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彼と彼女のデザイア。  作者: さんまぐ
シェルガイ-雲平の家族。

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第54話 アグリは歓迎されるよ。

夕飯ができたと呼ばれる頃には、セムラは疲れもあって雲平の腕の中で眠っていた。

それでも飽きずに雲平はセムラの腕を揉み続けてセムラは身体を震わせていた。


アチャンメとキャメラルは、「クモヒラ、ヤバすぎだからな?」、「風呂場まで姫様の声が聞こえて来たからな?」と言い、アグリは「やっぱりお兄ちゃんは変態なの?」と言っていた。


皆が集まると周りの連中は雲平を見て、「隊長の息子らしい」、「やべえ戦闘力」、「しかも荒熊騎士団の2人とレーゼの姫さんをはべらしてる」と言い、雲平の顔が怖くなったが、ミスティラから「そう言うことにしておけ、それが楽だ」と言われて雲平は我慢をした。


「それよりも」

「何?」

「アチャンメとキャメラルのパンツを洗って、火と風の魔法で乾かしてやったんだから感謝しろ?」

「俺が?なんでです?まあ汚いよりかは綺麗な方がいいですよね」


雲平は何もわかっていないし、聞いているアチャンメとキャメラルは真っ赤になって、「うぅ…乙女の恥だ」、「汚れちゃったよなアチャンメ」と言っている。

それを聞いたアグリは雲平の横で、「お兄ちゃんは変態?」とまた聞くが、「俺はそんなじゃないよアグリ」と言う。


その顔は今までの中で1番穏やかな顔で、「お兄ちゃん?なんか顔が優しいよ」と言うと、アチャンメが「姫様の腕をアレだけ揉んだからだな」と言う。

キャメラルは身震いをすると、「姫様やべーな。生きてるか?」と言った後で、アチャンメに「アチャンメ、地球にいるアンコってクモヒラの幼馴染は、下腹を気に入られて1時間近く揉まれて何度震えても許してもらえなかったんだぞ」と言うと、アチャンメは顔を真っ赤にして身震いして「やべえ」と言った。


皆の声で目を覚ましたセムラは、ツヤツヤの顔でスッキリしている。


「泣いて眠らせて貰ったからか、スッキリしてしまいました」

「疲れていたんですね。本当、お疲れ様です」


雲平とセムラの微笑ましいやりとりに、ミスティラ達は違うだろ?と思ったが口は挟まない。

金太郎は隊長として部下達に邪推はやめろと指示をしていた。


そんな会話をしていると馬車が一台やってくる。


「あ、忘れてた。クモヒラ、荷物回収しようぜ」


キャメラルと雲平は、嫌な予感がするからと馬車から飛び降りて先行していた。


そのまま馬車に入ったキャメラルは暫くするととんでもない事をした。


「じゃーん!」と言って、あんこから貰った鯉の刺青がデザインされたTシャツを着て現れた。


「ビャルゴゥ!?なんだそれ!?すげぇ!!」


アチャンメが飛びつくと、黙っていられないキャメラルが「にひひ。羨ましいダロ?」と自慢げに言う。


「ズリい!なんでクモヒラは私よりキャメラルを選んだんだ!」


怒るアチャンメに、雲平は「はい。ビャルゴゥは無いけどシュザークならね。日本であんこがスェイリィのシャツを持ってるから、キャメラルが無事に帰ると貰えるんだよ」と言って孔雀のおばちゃんセーターを渡すと、「うぉぉぉぉっ!!マジかクモヒラ!ありがとうお兄ちゃん!」と言って飛びついて喜んだ。


「あれ、お義母さんの趣味よね?」

「おばちゃんセーターと刺青Tシャツが喜ばれるとはなぁ…。確かにビャルゴゥは似てるな」


雲平は念の為にカヌレとミスティラにもヒョウ柄トレーナーを用意しておいた。


カヌレは約束を守ってビキニアーマーだが、マントはギャップが良くなって来たと言うミスティラのお陰で今も羽織れていた。


そのカヌレはマントにおばちゃんトレーナーにビキニアーマーという物凄いファッションになるが、本人は「力が漲ってきた!姫様の服はミスティラの家に置いて来たからいずれ返さねば!」と喜び、パウンドは「ハニー!可愛すぎる!抱きつきたい!」と興奮する。


ミスティラは「…嬉しい。アイツらを崇める気はないが、ここ100年でかなり上位にくる嬉しさだ」と喜んでいた。


セムラは拗ねるように人差し指を口元に当てて「雲平さん」と言う。


「ありますよ。はい」


雲平は像柄トレーナーを渡すと、セムラはひっくり返りそうになりながら「グゥエンドゥの聖衣!!」と喜んで抱きしめていた。


ちなみにだが金太郎と瓜子は、隊員達から地球にはあんな素晴らしい服があるのかと言われ、買ってこない事に文句を言われる。


「おいおいおいおい、マジかよ」

「日本ではあまり人気がないから考えてなかったわ」


ここで雲平が「買ってきてあげなよ」と言う。


「俺達はアグリと一緒にシェルガイに居るんだよ」

「雲ちゃん、さっき話したわよね?」

「別に2人が居ない方がアグリも清々するよ。別に少しならアチャンメとキャメラルやセムラさんがいるから平気だよ」


この言葉にアチャンメとキャメラルは「イイぞ!」、「きっと楽しいな!」と喜び、セムラも「はい。是非どうぞ」と言う。


穏やかでないのはアグリで「お兄ちゃん、お父さんとお母さん…」と言って困惑の顔をする。


本当の息子が帰ってこいと言うのは間違っていない。

だからアグリは何も言えなくなるが、雲平は「ちょっとでいいんだ。ずっとなんていられたら迷惑だよ」と言う。


「え?」

「ウチには年老いたばあちゃんが居て、ばあちゃんが死んじゃう前に会いたがってるから、会ってくれればそれでイイんだよ」


「お婆ちゃん?」

「うん。ばあちゃんはセムラさんの事も、キャメラルの事も孫だって言ってたし、アチャンメに会える日を楽しみにしてる。アグリもきっと気に入られるよ。気になったら会わせるから言ってね」


アグリは青くなりながら悩むと、「怖くないかな?」と言う。

今までなら日本と聞くだけで卒倒していたのだが、この変化に金太郎達は目を丸くした。


「ばあちゃん?多分父さんはボコボコに言われるはずだけど、アグリは歓迎されるよ。俺と一緒で父さん達はシェルガイで良いけど、アグリは可愛いからウチに住みなさいって言われるね」


ここにキャメラルも「私も言ってもらえたンダゾ。でもアチャンメが1人で暴走しそうだから帰って来たわけよ」としみじみと言う。


「うん。日本は怖いからやだけど、お婆ちゃんには会ってみたい」

「そうだね。最悪レーゼのゲートから飛鳥山公園のゲートに出るのだけ我慢してくれたら、そこで会ってお茶してシェルガイに戻れるよ」

「ん…、なら会ってみたいよ」

「うん。ありがとうアグリ」


この和気藹々とした空気の中で、食事が始まるとパウンドは同年代の仲間との触れ合いに喜び、カヌレも瓜子と話したりした。

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