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彼と彼女のデザイア。  作者: さんまぐ
地球-襲われた地球。

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第92話 ばあちゃんお土産。

無事に雲平はビャルゴゥリングとシュザークウイングを持ってゲートを通過し、更に地球からビャルゴゥとシュザークと会話をする。


これだけでも随分と異常なのだが、当の雲平は平常運転で「んー…、流石にスェイリィとグェンドゥは遠すぎるのかな?俺の声って聞こえてるのかな?ビャルゴゥ?」と声をかける。


「異常者め…。声は聞こえているらしい。力の繋がりはあるか?」

「ああ…どうだろう?地球で魔法使うと怒られそうだからなぁ。日本に着いたらやるって言っといて」


神獣武器を2つも身に纏っている雲平を見て、ジヤーから大使として来ている兵士は目を丸くし、更にホイップがいる事にも驚いていた。


雲平はあの日飛行機を守った男として知られていて、日本大使から感謝をされるが、本人は正直どうでも良くて、アグリに「アグリ、せっかく来たんだからハンバーガーとか食べてみなよ。コーラは飲む?」とやっていて、一緒に飲んだホイップが驚いている。


「あれ?ホイップくんは王子様だから食べてるかと思ったけど」

「僕は兄上が地球かぶれになるのはまだ早いって止めていたんだよ」


そんな話をしながら飛行機に乗れば、相変わらず鉄の塊が飛ぶと驚き、アグリですら「お兄ちゃん!シュザークウイングで飛んでよ!」と言うと、優しく微笑んで「大丈夫。この飛行機くらいなら持って飛べるからね」と言う雲平。


「…お前、マジかよ」

「あー、父さんは重いから落とすかな、ホイップくんと落ちなよ」


どうやっても父親とホイップには厳しい雲平は平気で落ちろと言う。


「お前!?いくらなんでも酷いぞ!」

「僕はいい子にするから落とさないでください!」


瓜子がウキウキと「雲ちゃん、グラタンだから我慢よ」と言うと、雲平は金太郎に向かって「母さんに感謝しなよ」と言って、セムラにも「セムラさん、今度この飛行機より早く飛んでみましょうか!」と提案したりしている。


ジヤーから日本政府との交渉を任せられた兵士は、困惑の顔でアチャンメとキャメラルを見ると、「クモヒラならやれるよ」、「お前、ジヤーに居なくて良かったよな、雲平は神獣武器を全部身に纏って、模擬戦で圧倒するからな」と言われてしまった。



・・・



日本に着くとそれだけでアグリの調子は悪くなる。

だがそれをなんとかしてしまうのはやはり両親で、金太郎と瓜子が「アグリ〜、ダメだ〜、早くシェルガイに帰ろうぜ」、「アグリ、お母さん…日本にいた時、太ってたの思い出しちゃった。なんか居るだけで太りそう。帰りたいわ」と言っていて、「えぇ!?私よりも帰りたいの!?」と言ってサポートに回す事でなんとかしてしまう。


行きと違うのは、空港には日本政府の偉い人とバニエ、そしてかのことあんこが迎えに来ていた事だった。


「げ…婆さんだ」と言った金太郎を無視して、雲平はセムラを連れて「ばあちゃん、あんこ、バニエさんただいま。ひとまず帰って来ました」と挨拶をする。


「雲ちゃん!お帰りなさい!セムラちゃんも怪我はない?大変だったわね!」

「お帰り雲平!お帰りなさいセムラちゃん!」

「ご無事で何よりです。話は聞いています。セムラ姫を…シェルガイをありがとうございます」


帰還を喜ぶ3人、セムラとホイップを政府の人間に紹介するバニエを見ながら、雲平は「ばあちゃんお土産」と言って、アチャンメとキャメラル、後はアグリ達を指差した。


「キャメラルちゃん!帰って来てくれたのね!お婆ちゃん嬉しい!そちらは?あなたがお姉さんのアチャンメちゃんね!?初めまして!お婆ちゃんですよ!」

「おう!婆ちゃん!来たよ!こっちが私のねーちゃんのアチャンメだ!」

「は…初めまして」


かのこは雲平が指差す方を順番に見ていく。

かのこの圧に動けないあんこは、先に金太郎達に気付くと「あ、おじさん」と呟く。


その金太郎はかのこの圧にタジタジで、雲平はニヤニヤしながら「ヨシっ」と言っている。


「…金太郎?」

「おう…、オフクロ…久しぶり」


「瓜子さん?」

「お義母さん、ご無沙汰してます」


平和だったのはここまでだった。


「あなた今まで7年も私と雲ちゃんを放って何やっていたの!?」


空港中に響き渡る怒号。


前進したかのこはキレた雲平を彷彿させる顔で、金太郎をガクガクとゆすって「便りの一つも寄越さない!」、「雲ちゃんの成長は気にならないの!?」、「受験勉強も頑張りました!あなたのいない分を、あんこちゃんの所が、家族ぐるみで面倒を見てくれたのよ!」、「この前なんて私が風邪ひいたら、雲ちゃんが吉野センセから怒られてくれたのよ!」と怒鳴り続ける。


「わ…怖」

「ヤベェ、クモヒラより怖え」

「雲平、お婆ちゃん止めてよ」

「えぇ、父さんがもう少し痛めつけられる所みたくない?」

「クモヒラ!アグリが真っ青で震えてるぞ?」

「助けてやれって」


アチャンメとキャメラルの言葉を聞いて、「確かに」と言った雲平は、あんこの「アグリ?」と聞き返す声を無視してかのこの横に行くと、「婆ちゃん」と声をかけて「お土産の話、終わってないよ?」と言う。


「雲ちゃん!シェルガイで金太郎と瓜子さんを見つけて来てくれたのは嬉しいけど、金太郎じゃお土産にならないわ!疫病神よ!」


雲平は金太郎の「酷え」を聞きながら笑うと、「だから、父さんはオマケだよ。お土産はこの子だよ。俺の妹。まだ妹になってくれたばかりだけど、婆ちゃんに会わせたくて連れて来たんだよ」と言って、瓜子と手を繋いで真っ青になっているアグリを指差す。


「あら?可愛いお嬢さんじゃない。お土産?雲ちゃんの妹?」

「そうだよばあちゃん。アグリって言って俺の妹だから婆ちゃんの孫だよ」


アグリをつま先からつむじまで見たかのこは、満面の笑顔になると「まあまあまあまあ!可愛い子が私の孫!嬉しいお土産よ!アグリちゃんね!アグちゃん!お婆ちゃんですよ!はじめまして!!」と言ってアグリの手を取って涙を流す。


「え?泣いて…え?お兄ちゃん!?」

「ばあちゃんはアグリに会えて嬉しいってさ。アグリ、自己紹介は出来る?俺がしてもいいよ?」


アグリは首を横に振ると瓜子を見て手を離す。かのこを見て「お婆ちゃん、初めまして。アグリです。本当の名前もあるけど…シェルガイではアグリって名前です」と挨拶をした。


かのこはニコニコと頷いてから「本当のお名前?」と聞き返すと、アグリは「…うん。私の名前は『今…』」と今川よもぎと言いかけて、雲平が物凄い表情でアグリを見て「言うの?別に安倍川アグリでもいいよ?」と言って安倍川を強調する。


「…ありがとうお兄ちゃん。お婆ちゃん、私の日本の名前は安倍川よもぎです」

「あらぁ!よもぎちゃんも可愛い名前だわ!でもアグちゃんね!アグちゃんはもうウチの子なのよね!お婆ちゃん嬉しい!アチャンメちゃんもウチの子になってくれたし、キャメラルちゃんも帰って来てくれたわ!お皿とかお箸を買いましょうね!仲良くしましょうね!」


かのこはアグリの手を握って涙ながらにウンウンと頷いて、アチャンメ達と3人で並べて「うふふ。お洋服の色が好みの色なのね。アチャンメちゃんは赤で、キャメラルちゃんがオレンジ!アグちゃんは緑色なのね!カラフルで素敵だわ〜」と言って、「さあ帰るわよ!」と声高に言った。


バニエが「あの、一度本庁の方に…」と来るのだが顔色は悪い。


かのこはバニエを睨みつけると「あなた達が来なさい!私は早くウチの子達を連れて帰りたいの!さあ車を出しなさい!」と言って歩き出した。


「雲平、お婆ちゃんずっとあんな感じで、バニエさんを困らせてたからね」

「マジで?」


雲平はバニエに近付いて「色々すみません」と謝ると、バニエは「いえ、アレくらい力強いと日本政府もタジタジになるので助かっています」と言って来た。

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