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彼と彼女のデザイア。  作者: さんまぐ
シェルガイ-雲平vs国府台帝王。

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50/151

第50話 俺は今からこいつを殺して名前を日本に連れ帰る。

アチャンメ達は自身の身体を濡らしていた水が凍って落とせることに感動をすると、一気に斬り込んで距離を取る。


「クモヒラ!」

「撃てるぞ!」

「ああ…」


そう言った雲平はキレていた。

その声を聞いたアチャンメ達は震え、胸の中のアグリも息苦しさを感じていた。


「人を喰ったお前はもう人じゃない」

「ウルセェ!なら助けてくれたか!?何もしなかったろうが!」


国府台帝王の拳を避けた雲平は、深く斬りつけると肩に飛び乗って剣を差し入れた。


「抜かせねえ!このまま丸腰のお前を殺してやる!」


そう言って国府台帝王が雲平を掴もうとした時、雲平は「避雷針…意味くらいわかるよな?」と言って距離を取ると、「サンダーフォール!サンダーボルト!」と唱えた。


2つの目も眩むような落雷。

雷は散ることもなく剣めがけて落ちて国府台帝王を焼く。


それでもなんとか前に出て雲平を攻撃しようとする国府台帝王。

雲平は止まらずにサンダーフォールを唱えながら胸の中のアグリを見る。


初めて見るアグリの顔。

大きな目に長い髪。とても戦闘に似つかわしくない。

目が合うとアグリは「お兄ちゃん?」と声をかけてくる。


「アグリ、俺が補助をする。氷の魔法の体制になって」

「え?」


「アイスウェイブだよ」

「でも散っちゃうってお母さんが…」


「大丈夫だよ。散るならそれは俺が集める。アグリは降りて」

「…うん」


アグリは言われるままに雲平から降りて手を前に出す。


そんなやり取りを見たアチャンメとキャメラルは、「マジか」、「なんでキレたクモヒラは撃ち続けてるんだよ」と言っている。


雲平はアグリの手に合わせて手を前に出すと「集中だよ」と言う。


「お兄ちゃん?」

「平気、アイスウェイブを見てて思ったんだ。アグリの魔法は強いから後は俺が代わるよ」


雲平はサンダーフォールを放ちながら「固まった。撃って」と言うと、アグリは「アイスウェイブ!」と唱える。


今までとは比較にならない冷気の波が国府台帝王に直撃し、国府台帝王は体表が凍りついた。


アグリは驚きの表情で自分の手と国府台帝王を見て、「出た…アイスウェイブ?」と驚き、その間も「ガァァァッ!?」と悲鳴をあげる国府台帝王がまだ動こうとする。


「まだ動く?しぶといな」


キレた雲平は止まらない。


「アグリ、もっとだ。アグリなら撃てるよ」

「え!?アイスウェイブ!」


アグリは雲平のサポートもなくアイスウェイブを放ったが、雲平は「違うよ」と言った。


「え?」

「氷魔法の大魔法だ。撃てる…撃たせるよ」


「え!?」

「氷結結界だったね。大丈夫。サンダーデストラクションを撃てる俺が、アグリに氷結結界を撃たせるよ。どうすればいいの?知ってる?」

「え……魔法で起点を一気に冷やして、氷を産んで対象を凍り付かせる…」


雲平は「うん。わかった。撃とうアグリ、集中して」と言った。

聞いているアグリだけではなく、アチャンメ達も恐ろしい気持ちになり始めていた。


「マジかよ?氷魔法に適性のないクモヒラが氷結結界!?」

「聞いただけでカヨ?」


だが雲平は止まらない。


「アグリ、集中。まだだよ。うん。いいね、冷たくして、もっと。足りないよ」

「お兄ちゃん!?わかんないよ!?できてる?」


「うん。悪くない。後は氷が産まれるのをどうするんだろう?水?足りない分はサンダーデストラクションの雷雲と同じかな?魔法で氷を作るのかな?アグリ、それはそのまま、奴の足を見てその周りを凍らせよう」

「え!?むずかしいよ!」


「出来てるよ。自信を持って、さあ、奴が動くから放とう。奴の膝を凍らせるよ。アグリ!」

「不発でも笑わないでね!氷結結界!!」


氷の大魔法氷結結界が発動した。

生まれたものは弱く脆いギリギリ氷結結界と呼べるものだったがアグリは一気に放った。

下半身に直撃した国府台帝王は身動き出来ずに「なんだこれは!?」と慌てる。


そこにサンダーフォールを止めた雲平が前に出ながら、「アグリ、お疲れ様。ありがとう。助かったよ。俺は今からこいつを殺して名前を日本に連れ帰る」と言う。


雲平は深呼吸の後でサンダーボルトをコレでもかと放ち、息継ぎのようにサンダーフォールを放つ。次第にボロボロになる国府台帝王の身体、手足が消し飛び、胴体が千切れた時、伏兵だった蜥蜴騎士が数体のオークと共に現れて、国府台帝王を回収すると肩に刺さった雲平の剣を抜いてオシコの元に駆け出した。


アチャンメとキャメラルは「ニャロ!」、「逃すか!」と前に出たが、オーク達が肉の壁になって足止めしている間に国府台帝王には逃げられてしまった。

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