森の中での魔石回収
あれから、俺は横からレナの肩に触れながら森を移動している。
最初に悪戯で胸を揉みながら血流を改善してやった序に気持ち良くしてやったら、何となく癖になったらしい。それに、気持ちが良いのか顔が上気してる。流石に胸ばっかりは飽きるので、肩に移動しているが。
それに、揉んでるときに解ったが、この世界の奴皆か、はたまたレナが特別なのか、心臓の近くに燻っている、力溜まりが有ったので、それを全身に行き渡らせてやると、レナの体の中から何かが大量にあふれて包み込んだ。すると・・・。
「うわ・・・。こんなこと出来る人は初めて見ました。噂に聞く聖十二勇者の一人、聖人アラン様が同様な奇跡を行うと聞きましたが・・・。」
「へー、例えば?」
「はい。手を翳すだけで相手の病気や怪我を知り、光を発した直後にはもう傷が無くなり、四肢が欠損していてもパーツが残っているとくっ付いているとか。なので、勇者様の中でもアラン様は別格らしいです。」
へー、俺の異能みたいだな。同じ系統か?
「他にはどんなのが居るの?」
「色々ですね。地震が多い地域で火魔法を使い、地下の温泉を掘り出した。炎の勇者ダラス様に、100万を超す魔物の侵攻から一人で国を護った、雷神のトール様。他にもいますが、有名どころの人に共通するのは、皆さま、自らの国の国民にはひたすらに尽くす人達ですね。・・・けど、おかしなことに皆さま一代限りで、自分の後継者は気まぐれに才能を見出した者にしか譲らないそうです。・・・まー、何故か家族を持とうとしないので争いには成りませんが。」
へー、凄い奴は変わり者って事か?・・・あ、人の事言えないわ、俺。
「まーいーか。で、そこいらの魔物は魔法使えないの?」
「ええ、魔物で魔法が使えるのはレベルが4からですから、その辺にいる1や2の小物は幾ら倒しても意味ありません。」
ほー、そりゃー新情報。・・・というよりも見ただけでレベルが分かるくらい知ってるのも凄いな。
と、考えてるところに魔物登場!
「あ、あの魔物は色んな意味で厄介です。アイツから倒しましょう。・・・その黒いマントの子鬼です。」
ふーん?一応鑑定で見てみるか。
魔族
名前 ペングー
餓鬼型
階級 レベル4
魔力 一万
魔法 毒
種族体質 毒無効
・・・・うん、確かに、毒は厄介だ。俺は別だが、他のメンバーはそうはいかない。 他の獣はレナに任そうか、・・・大丈夫かな?
「じゃー、俺がペングーを殺るけど、周囲の獣はレナが殺ってね?」
「はい、他の獣は今の私なら、詠唱なしで大丈夫でしょうから。では、行きます。」
そういって、手元の本の宝石に手を添えると、宝石が反応し、周りに氷の刃が現れた。そして、・・・。
「行け!」
と手を前方に指し示す事で方向を定め
ビュオッ!
という風切り音と共に獣へと向かった。
「ガウ!・・ガッ!・・・キャイ・・・」
「バウッ!・・ガッ!・・・」
とその勢いに獣は成す術無く、全方位からの氷の刃に貫かれ、正に一網打尽といった感じになった。
その中で、ペングーだけは流石と言うべきか、一匹のみ木の上に逃れ、此方をニヤツキながら見ていた。
「じゃ、後は任せろ。」
俺はそういうと、風を周囲に纏い追い風でもってペングーに一瞬で近付いた。
「ゲギャ!?」
と驚くが、近づけたらこっちの勝ちだ。
近づいて奴の胸に手を添えて、心臓(魔物だから核?)の位置を確認し、血流の圧力を最大にしてやると、一瞬で目や耳、口から大量の緑の液体(血?)を流して息絶えた。その際魔石も吐き出したので回収した。
「じゃー、こいつはも一応は空間に入れていくか。肉も無いし骨ばっかだと思うけど、食べたら強くなるかも?・・・あ、レナはそいつら一つの場所に纏めて、魔石も回収しといて?今から回収しに行くから。」
「はい。」
こうして、魔法を使える魔物の魔石を一種ゲットした。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
それから一時間、なかなか次の標的が出てこない。
「いませんねー。この位奥に来たら普通は獲物が来たと小躍りしながら来ると思うんですが・・・。」
横で歩いていたレナも同じように思ったらしい。
「何か良い方法ないか?」
「・・・!そうだ、さっきの獣の肉でおびき寄せましょう。目標にしている内のあと2種は同じ獣ですから。上手いこと誘えるかもしれません。」
へー、この世界にも釣りがあるのか。
「良いね、んじゃ早速出すか。」
・・・で、出したは良いのだが・・・。
「今度は集まり過ぎましたね、しかも標的は一匹だけという運の悪さ・・・。」
「まー、一匹でも来てくれただけましだな。・・・で、どれ?」
「えーと・・。あ、あそこにいる、グースの様な体の頭に角が生えてる奴です。」
・・・グース、あ・・これか、ハッキリ言って、馬だな。で、・・・あ、居るな。ペガサスみたいだな、体が白くて綺麗なのに、なんか禍々しい気配がする。
「・・・標的は分かったけど、他の奴とアイツの強さの違いは?」
「他は突進して来るだけですが、あのプロンは知恵がある分厄介ですね。魔法も催眠系ですから、他のを操ったりしますし。」
へー、催眠かー。使えたら便利そうだな。
「なら、下がってて。俺なら多分効かないから。魔法って言っても所詮自然の力を利用した物でしょ?俺の力の親戚の様な物だから、俺の操る力には敵わない筈だ。」
「・・解かりましたが・・・、気を付けてくださいね?」
「了解♪」
そして、俺が前に出ると同時にプロン?は
「かかれー!」
と命令した。
・・・え?喋れるの?使役獣でなくても?
しかも、言葉が話せるって時点で、レベル5以上確定だ。こりゃー能力も期待できそうだ。
俺はニヤツキながら、風の障壁を展開し、迫りくる配下を跳ね飛ばしながら悠然とプロンに近づいて行った。
「な、なんだ貴様!何故人如きがそこまでの風を操れる!その力は、まるでユーシー様ではないか!」
ユーシー?知らないけど、誰だ?まあいいか。・・・どうせ、こいつは死ぬんだし、他にも喋れる奴はいるだろ。
その後、空間が歪むような感じの攻撃をしてきたが、俺の高密度の風の障壁の前には何の効果も無く、しだいに距離は縮まり、そして遂にプロンの体に触れることが出来たので。
「バイバイ♪」
といって、さっきのペングーと同じ末路を辿らせた。
そして、配下と奴の魔石と体を回収後レナが
「何か、総司様一人で全て片が付きそうですね。私は辞典代わりですか。」
なんて、しょんぼりしているので
「まあ、今のところは、だね。けど町とか村に着けばレナとリナには世話になるから、その時は頼むよ。」
そう励ますと
「はい!お任せください!」
と、元気よく挨拶した。
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あ・れ・か・ら~♪
ぼ・く・た・ち・の~♪
まーえには・み・ち・が・なーい♪
そ・ら・に・は~♪
でーかい・とり・た・く・さーん♪
・・・ハー。もう陽がくれちゃったよ。ポチたち大丈夫かな?
{ポチー?そっちは大丈夫ー?}{あ、ご主人様!うん、こっちはリナちゃんが倒しといた方が後でご主人様に褒められるって言う魔物を何体か食べて。魔石も食べといたよ?}
{へー、名前}{えーとね。・・・ふん、ペンデュラムって言う液体型の魔物。リナちゃんが言うにはレベルが3の割には使える魔法の種類の多い魔物なんだって。}
へー、んじゃーあと2体か。
{じゃ、こっちはもう少し探すから、もうちょっと待っててくれ。悪いけど、リナに水晶で飯を貰っといてくれ。そこいらの魔物を喰ってても良いけどな。}{解かった。待ってるね♪}
よし、いい調子だな。
「今ポチに聞いたら、ペンデュラムって言う奴を倒して、魔石も食ったらしい。だから、後2体だ。」
それを聞いたレナが驚いて
「ペンデュラムを倒せるって、ポチちゃん凄いんですね。あれは液体型の魔物のなかでもレベルの割には魔法が多くて、魔戦所の人たちの嫌われ者ですよ?」
「へー?んじゃー、火の魔法で蒸発させたかな?液体系ならそれが一番早いからな。」
「・・・まー、総司様たちの事ではもうあまり驚きませんが・・・。」
「うん。その方が楽だと思う。・・・じゃ、行こうか・・・・って言ってると来るんだよなー?タイミングが良いのか悪いのか。」
「あ、この魔物は運が良いですよ。人前には滅多に出ない魔物ですから。単体で出る癖に回復魔法を得意とする魔物で、アラン様とは違いますが手を翳した処の傷が多少は癒える位です。ですが、それはこの魔物が魔力が低いせいですから。単体で現れてしかも魔力が低いからで、魔力が高くて、配下を率いれば危険だと言われています。」
へー、そりゃー好都合。
美味しいとこだけ貰うとしますか。
「じゃ、見た目はさっきの子鬼に似てるけど妙な真似もしないのなら別にそのままで向かってもいいね。行って来まーす。」
そういって、俺は進み、本当に何事もなく、唯狼狽えている相手の胸に手を添えて終わった。
・・・なんか、罪悪感の残る倒し方だな。何もできない相手に躊躇なく手を出すって。もう少し反抗してくれればいいんだが。
まあ、考えても仕方ないか。
これで、後一匹だ。
勿論、体と魔石は回収したよ?
それから、また一時間ほど歩いていると、急に上が騒がしくなったので、見てみると・・・。
デカい鳥また来たーーーーー!!!
今度はなんだ?
俺は千里眼と鑑定を同時に発動して、鳥を見た。
鳥型魔獣
名前 グランゾー
階級 レベル10
魔力 37万
魔法 火 水 雷 風 重力 無 闇
種族体質 気流操作
気圧操作
特異体質 自然回復(大)
王者の覇気(威圧より効果大)
眷属支配
魔力探査
・・・わー。これは如何しよう。ポチを連れてきても駄目だろうな。これだけの威圧感じゃー、殺されるだけだ。
けど、これだけの奴だと俺も本気でやるしかない。・・・一応回収だけ任すか。
{ポチ、こっちは凄いのでたから、後で回収頼む。負けはしないけど、本気だしたら、動けない可能性の方が高いから。}{え!そんなー。私も戦うよ!}
{いや、今のポチじゃー、むざむざ殺されるだけだ。俺が勝った後の周りの警戒だけ頼む}{むー、分かった。無理しないでね?ご主人様。}
よし、後は。
「レナ、震えている所悪いが、そこら辺にでも隠れててくれ。俺は大丈夫だから。」
その俺の言葉で、正気になったレナが
「死なないでください。」
とだけいって、後ろの木に隠れた。
それを確認したおれが前を見ると、やはりというべきか
「仲間に別れは言ったか?小僧。どうせ死ぬんだろうが、名を聞いておいてやる。後で、我に向かって来た愚か者として、仲間と飲む酒の肴にしてやるわ。」
「まー、死ぬ気はねーけど。俺は各務総司だ。お前が死んだときは俺の使い魔に魔石と体を喰わせて有効利用してやるから、気にせずに逝け。」
そういって、俺は風の加速で一気にグランゾーに迫るのだが・・・。
「甘いわ、小僧!その程度の速度で我が見失うと思うたか!」
と片翼から水の、もう片翼から火の魔法を出して来た。
俺は咄嗟にそれを躱すが、その躱すというのがいけなかった。
火と水のぶつかり合いから発生する水蒸気が俺の周囲を取り囲み、俺の感知手段は風の動きに限定されてしまった。
それからも、奴の魔法での攻撃がひっきりなしに襲って来た。
水蒸気で見えない所から、雷が来て足やら手やらを貫いていく。
一応自分で治せるので死にはしないが、これではジリ貧だ。
空間転移をしようにも水蒸気の霧が晴れなければ出来ないし、霧を晴らそうにも、風を少しでも弄れば奴の気流操作で元の位置に戻される。
場所の特定も奴が声を出さなければ分からない、絶体絶命の時ポチの声がした。
{ご主人様!森の色んな魔物を食べて強くなったから、少しは手伝えるはずだよ!どうすればいいの?}
などと聞こえてくる。
・・・試に見てみるか。と、見ると。
使役魔獣
狼型
名前 ポチ
階級 レベル8
魔力 13万
ラーニング
ファイアーバード
魔法 火 風 雷
魔力 21万
属性 火
種族体質 不死の素質
気流操作
気圧操作
特異体質 王者の威圧
魔力探査
ビッグホッグ
魔法 無 重力 身体強化
魔力 5万
属性 無
種族体質 筋力上昇
ゲルマンドーブ
魔法 無 重力
魔力 5万5000
属性 無
種族体質 自己治癒力上昇(大)
プロン
魔法 催眠 振動 風 無
魔力 7万
属性 風
種族体質 気流操作
ペンデュラム
魔法 水 風 毒 振動 ガス 擬態
魔力 1万
属性 水
種族体質 自己再生
・・・おおー!レベルはまだだが、魔力だけなら十分勝てる。
{よし、ポチ。今からお前の風で俺を囲んでいる霧と魔物の間に空間を作れ。俺は、空間が出来た所から魔物の頭に跳んで倒す。お前は奴が俺の跳ぶのを邪魔する邪魔をしろ。振動の魔法があればいける筈だ。・・・出来るか?}{うん!頑張る!}
{よし、いい子だ。タイミングは任す。何時でも来い!}{解った!}
俺はその言葉に賭け。気を落ち着けて待つ事約一分。
不意に風がざわめいた。
・・・来た!!
そう思った瞬間、俺は風の晴れた方を見て、一瞬見えた奴の目の前に空間転移をした。
そして、目の前に急に現れた俺を発見し
「しまっ!」
「遅い!サヨナラだ。」
そういって、俺は奴の額に触れると、脳を揺さぶり、血流を乱し、更には圧力を数倍にして、額を爆発させた。
そして、今まで、空に浮かんでいた俺たちは体力を使い果たし、そのまま地上に落下しようとした・・・
所でポチに回収され、いつの間にかポチに乗っていたリナとレナに見守られながら、俺は気を失った。