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彼と彼女のデザイア。  作者: さんまぐ
地球-襲われた地球。

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第97話 君が敵を倒すんだ。

東北のゲートは猪苗代湖にあった。

翌日すぐに行きたかったのに、日本政府から準備に充てたいと言われてしまい、休息日にされてしまう。


金太郎と瓜子は7年ぶりの我が家に「我が家感がねぇ」、「本当だわ」とぼやく。


お風呂は大人数だったことで、金太郎が「婆さんがヤキモチ妬くけど銭湯だな」と言って風呂屋に行くと、アチャンメとキャメラルから「クモヒラ、こっち来いよ」、「好きなだけアンコの腹と姫様の腕を揉んでイイぞ」と言われたが、「ここは男女別だからダメだよ」と断られた。


あんこは今回も「デカい!細い!」とセムラを評価して、「雲平に揉まれたって腕だけ!?胸は!?」と聞いていて、金太郎と瓜子がいるのに、それをやられた雲平は頭を抱えて「あんこぉぉぉ」と唸る。


そんなあんこは瓜子を見て、「おばさんもしゅっとしてる」と言い、「うふふ。シェルガイってこっちみたいにゴロゴロダラダラしたりしないし、スナック菓子みたいな物もあまりないからかしらね。トレーニングとかもするから、自然と痩せちゃったわ」と返す。


とにかく下町の女は声がデカい。

風呂屋の常連は久しぶりの金太郎に「生きてたか」と笑いかけたり、雲平に「学校壊しかけたって?すげぇな」と話しかけて、向こうの声に「なんだ?雲平は嫁探しでもして来たのか?」と笑われて、「やめてよ」しか言えずにいた。


ちなみにアチャンメとキャメラルは、「私達はシュザークウイングを握って死ぬところだったから、クモヒラのほっぺたにチューしてやったんだぜ!」、「私なんて死なない為に、クモヒラがおでこにチューしたんだ」と自慢しはじめる。


その事を初めて聞いた金太郎は雲平を見て「お前…モテモテだな」と言うと、無表情に近い雲平が「父さん?凍る?」と聞き返す。


金太郎が「照れんなよ」と言っている所で、あんこが「まさか…アグリちゃんも雲平に何かされた!?」と言い出して、アグリは「お兄ちゃんはしないよ!なんにもされてないよ!優しいし強いし、この前は優しく抱っこして寝かせてくれて、寝るまでお父さんが火を通さないと食べちゃダメな貝を生で食べて、お腹壊した話とか聞かせてくれたよ!」と弁明する。


「お前、なんでそれ話すんだよ」

「アグリは父さんを神格化し過ぎてるから、現実を教えてあげたんだよ」


風呂屋を出て家に帰ると、誰がどこで寝るかになり、雲平のアグリと寝ることだけは譲られずにそれ以外は適当に決まる。


眠くなるまでリビングに居ると、あんこが「いいな〜、私も手からバシーってなんか出したい」と言い出す。


この言葉にアチャンメとキャメラルは「私達は出ねーぞ」、「身体能力の強化だ」と言うと、金太郎も「俺も出ない」と言い、瓜子が「私はヒールだわ」と言うと、セムラが「私もヒールと、後は一応ウオールです」


こうしてみると案外出ない。

今出るのはバニエとアグリとホイップである。


「あれ?氷系が多いね」と雲平が言うと、アチャンメが「希少なのにな」と言い、「大体は水と火だな。でもシェイク王子のは火の本質まで辿り着いてるからまた別格なんだよ」と続けた。


雲平はあんこを見て「あんこはなんか出る感じとかない?」と聞くと、あんこは「ないよぉ、手を見ても汗くらいじゃない?」と笑いながら返す。

そんなあんこを見て雲平が「んー…」と言い出す。


「げ、クモヒラのんーだぞ」

「何しでかすんだ?」

「あんこ、セムラさん、明日一日空いたから飛鳥山公園まで行きましょう」


雲平は言うだけ言うと「さ、アグリ寝よう」と言って手を繋いで寝室に行ってしまう。


残されたアチャンメは、雲平とアグリを見送ったまま「あーあ、ありゃなんかスンゾ」と言って、キャメラルがあんこを見て「アンコ、ヒーヒー言わされてビチャビチャかもな」と言って笑った。


これには金太郎は「はしたないからやめなさい」と親の顔で注意をした。



・・・



翌日、ホイップは見事に安倍川家の男の子になっていた。朝からかのこの言う通りに行動して、味噌汁を手伝い味に喜び、甲斐甲斐しく掃除を手伝った所に雲平達がやってくる。


もうすっかり飼い主と犬にしか見えない。


雲平は時間が勿体無いからと、バニエに飛鳥山公園まで行く旨を伝えて、アグリには「ばあちゃんがヤキモチ妬くからお願いね」と頼んで、セムラとあんこと出かける。


アチャンメとキャメラルは金太郎と瓜子とおばちゃんトレーナーの買い出しで忙しい。


「雲平?飛鳥山公園に行ってどうするの?」

「隠し球、セムラさんと俺が居るから多分できるし、昨日と今日で嫌な予感がするから準備したかったんだ」


「雲平さん?」

「猪苗代湖を解放しても延び延びにされる気がするし、今のままだと空港を抑えられるとダメだからなんとかします」


雲平は飛鳥山公園に行き、駐在兵には「日本政府に余計な事は言わずに、レーゼに繋がるか見に来たとだけ報告してください」と言うと、ゲートを見て「やっぱり濃いな。スェイリィ、呼びかけて」と言う。微かだがスェイリィの「よくやる。見事だ」という声が聞こえて来た。


「よし、これならグェンドゥとも繋がれる。グェンドゥ、シェルガイに触れてない人間に能力の発露は無理だよね?だからあんこに強制的にシェルガイを触れさせるのはヤレるよね?」

「レーゼに触れさせるの?」

「ジヤーに繋ぐ。俺とセムラさんならここからでも変えられる」


雲平はセムラを見て「セムラさん、俺と手を繋いでください」と言うと、セムラは躊躇なく「はい」と言って手を繋ぐ。


見ているレーゼ兵は穏やかではないが、雲平と雲平の戦歴を知る者が大人しくしていると周りも黙る。


「セムラさん、ゲート操作です」

「…やってますがやはりサモナブレイドが邪魔をしています」


雲平は「わかりました。ゲートの出口がレーゼだから閉じるんですね」と言った後で、ワントーン低い声で「ペンダント…ゲート出口を一時的にジヤーにしろ」と言って集中しながら「……セムラさん?」と声をかけると、セムラが「つながりました!」と言った。


「大きくするとばれます。少しだけ開けて、シェルガイの空気をあんこに纏わせます。ビャルゴゥ、あんこに空気が届いたら止めるから教えて」


ビャルゴゥの制止があるまで空気を送った雲平は、終わってからあんこには「何に目覚めるかわからないけど、もし敵があんこと婆ちゃんを狙ったら戦って。でも勝つ為じゃなくて、死なない為だから、逃げて警察や自衛官、バニエさんの所に向かってね」と説明をした。


レーゼの駐在兵には「レーゼに行けるか試しに来たけどダメだった事にしてください」と言って終わらせた。



帰るとバニエは書類の用意等があるから明日またくると言って、帰って行ったということだった。



・・・



翌日、猪苗代湖に向かうメンバーは雲平とアグリとセムラになる。

金太郎は「なんかありそうだな雲平、ビャルゴゥに言われたか?」とアゴールの顔で聞くと、雲平も戦士の顔で「嫌な予感がする」と言い、「まとまった仕事を片付けて、いつでもシェルガイに戻れるようにしよう」と続ける。


「なんだ?思ってることは言えよ」

「いや、口に出すと最悪に繋がりそうだからゴメン」


金太郎もこの状況で何が言えるかわからないが、勘で雲平を信じることにして「なんだお前、ビャルゴゥみたいな事を言って……。まあいい。チーム分けをしろ」と指示を出す。


「ありがとう。セムラさんと俺とアグリで猪苗代湖に行く」

「はい」

「わかったよお兄ちゃん」


「父さんと母さんはバニエさんと本庁だよね?」

「ああ、アチャンメとキャメラルも連れて行って、生存報告とかそこらへんの処理だな」

「ジヤーの身分とレーゼの身分と日本の身分の統合とかね。雲ちゃんとアグリの分はこっちでやっておくわ」


「アチャンメ、キャメラルはそれもいいね。道を覚えておかしな時には、父さんと母さんは無視して身体強化でここまで戻って」

「良いけどヨォ、どうすんだ?」

「教えてくれよクモヒラ」


アチャンメとキャメラルの言葉に「何も起きなきゃ良いだけさ」と笑いかけて、残されたホイップに「ここに居て」と言った。


それは戦力外通告に思えたホイップが顔を暗くした時、「違う、万一ばあちゃんとあんこが襲われた時に、君が敵を倒すんだ。2人を守って。猪苗代湖からじゃここは遠すぎる。シュザークウイングでも、ここまではすぐに帰ってこれないんだ」と言った。


「え?僕?」

「やれるよね?俺の攻撃に耐えたんだから、人喰い鬼の一撃も効かないよね?あの氷をぶつけるような魔法も考えるんだ」


ホイップは困ったような真剣な顔で唸ると、あんこが「ホイップくん、よろしくね」と言い、かのこが「平気よね。雲ちゃんのお墨付きですもの」と続くと、ホイップはハッキリと「やる」と言った。


口にしたくないと言いながらも、雲平はアチャンメとキャメラルに、こっそりと「アチャンメ、キャメラル、もしかしたらオシコがウチを狙うかもしれない。こっちの…ううん。俺はこの場の人たち以外信じてないんだ。だからよろしくね」と指示を出すと、2人は「そう言うことかよ」「任せろ」と了承をする。


雲平は皆を見てからかのこに、「ばあちゃん。敵はシェルガイだけじゃなくて地球にも来るんだ。だからホイップくんを残していくね。安心してね」と声をかけると、「昭和生まれの女は伊達じゃないのよ。ホイップくんに助けてもらうわ」と言って笑う。


そしてあんこの前に立つと「あんこ、巻き込んでごめん。でもここに居てくれれば平気だから」と言う。

あんこは「そうだね。私もホイップくんに守ってもらうよ」と言い、このメンバーで行動をすることになった。

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