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彼と彼女のデザイア。  作者: さんまぐ
シェルガイ-土と雷のスェイリィ。

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第83話 命を使う魔法なのに喜ぶなんて君とセムラ姫くらいだよ。

雲平とセムラが手を繋ぎ「時戻しの風」と唱えた次の瞬間、全員スェイリィの神殿にいた。


セムラと目を合わせた雲平は力強く頷き合うと、「スェイリィ、俺をスピアの担い手に」と声をかけながら外を目指す。


スェイリィは「お前のような男を待っていた。槍の知識は無くとも我が力は大地と雷。お前が我が化身を持てばサンダーフォールですらサンダーデストラクションと同じ威力になり、サンダーデストラクションは、今までの使用量なら20発は放てるようになる」と言う。


「わかりました。最短最速で手に入れて、あの人が人でいる間に送ります」


雲平は周囲の困惑を無視して前に出ようとしたところで、ミスティラが「待て雲平!!何をした!?言え!」と声を荒げる。


雲平は少し困った顔でミスティラを見て「ミスティラ…」と言うと、ミスティラは「今のは時戻しの風だな。だが何故お前に記憶がある?」と射貫くような目で聞いてくる。


この言葉にアグリも「お兄ちゃん?私も覚えてるよ?マフィンさんが自分のお腹を刺して、血塗れなのにスェイリィスピアを手に襲いかかってきていたよ」と続けると、アチャンメ達も「今の白昼夢はマジ話かよ」、「何があったんだ?」と続ける。


この話について行けなかったのはホイップだけだったが、雲平は「この近くで俺たちの仲間だと思ってくれている人も、時戻しの風を使った時に共に戻れるようにしたんだよ」と説明をした。


この説明に目の色を変えたのはミスティラで、雲平に詰め寄る。


「何をした?どうやってだ?アレは一子相伝に近い魔法、セムラが使い手なのだ!いくら規格外のお前でも覚えられるものでも放てるものでもない!」


困り顔の雲平はアグリの方を見て「ミスティラが怒ってる」と言って誤魔化そうとするが、ミスティラは「はぐらかすな!」と怒鳴りつける。


「えぇ…?今急いでるし終わったら言うとかじゃ…」

「良い訳がない!話せ!」


諦めた雲平は、昨日セムラを連れて空に行った時に、グェンドゥハンマーを通じてグェンドゥに時戻しの風について談判をした事を話した。


「グェンドゥ、その魔法を使った時のセムラさんの寿命が減るのが嫌なんだけど」

「そうは言っても無理だよぉ」

「グェンドゥと俺は相性がいい気がするんだけど、なんとかしてよ」


雲平に抱かさるセムラだけは「雲平さん、グェンドゥ様にそんな事を言って困らせてはダメですよ」と言って雲平を止めるが、雲平は「大丈夫ですよ。グェンドゥならなんとかしてくれますからね」としか言わない。


グェンドゥはゴネ倒す雲平に困りながら「んー…、寿命はどうしようもないけど、他に何かあれば応えるよぉ」と返す。


「じゃあさっきのセムラさんの説明で思ったんだけどさ、タイムラグとか説明が必要とか邪魔だから、俺も時を戻した事を知りたいんだけどなんとかなる?」

「記憶保護の対象範囲?」


雲平の「あ、その言い方なら出来そうだね」という明るい声の雲平に、グェンドゥは「出来なくないけど無理だよぉ」と言う。


「何がですか?」

「そんな真似をしたらセムラ姫の寿命が5分の時戻しで1年になっちゃうよ」


単純に倍。

それを聞いた雲平は「寿命はなんとも出来ない。でも寿命さえ支払えば記憶保護は可能」と確認する。


「じゃあグェンドゥ、記憶保護は俺の寿命でやろう。やり方を教えて」


雲平は名案だと言い出すと、セムラは「なりません!ダメですよ雲平さん!」と言うが、「ホイップ君の言葉は間違っていないから、助けられる命は助けましょう。それで早く戦争を終わらせるんです」と言って微笑みかける。


「雲平さん?」

「神々の盟約でしたっけ?さっきから考えているんですが、あれもセムラさんがシェイクさんを好きになって、シェイクさんもセムラさんが好きでなら良いけど、違うならダメですよ。あ、ホイップ君がセムラさんとなんて言語道断ですからね!だからさっさと戦争を終わらせて、初めは建国でもなんでもして、終わったらまたレーゼとジヤーに戻せば良いんですよ」


想像もつかない雲平の言葉に、セムラはキョトンと「え?戻す?」と聞き返す。

雲平は「はい。だから早く戦争を終わらせたいから、俺もセムラさんの力になりたいんです」と言って微笑みかける。


この言葉にセムラは声を上げてワンワンと泣いて「何も返せてない」、「申し訳ない」と言いながらも、雲平から「俺がおかしくならないように腕を揉ませてくれてますよ?」と言われれば「今も揉みますか?」とセムラは問いかける。


「はい。よろしくお願いします。後は普段は声を我慢してますけどここは空の上だから気にしないで平気ですよ」


そう雲平に言われたセムラは、これ以上ない嬌声をあげる事になる。


その後で呼ばれたグェンドゥは「用意したよ」と言って雲平の仲間、それも雲平が認めるのではなく、本人の意思で決まるものに限定して、記憶の保護、記憶の継承を可能にし、更に使うにはセムラと手を繋ぐ事が条件だと説明をした。


「バッチリだ!ありがとうグェンドゥ!」

「命を使う魔法なのに喜ぶなんて君とセムラ姫くらいだよ」


少し嬉しそうで困った感じのグェンドゥの言葉を聞いた後で、雲平とセムラは空の上で見つめ合う。


「雲平さん」

「これで早く戦争を終わらせましょうねセムラさん。まあぶっつけ本番にしないと勿体無いのが困りますけど使う日はよろしくお願いします」

「はい。私こそよろしくお願いします。その時はお名前を呼びますね」

「はい。俺もセムラさんを呼びます」


2人はその後も空を飛びながら少しだけ話をして帰ってきていた。

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