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彼と彼女のデザイア。  作者: さんまぐ
地球-襲われた地球。

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第96話 決断が鈍るからやめなさい。

お茶をすすったバニエが「あんこ殿、スマホで検索すれば出て来ますよ?」と言うと、あんこは「マジで!?」と言って、スマホ嫌いのかのこに隠れるようにスマホを使ってシェイクの顔を見ると、「うっわぁぁ!爽やかイケメンだ!会いたい!会って挨拶したい!」と言って、ホイップを見て「何このイケメン兄弟!ホイップくん!今度シェルガイに遊びに行ったらお兄さんと私と3人でお茶して!」と懇願する。

ホイップは照れながら「わかりました」と返した。


「あれ?シェイクさんがあるって事はセムラさんも?」


雲平の質問に、バニエは「いえ、姫様は地球との外交はしていませんので、出てくるのはクラフティ殿下です」と答えると、雲平は久しぶりのスマホでクラフティを見る。


いくら敵でもセムラからしたら唯一無二の兄。

セムラは「クラフティお兄様」と言って目を潤ませる。


スマホに映るクラフティは、シェイク以上の爽やかな笑顔で大使と握手を交わしている。


「クラフティは地球に来るんですね」

「ええ、レーゼの国家運営をシュートレン陛下と家臣達、外交や軍の編成をクラフティ殿下、お二人のサポートをセムラ姫が行っていました。お忍びで日本にも来て、我々にも行き先を告げずに旅行もされるお方でした」


あんこは背後から画面を覗き込んで、「この人がセムラちゃんのお兄さんで敵なの?」と言い、「なんか意外、優しそうな人で、人の為以外に剣なんて握らなそうなのにね」と続けるとセムラは顔を暗くして落ち込む。

確かにこのスマホに映る、晴々とした爽やかな笑顔からしたら想像もつかない。

だが雲平の前でクラフティはシュートレンを殺し、サモナブレイドで切りかかって来ていた。


立ち上がって雲平のスマホを覗いたアチャンメとキャメラルは、「すげぇ、なんだその板切れ」、「アチャンメ、これは すまほ とか言うやつで婆ちゃんの敵だ。だがコイツならこうやって相手が見られるんだ」と言う。アチャンメはマジマジと写真をみて「おいバニエ、これはいつのだ?」と聞くと2年前のものだった。


「アチャンメ?」

「いや、随分人相が違うからよ。2年の間にオシコにたぶらかせたか、薬でも盛られたのかもなって思ったんだ」


確かにあのレーゼで切りかかって来た、鬼気迫るクラフティの顔からしたら別人のようだった。


ここに刺身を持って来た金太郎が「やめるんだ」とアゴール隊長の顔で言う。


「倒せなくなると多くの人が死ぬ。決断が鈍るからやめなさい」と言って、夕飯は再開された。


かのこはやはり年の功もあって、ホイップに「お婆ちゃんの事を思って手巻き寿司を作って」と頼む。

顔を真っ赤にして悩むホイップを見て、かのこは「雲ちゃん、あんこちゃんもアドバイス禁止よ」と言い、「そうね。セムラちゃんとアグちゃんとアチャンメちゃんとキャメラルちゃんと話して決めてね」と言う。


「お婆ちゃんはさっきエビと卵だったよね?どれかな?」

「かのこさんはそのネギトロを気に入られていた気がします」

「姫様も思ったか、ばあちゃんはエビとネギトロじゃないか?」

「いや、ネギトロメインならエビじゃなくてあの赤いイクラだろ?」


ホイップはその言葉を聞きながら、マグロとネギトロとたくあんで手巻き寿司を作ってかのこに渡した。


「あら、素敵。でもなんでコレにしてくれたかは聞いていい?」

「…おば…かのこは」


遠慮気味にかのこと呼ぶと、雲平は殺気を放ち、かのこはニコリと笑うと「お婆ちゃんって呼んでね」と訂正する。

ホイップは「恥ずかしいです」と言いながらも、「お婆様は」と言って「その黄色いたくあんも気に入っていたのか、それだけでも食べていたのを見たから、僕は塩辛くて食べられなかったけど、お婆様は食べていたから、たくあんとセムラ姫の言うネギトロと、僕が食べてしまったけど美味しかったマグロを食べて欲しくてそれにしたんだ」と説明をする。


雲平は頭上を飛ばしていたシュザークウイングをしまうと、機嫌を直して手巻き寿司を作り始める。

あんこはそれを見てニコニコと嬉しそうに笑い、瓜子は「出来ましたね」と言う。


「え?出来た?」

「ありがとう。お婆ちゃんは今日の日を忘れません。アグちゃんとホイップくん、アチャンメちゃんにキャメラルちゃん。セムラちゃんとバニエさんに雲ちゃん、あんこちゃんに瓜子さんと…まあ金太郎は居ていいわね。皆と手巻き寿司が食べられて、ホイップくんに作って貰った手巻き寿司はとても美味しそうで嬉しい」


かのこは演技でもなくそう言って、泣きながら食べて「ありがとう」と言うと、ホイップは顔を赤くして首を横に振りながら、「僕こそありがとうございます。沢山勉強になりました」と返した。


ホイップは急成長と言うべきか、片付けも率先してかのこに「僕も何かしたいんだ」と話しかけて、「ゴミ捨ては金太郎に頼むから、まずはテーブルを拭いてね」と言われてテーブルを拭く。


テーブルの後も嫌がる事なく皿拭きに参加して瓜子の洗ったお皿を拭いた。


「さて、うちに泊まる子は誰かしら?」

「父さんと母さんとホイップくん」


「お前…なんで自宅に帰れねーんだよ」

「雲ちゃん、流石にそれは悲しいわ」


「アグちゃんは?」

「アグリは俺の部屋で俺と寝るから、ばあちゃんとは明日以降ね。キャメラルはうちが気に入ってたし、アチャンメにも見せてあげたいし、あんこはセムラさんと居たいだろ?」


ここでかのこが「じゃあ今晩はホイップくんとバニエがうちに泊まるわ」と決めてしまう。


そしてここで気づくがバニエの布団と寝間着まで用意済みだった。


「俺、シェルガイに行ってそう時間過ぎてないよね?」

「…かのこ殿からは、体調に何かあったらどうするんだと詰め寄られました。日本政府と話して、私が週に2日ほど様子を見る事になると、かのこ殿は生活用品を一色揃えまして…」


これに金太郎が「すまない」と謝ってから「無敵かよオフクロ」と言った。

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