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彼と彼女のデザイア。  作者: さんまぐ
シェルガイ-盟約。

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第79話 あ、犯人発見。

ミスティラは中庭でシェイク達と話している。

負けた兵士達は、ミスティラが氷結結界を解除してヒール治療をすると持ち場へと帰っていく。


口では「チクショウ」、「地球人!」等と言うが、雲平の実力を見て、受け入れて納得していた。

それを見たミスティラはとりあえず空中分解を防げた気がしていた。


「シェイク、大人気ないぞ?」

「すみません」


シェイクの気持ちを察するミスティラだが、どうしてもシェイクが皆を導く以上、厳しく指摘する。


「まあわからない訳ではない。雲平の規格外に触れたらペースも乱れる」

「はい。僕は彼を…」

「頼れ。それが平和への近道だ。ビスコッティならそうしていたぞ」


ミスティラの言葉にシェイクは渋い顔で返事をして明日以降の話をする。


「明日はスェイリィの神殿に向かう。そこに向かうのは私達とシェイク…お前を加えたメンバーだ。ジヤーの兵達は城と城下町の防衛に充てろ」

「…僕もですか?…わかりました」

「コジナーの本気を最前線で感じろ。お前のことは私が守る」

「はい」


話がまとまる頃に、カヌレとパウンドがやってきて、手を振りながら近づいてきたパウンドが「ミスティラ様〜!教えてください!」と言う。


一瞬で嫌そうな顔になるミスティラが、反射的に「なんだ?」と聞いてしまうと、横にいたカヌレが「姫様の幸せを願い考えたが答えが出ない」と言う。


心配そうなカヌレを見て、パウンドが「ミスティラ様は親以上に何でも知ってるから平気だよ」と言って、さあどうぞと言う顔でミスティラを見る。

お前達、シェイクも居るんだぞ?と顔でアピールしても、セムラ第一主義のカヌレと、カヌレ第一主義のパウンドには無理な話で、コメントに困っていると「あ!居たー!」と言ってアグリがホイップを連れてくる。


ミスティラは渡りに船とばかりに「アグリ?ホイップとどうした?」と聞いて後悔した。


「ホイップに氷魔法を授けろぉぉ?」

「うん。シェイク様を助けられる男になりたいって言うから連れてきたんだよ」


ここでシェイクが「ホイップ?」と真意を問うと、「兄上、僕はあの地球人の言葉が気になりました。僕のせいで兄上がシュザークウイングを持てないのだとしたら、僕が強くなります!」と言う。


「そんな、危険だよホイップ。お母様の遺言にもあっただろう?危険な真似は僕がするから大丈夫だよホイップ!」


兄バカの顔でホイップを止めるシェイクを見て、アグリが「あ、犯人発見。悪いのってホイップじゃなくてシェイク様なんだ」と言うと、ミスティラが「こら、言うな」と突っ込んだ。


「なんでですか?」

「これ以上厄介事は御免だ」


そうは言ってもシェイクは怖い顔でアグリを見て「僕の何が悪いって?」と聞く。

その顔は大人気ない。


「それです。その顔。折角ホイップがやる気になったんだから応援してあげてください!」

「そもそもそれだ!君はビャルゴゥに選ばれたとは言え、護衛隊の隊員なのに何故ホイップをホイップと呼ぶんだ!」


「うっわ、シェイク様ってそんな人なんだ…」と言って、辟易した顔のアグリは「ホイップ、言ったよね?私偉い人に怒られたよ。どうしてくれるの?」とホイップに言うと、ホイップはビクッと震えてからシェイクを見て、「あ…兄上、僕がアグリと友達になりたくて…名前で呼び合いたい…なって……思い……まして…」と言うが、声はどんどん小さくなっていく。


顔を覆って「ダメだ」と言うアグリと、「勘弁してくれ。ビスコッティ…、シュートレンもだが何故子育てに失敗する?何故再々婚をしなかった」と言って、ミスティラは肩を落とす。



そこに、そのシュートレンが花よ蝶よと育てたセムラをお姫様抱っこして、シュザークウイングで散歩をしていた雲平が空から降りてきて、「あ、良かった話したい人は皆居ますね」と言う。


その顔に先程までの怖さはないし、セムラは顔が上気していて、空の上で何があったかは聞くまでもない。


だが今度はアグリ対シェイクになっていて空気が悪い。


雲平は「あれ?アグリ?シェイクさん?何があったの?」と聞き、セムラも「シェイク王子?ホイップ王子もどうされました?」と言う。


ミスティラが制止する前に「ちょっと聞いてよお兄ちゃん!」と言うアグリと、「セムラ姫!聞いてください!」と言うシェイク。


そしてオロオロするだけで何もしないホイップ。


一通り話を聞いて、セムラと情報を共有した雲平は、無言で今も雲平の周りを浮遊するシュザークウイングの柄で、ホイップの頭に軽く一撃を入れる。


声にならない声で悶絶するホイップ。


「何をする!?」と言うシェイクには「勝手に動きました。ダメですねシュザーク」と言い、ホイップには「君が全部悪い」と言った雲平は言い放った。


「シェイクさんの優しさに甘えて、それでアグリと友達になって魔法を教えてくれとか、名前で呼び合いたいと言ったのに、シェイクさんが怒ったらアグリを助けられない?ダメダメだよ!君も明日は連れていくからね!今から訓練だよ!」


ミスティラが「雲平!?何故だ?」と聞くと、雲平は名案とばかりに「空でセムラさんと話したんですけど、シェイクさんがセムラさんの事が好きで、幸せにするならまあそれはそれですけど、神様に言われたからって言うだけなら、皆が強くなってさっさと戦争終わらせて、しっかり復興したら、またレーゼとジヤーにすればいいんですよ。そうしたら解決です」と言い切る。


シェイクは思いもよらない話の流れに、「何を勝手に決めるんだ!?」と聞くと、雲平は「えぇ?シェイクさんはそれで良いんですか?嫌な決まりは変えるべきですよ」と言う。


シェイクは雲平のペースに飲まれてしまうが、雲平は待ったなしでホイップの横に立つと「はい。魔法を撃つよ。アイスナイフからね。俺はアイスウェイブと氷結結界は撃てるけど、アイスナイフの経験がないからアグリ教えて」と仕切り始める。


アグリも困惑気味に「えぇ?ミスティラ様が居るのに?まあ、いいけど…」と言って、魔法力の溜め方を説明してアイスナイフを作ると雲平とホイップは真似をする。


アイスナイフは上手くいったが、やはりアイスウェイブからはうまく作れずに難儀をした。


シェイクは無理をするなと止めようとしたが、雲平はそれを制止して、ホイップの横に立って手を取ると「まだ溜めるんだ。集中しろ、まだだ。もっと冷たくなる」と指示を出す。

3回ほどかかったが、ホイップはアイスウェイブを放てたことに感動して「兄上!出来ました!」と報告をする。


シェイクは微妙な顔から兄バカの顔になると、「凄いぞホイップ!」と言ってしまった後で、雲平を見て悔しそうな顔をして「明日はよろしく頼む」と言うと、執務に戻ってしまった。


「なんか微妙な顔をしてた…」

「お前、無自覚は酷いぞ」


ミスティラに言われた雲平だったが、気にする事なくホイップに「ほら、そこで終わらせない。氷結結界だよ」と言ったが、ホイップに氷結結界は無理だった。

だが魔法量は中々のもので、「うん。氷結結界は明日覚えてもらうとして、アイスウェイブを連続で8回も唱えられるのはアリだね」と褒めた後は、グェンドゥの力を借りてとんでもない事を始めた。


「カヌレさん、グェンドゥハンマーを返しますから、ホイップ君と練習してください」

「何をする?」

「俺が見本を見せますから2人でお願いしますね」


雲平は空中にアイスナイフを作ると風魔法のウインドブラストでそれを飛ばして離れた場所においた標的に当ててしまう。


雲平は飄々と「これです」と言い、カヌレは想像を絶する内容に「…ど…努力する」と返す。


「ふむ悪くないな。カヌレも魔法を使えないと話にならん。鍛えろ」


ミスティラはそうは言ったが、最終的にパウンドが「俺、打ちます!」と言って槍の大振りでアイスナイフを打って的に当てる大技を披露すると、カヌレも「それだ!でかしたダーリン!」と喜んで訓練どころではなくなってしまった。

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