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町での土地探し・後編

職員さんに連れられて先ず来たのは、不動産屋からほど近い武器屋と魔道具屋の近くのパッと見三階建て位の大きな建物だった。

先ず、庭が広い。

以前の持ち主は知らんが、俺の知識にあるヨーロッパの貴族の外での社交パーティーが出来る位の広さがある。

流石に今は持ち主がいない為か、草が生え放題だが、ポチたちの餌になる草を主食とする魔法生物でも召喚できるような魔法陣を作ってやれば、問題ないくらいだろう。


更に、中に入ると玄関ホールから上二つの階層が吹き抜けになっており、エスカレーターの様な魔道具でも開発してやれば子供の遊び場にもなるだろう。


部屋も各階にあり、一階は食堂と客室が有り、主に来客を出迎えるような間取りであった。


二階は完全な住人の部屋らしく6つほどある部屋が、全て同じ感じの手抜きの様な部屋だった。


三階は一転部屋は三つほどだが、部屋自体が下の部屋を二つで一つにしたような間取りだ。


そして、この建物の最大の特徴が全て真ん中で区切られていて、中心から階段で上がり、頂点が展望室の様に外が見られる、ガラス張りで出来ている事だ。


この上、ちょっとした細工(ライト式の自転時計を組み込んだ隠し階段)をされた階段を下れば、床下三メートルほどの高さの地下室が現れた。(全て防音効果のある5層構造の土で固められた、広さ50メートル四方)

恐らく、上の庭全体が下の地下室の天井になっているのだろう。その為、所どころ鉄の柱が設けられて、強度を補っている。


「さて、この物件の見るべき所は以上ですね。どうでしょうか?広さといい、お客様の要望に近い物件ですが?」


「もし、これにするなら、魔石如何ほどでしょう?」


職員さんの質問にレナが質問を返す。


「残念なことに、これだけの広い土地を管理できる人が居なければ、地下室を必要とする人もいないので、割と人気が無いのです。なので、他のも見せますが、これにしてくれるのであれば、拳大のプラータ(銀色魔石)2個でいいでしょう。」


は?たったそんだけ?

3階建ての家でその位の価値でじゃなかったっけ?


俺と同じ意見なのか、レナが


「そんな少なくていいんですか?幾ら、水晶があれば出せると言ってもたった2個じゃ上側しか出せないでしょう。下の工事費が丸損ですよ?」


それを聞いて苦笑する職員さん


「実は我々も、この物件は買い取った物件で、その買い取りがプラータ1個なんですよ。だから、この数でも十分得をするんです。」


は?益益怪しい。何かあるんじゃないか?


「なー、何かこの家、呪われてたりしないか?幾らなんでもその前の持ち主が怪しすぎる。」


そう質問するが、再度苦笑し。


「いえ、その前の持ち主と言うのが、子供の治療に質の良い魔石が急に入用になったとかで、此方が出せるのはその時プラータ一個だけだからと言ったら、「それでいいから、この屋敷を担保に譲ってくれ」と言って来たんです。確かに、治療用の魔道具はプラータを出せばかなりの良質の物が手に入りますから、分かったと言って取引は成立したんです。それ以来、買い手も付かなくて、そのままの物件なんです。」


・・なるほど、この魔石での交換法の欠点がこれか。

魔石は物と交換した時点で大気に戻されるから、水晶から魔石が返されることは無い。一度交換したら、次は人同士の交換しかないから、こういった取引も成立するのか。


「説明は分かった。他も見ていいのが無ければここにしよう。立地条件も申し分ないしな。」


「はい。では、次に行きます。」


そうして、次の候補に向かった。








次は先ほどの屋敷から10分ほど歩いた露店が立ち並ぶ、集団市場の近くだった。

ハッキリ言って、無茶苦茶煩い。

外見は確かに良いし、庭もあるが、市場から丸見えで垣もない。

ここにするなら、先ずは木や土の魔法で垣をしなければ、落ち着いて庭弄りも出来ない。


中は意外と普通の2階建ての一軒家で部屋数も10個とさっきの屋敷と変わらない位ある。

だが、地下室はかなり狭く、元の世界のワインセラーの様な狭さだ。


「・・・ここよりはさっきの処がマシだな。」


「そうですね。」


俺とレナの意見が一致した。


それは職員も一緒だったらしく。


「やっぱりそうですね。他の人も先ずあの市場の騒音と、垣の無い状態で駄目だと言われるのです。ここは大して、重要な物件でもないし、後から、成金商人が来るはずなので、その方に薦める予定です。・・・次行きましょうか。」


そうして、次に向かう一行であった。





次に来たのは更に10分ほど歩いた、町の結界の近くの小屋。

何故こんな所に来たのかと思ったが、小屋に入ると景色が変わった。

言うなれば魔戦所の扉と同じ仕組みらしい。

小屋の標識にその場所へと向かう魔法陣が組み込まれ、扉を潜ると他の土地に転移し、誰にも煩わされない、大きな土地で大きな家を構えられると言った前の持ち主が自前の魔法陣知識を駆使し、極小の魔石から、庭付き大豪邸にしたのだとか。

そして、その持ち主も家族を作らずに亡くなり、遺言で気に入った人にプラータ(銀色魔石)一個で譲ってくれと言ったらしいが、最初の外見で人を呼べないからと言う理由で今まで買い手が付かないのだとか。

「うーん。ハッキリ言って、最初のとここ。両方欲しいが、レナはどう思う?」


「はい、私も同じですが。合計で3個ですか・・・、どちらかを買って、遺跡に潜って魔石を集めて。再度買いに来るのはどうでしょう?」


「うーん。職員さん、どっちか買い手が見込め無さそうなのはどっちかな?」


俺の質問に、ウーンと唸り。


「どっちかと言えば数的に向こうですね。しかし、両方とも10日ほどなら保留とすることが出来ますよ?どちらも今まで買い手の付かなかった物件ですし、それ位は考慮します。これで2つとも売れればこっちも助かりますし。」


「じゃー、そうして貰おうか。」


「そうですね。」


「では、土地だけの場所はもういいですか?」


「ああ、流石にそんなに良い質の魔石は数が無いよ。(殆どポチに食べさせてるし。)遺跡に潜って、大量に手に入れたら、また来るよ。」


「では、先ほどの事務所で手続きをしましょうか。」


「ああ。」


そういって、俺たちは元の不動産屋に戻った。


途中リナから連絡が有り、不動産屋で合流という事になった。

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