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彼と彼女のデザイア。  作者: さんまぐ
シェルガイ-火のシュザーク。

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第70話 無駄死になんてゴメンだ。

アチャンメのシュザークウイングを見て、ミスティラが「お前!何故それを!?」と声を荒げる。


「あ?姫様はチョロいからよ。手が足んねーんだ。私で済むなら安いもんだろ?」


ミスティラは冷徹に判断して唸るように納得をしてしまうと、キャメラルが「よし、一本は私な」と言って手に取った。


「はぁ?」

「アチャンメは二刀流じゃねーし、半分なら生き残るかも知れねーゾ?生き残ったらクモヒラにチューしようぜ」

「バッカ、私はもうしてきたよ」

「マジか?ズリい。アイツとっとと始末して私もスンゾ」


それが不可能なことは理解していた。

理解しているからこそ、2人して戦いの後の話をしていた。


2人で剣を構えて「応えろ!シュザークウイング!」、「担い手じゃなくてわりーけど言うこと聞け!後は壊れるな!私を殺せ!」と言うと、剣が呼応するように軽くなる。


「おお、私達が神獣武器を使えるぞ!」

「こりゃあ自慢しねーとな」


アチャンメとキャメラルは一気に距離を詰めるとストロングオクトパスの触手を切断して、「やれるぞぉぉぉっ!」、「殺せるぜぇぇぇ!!」と言って歓喜した。


やり取りを見たアグリが止めようとする。


「アチャンメお姉さん!キャメラルお姉さん!ダメだよ!手を離して!」

「バーロー、今止めたら無駄死にだって、それにビッチリくっ付いて離れねーよコレ」

「ちょっとだけど妹が出来て良かったぜ」


アチャンメとキャメラルはそう言って再生するストロングオクトパスの触手を斬り落とす。


「だって、ジヤーには家族だって!お父さんとお母さんが悲しむよ!」

「いねーんだよ!とっくに死んだ!」

「母ちゃんはレーゼで死んだから父ちゃんとジヤーに住んだら今度は父ちゃんは病気になったんだ!それでブラウニー団長が父ちゃんの友達だったから面倒見てくれたんだよ」


話しながらでもなます切りにして行くアチャンメとキャメラル。


「ちっ、なんかアレコレ考えちまうな。くそっ死ぬならバッコンバッコンしとけば良かったな」

「な、クモヒラとならビシャビシャだから子沢山だったのにな」

「まあしゃーねーよ!」

「だな!」


アチャンメとキャメラルの渾身の一撃は国府台帝王には届かなかった。


全身に火を纏った国府台帝王は全能力を解放すると、アチャンメとキャメラルを弾いた。


「まあ、悪くない」


そう言った国府台帝王を見て姿勢を整えた2人は「無駄死になんてゴメンだ」、「必ず殺すぞ」と言った。



・・・



そこに来た雲平はセムラを下ろすと、アチャンメとキャメラルの横に行って「お待たせ」と言った。


「は?クモヒラ?」

「お前、震えは?」

「イライラしちゃったから後回しにしたよ。今剣ないからそれ返してよ」

「返せってお前…」

「後回し?」


国府台帝王は待つことなく触手やウインドボールで雲平を攻め立てるが、雲平は「ビャルゴゥ、水の壁。ウォーターウォールとか言うのかな?やれるよね?」と言うと、水の壁を生み出してそれらを防ぐ。


「お兄ちゃん?」

「アグリ、真似できるならもう一枚張っておいてね」


アグリは左腕のビャルゴゥリングに語りかけるように力を使うと、雲平のような壁が生み出せた。


「…なんでシレッとしてるんだよ」

「イライラしてるからだよ。とりあえずシュザークウイング返してよ」


「返せってお前、これ離したら私たち死んじまうぞ?」

「死なないよ」


「死ななかったら壊れて直すのに時間かかって…」

「平気だよ」


雲平は有無を言わさずに右手をアチャンメのシュザークウイングに、左手をキャメラルのシュザークウイングに持って行くと声をかける。


「今のは慣らしのテストみたいなものだ。勘違いするな。あの2人は契約で俺の頬にキスをした。俺と繋がってた。見抜けないお前達のミスだ」


そう言い切るとアチャンメとキャメラルに「離してご覧」と言った。


「え?」

「マジで?」

「ほら、早くして、流石にビャルゴゥも壁作り続けると疲れちゃうよ」


アチャンメは「離せた…」と言ったが、キャメラルは違っていた。

「あ…れ……」と言って倒れ込む。

顔色に生気はなく死が見て取れる。


「ちっ!シュザークウイング!キスなら昨日してんだよ!今日もかよ!キャメラル!俺を見ろ!」


倒れ込む直前のキャメラルはなんとか顔を雲平に向けると、雲平は乱暴気味にキャメラルの額にキスをした。


「ほら!約束果たしたんだからお前もごめんなさいでキャメラルの命を返せ!」


そう言いながらシュザークウイングの端を持たせると、キャメラルは血色がよくなってきて「マジか…。治った?」と言う。


「当たり前だよ。全く2人してさ。ダメだよ?女の子なんだから自分を大事にするんだ」


雲平は立ち上がると、「アチャンメ、セムラさんから剣返して貰いなよ。アレはなんかヤダから新品買ってよね」と言い、キャメラルには「動ける?連携するよ」と続けた。


アチャンメは「お…おう」と言い、キャメラルは「動けるぜ!アチャンメぇぇっ!良いだろ!クモヒラからチューして貰ったぜ!」と言って構えを取った。


アチャンメは「おーおー、生意気言いやがる」と言いながら、セムラから剣を返してもらう時に「姫様は強えな。泣いてもクモヒラを本気にしてくれた」と言って笑う。


泣いたせいで目の赤いセムラは「はい」と返事をすると、「後で雲平さんがご褒美でアチャンメを撫でてくれるそうですよ」と言う。


顔を真っ赤にしたアチャンメは「マジかよ、私を殺すのはシュザークウイングじゃなくてクモヒラかよ。死んじまう」と言った。

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