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彼と彼女のデザイア。  作者: さんまぐ
シェルガイ-風のグェンドゥ。

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第64話 我慢してくださってありがとうございます。

ジヤーのゲートから飛び出すと、そこは悲鳴が飛び交っていた。

悲鳴の方へと向かうとシェイクは倒れていて、その側にはビスコッティが血を流し倒れていた。


そしてその先には背中から8本の触手を出して、1本ずつに近衛兵を捕まえる国府台帝王がいる。


国府台帝王の放つ気配は以前とはまた変わっていて、より異質になり、レーゼの城で対峙したオシコに近い感じがしていた。


「ミスティラとセムラさんはシェイクさんを!アチャンメはアグリを頼む!キャメラル!連携して!パウンドはカヌレさんを!カヌレさんはグェンドゥハンマーを使って!」


雲平は指示を出すと、果敢に国府台帝王に向かって斬り込むが問題があった。


それは雲平に室内戦闘の経験がないこと。

室内ではサンダーウェイブしか放てないこと。そして剣は金太郎の所で貰ってきた剣しか無かった事だった。


雲平達を見てニヤリと笑った国府台帝王は、キャメラルの剣を無視して雲平の剣を折る。


一撃で剣を折られた雲平はサンダーウェイブを放とうとしたが、国府台帝王ほ捕まえた近衛兵達を肉の壁に使って雲平を封じる。


周囲を見ると、パウンドはグェンドゥハンマーを構えたカヌレにタイミングを合わせるために槍を構え、アチャンメは魔法を放つべく左手を構えるアグリを守る為に控えている。


「ちっ、アグリだと時間がかかる!ビャルゴゥリングを俺に貸すんだ!」


雲平が動こうとしたが国府台帝王は「それは怖いな、だがあの女はビャルゴゥリングを外した瞬間に殺す」と言う。


この言葉によって身動きが取れなくなった雲平。

そしてアグリはウォーターガンを放ったが、国府台帝王は身体にファイヤーハミングの火を纏うと直撃を無効化した。


「衝撃は来るがまだまだだな」


そう言って笑う国府台帝王に雲平はキレて、「カヌレさん!グェンドゥハンマーを貸して!カヌレさんは剣で!」と言って動いた時、雲平の背中に衝撃が走る。


それは国府台帝王のウインドホースの部分が放ったウインドボールで、雲平は激痛に悶える間に距離を詰められる。


「なんだ、こんなもんか」


その言葉と同時に雲平は踏み殺された。



・・・



「っ!!?」

雲平の身体は急に跳ねる。


自分に何が起きたかわからずに辺りを見ると、グェンドゥの神殿でキャメラルがグェンドゥに向かって「見えてるのかよ!ならジヤーは!街は!?城は!?」と聞いている。


「城はメタメタだけど街は無事だよ。地球人はファイヤーハミングの力で羽を生やして飛んできたからね。いきなり城に突っ込んでビスコッティを殺して近衛兵を8人捕まえたんだ」



雲平は漠然とした不安感に襲われていたが、口からは「セムラさん!ゲートを開けて!ジヤーに行きましょう!シェイクさん達を救わないと!」と言う言葉が出ていた。


セムラは困り顔で雲平を見て、ミスティラは心配そうに、探るように雲平を見る。

だが雲平が何も言わない事にセムラは「はい」と返す。


「えぇ、やめなよ。出口をシュザークの所にして次の武器を手に入れるべきだよ」


グェンドゥの言葉に雲平は「嫌です」とは言わずに「…そうかも」と返した。


「そうだ。辛いだろうが今は耐えろ。きっとシェイク達は無事だ」


ミスティラの言葉に雲平は何となくそんな気がしていて「そうですね」と雲平は返す。


雲平の気が変わらないうちに、ミスティラは「済まないなグェンドゥ」と言い、セムラに「シュザークの神殿へ繋げ」と言った。


セムラはどこかほっとした顔で「はい」と言うとゲートを操作する。

グェンドゥが「セムラ姫」と声をかけると、セムラは清々しい表情で「はい。ありがとうございますグェンドゥ様」と言った。


「こちらこそだよ。後はシュザークに任せるから、これ以上は無理しないで良いようになるはずだよ」

「はい。レーゼの姫としてこれ以上の事は御座いません。ありがとうございます」


雲平はこの会話が気になって、「セムラさん?」と聞いたが、セムラは首を横に振って「何でもありません。雲平さん、我慢してくださってありがとうございます。ジヤーに乗り込みたかったですよね」と言うと、雲平は「はい」と答えながら自分の手が震えている事に気付いて首を傾げた。

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