆光であまり覚えていない。

しかし、こんなに美しい人はいるのかと思った。

私は、痛さや心細さと不安がどうでもよくなるくらい、見とれていていつの間にか泣き止んでいた。

その人は気がつくと目の前に立っていた。

その人は擦りむいた私の膝に塗り薬を袖からとりだし塗ってくれた。

「しまった!人間の子供に私らの薬を使ってしまった。この子を、狭間の者にしてしまった。長老になんといえば・・・。」

なにやら、ぶつぶつと言ったあと、

「夕方には、傷は治る。しかし、君は、私達の世界がみえるようになってしまった。もう、ここへは来るな。」


「嫌だ!健太君達とここで鬼ごっこしたい!」

私は泣きながら訴えた。

その人は、困ったように、

「勝手にしろ」

と言った。その刹那、不安そうに「これでいいのか?」と呟いた。


「朱音ー!どこだー?!」

「朱音ちゃーん!」

皆の声がした。見ると美しい銀髪の人はいなかった。膝の傷はすこし小さくなっていた。

私の心には、あの妖しさを秘めた美しい銀髪が強烈に残っていた。


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