表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼と彼女のデザイア。  作者: さんまぐ
シェルガイ-強敵の裏側。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/155

第48話 わかった。任せろ。

国府台帝王だったものは漲る力に驚きを隠さなかった。

オシコは「うふふ」と笑うと、国府台帝王の顎を持ち上げて「可愛いわ、シェルガイ適性は低いのに、魔物との親和性が高いのね」と言う。


オシコの顔は恐怖ばかりだったのに、今はとても魅力的に見えてしまうし、とてもいい匂いがしてきて頭の奥が痺れる。


「うふふ。それもあなたの力よ。弱い個体は力を発揮できないもの」


そう笑ったオシコは国府台帝王に人喰い鬼への変身方法を教えた。


国府台帝王は才能を見せる。

オシコの指示の先に自分を進めて、手だけ人喰い鬼にしてみたり、顔だけ人間のまま身体を人喰い鬼にした。


「へえぇ、やるじゃない。気に入ったわ」


オシコが喜ぶと母親に褒められた時のような喜びに支配されていた。


力も相当だった。

人喰い鬼の姿なら岩でも巨木でも簡単に破壊する事ができた。


「さあ、復讐の刻よ!」


国府台帝王はオシコに見られる事を嫌がらなかった。

まずは牢屋の中に入って剣士の男を肉塊に変えた。赤ん坊が人形を破壊するようにこれでもかと痛めつけて壊した。


男もただの人喰い鬼なら勝てたかも知れないが、国府台帝王の人喰い鬼は今までの人喰い鬼と違い男を圧倒した。


地下室に血の雨を降らせた国府台帝王、は真っ赤に染まった身体でゲラゲラと笑い声を上げた。


ゴリコニはそれを見て「化け物」と懲りずに悪態をついたが、国府台帝王は「お前達ほどじゃない」と言うと、ゴリコニの足首を握りつぶして逃げられなくしてから「お前は最後だ」と言った。


「オシコさん、時間はあるかな?」

「ええ、私たちなんて勝ち戦だから一晩中遊びなさい」


国府台帝王は人の姿になると、ひたすら金貸しの男を殴り続けた。男は必死にヒールの魔法で傷を癒して国府台帝王が力尽きる事を狙った。

人間・国府台帝王が相手なら勝てたかも知れないが、半魔半人・国府台帝王のスタミナの前に金貸しの男は遂に力尽きて殴り殺されてしまった。


「待たせたな」


国府台帝王はゴリコニの返事も待たずに服を破り裸にすると、ロクな前戯もなく交尾を始めた。


初めは痛がるゴリコニだったが、次第に声に艶が出てくるようになると、国府台帝王は「粗チンで何やってんだ?」と言い、信じられない行動に出た。


局部のみを人喰い鬼の物に変えた。


胎内の異変に気付いたゴリコニが、「ひっ!?何!?…まさか!?やめて!!」と言ったが、その声を無視して国府台帝王は動き続けた。


ゴリコニは「壊れる」、「苦しい」、「痛い」、「裂ける」、「やめて」と声を上げたが、国府台帝王はやめなかった。


あり得ない突き上げによる苦しげな時間の中、途中からゴリコニは国府台帝王の限界に期待した。


人ならもう満足をする。

疲れを訴える。

その時を待って生き延びることだけを考えるようにした。

身体は刺激に対して素直に反応し、何度も果てたが心だけは強く保とうとした。


だが甘かった。

もう国府台帝王は人間では無かった。

一晩中の行為でも終わらずに、オシコに「まだ時間はあるか?」と聞きながら腰を振る。


ゴリコニはオシコが止める事を期待したが、オシコは縋るようなゴリコニの目を見て「うふふ」と笑うと、「好きなだけやりなさい。でも壊していいけど殺さないでね」と言った。


この言葉に限界を迎えたゴリコニは程なくして壊れてしまった。


「あはは…あー……ははっ」


そう笑うばかりで、壊れたゴリコニに飽きた国府台帝王は精を放って腰を止めるとオシコに「飽きた。待たせた」と言う。


「一晩中なんて凄いわ。若いっていいわね。それ、ペットにする?」

「いらない。出来たら同じ半魔半人の人喰い鬼の女が欲しい。壊れない奴がいい」


ゴリコニを指差して「うふふ。その女をくれて、今度目ぼしい好みのやつを連れてきたらやってあげるわ」と言うオシコに、国府台帝王は「それを何に使うんだ?」と聞いた。


オシコはゴリコニの股からあふれ出ている体液を見て、「やあね。一晩中何回も中出ししたのよ?きっと半魔半人を身籠るわ。素敵よ。生まれてきた子は生まれながらの人喰い鬼と人間の子供なのよ」と言った。


「仲間を増やすのか?」

「そうね。その考えでもいいわ。お腹すいたでしょ?すぐに出かけるからそこの肉塊を食べておきなさい」


初めは何を言われたか分からなかった国府台帝王だったが、人喰い鬼の姿になると、金貸しも男であったものがとても美味そうに見えてしまった。

一晩中ゴリコニを抱いた事で腹の減った国府台帝王は、肉塊に飛び付くと後ろからオシコの声が聞こえてきた。


「一個だけ言わなきゃ。あのね。強い魔物はゲートを潜れないの。そう、もうあなたはゲートを潜れない身体になったわ。過去も全て捨てて私の仲間として頑張ってね」


それは自分が日本に帰れない事だった。

今更言うかと思ったが、人を肉塊に変えて食べた自分はもう人間ではないと悟った国府台帝王は涙を流しながら食事をした。



・・・



食事を済ませた国府台帝王が外に出ると、オシコとゴリコニは馬車にいた。

今気づいたが馬車は自身と同じ半分魔物だった。不思議なことに言葉が通じて驚いた。


「うふふ。偉いわ。本当親和性が高いわね。魔物は私が近くにいれば言う事を聞くけど、居ないとダメだからあなたが必要なのよ」


嬉しそうに話したオシコに「わかった。任せろ」と返し、これからについて聞いた。


「ゲートの説明はさっきしたわよね。あのゲートとその力を使った壁のせいでコジナーは侵略できないのよ。本来ならクラフティの持つサモナブレイドで壁を消して、コジナーのゲートを起動させたんだけど、宝玉がないからゲートが動いているだけで求めた出力じゃないし、壁も消えないから別の方法を取ったのよ」


馬車は半分魔物な事もあって、疲れる事なく赤くそびえるゲートに似た壁の前に出た。


壁の前には数人の人間達がみすぼらしい格好でオシコを待っていた。


「コイツらは?」

「あの詐欺村の連中よ。そうね、未来の詐欺師ね」


国府台帝王が人間達を見ると弱そうな女子供と年寄りばかりだった。


「コイツらは半魔半人だけどシェルガイ人だからか親和性が低くて弱いのよね」

「弱い?それでは戦力には?」

「まあ元々戦力になんてしないわ。やっても女は苗床で人間の姿で男を誘わせるか、人間の男を連れてきて半魔半人の子供を産ませるわ。男も野に放って人間の女を襲わせて半魔半人を産ませるのも良いけど、そっちはやり過ぎるとクラフティが裏切るから出来ないのよ。使い道はこれよ」


オシコは1人の老人を選ぶとオシコとして命じる。

顔では嫌がっても身体は前に進み、ゲートの中に入って行く。

人の身では多少辛そうだがゲートに入る事が出来て、そこで姿を人間サイズにしたゴブリンに変貌させる。


バチバチという裂ける音と共にゲートに一瞬穴が開くと、穴の向こうから立派な装備の蜥蜴騎士が現れた。


「蜥蜴騎士…」

「そうよ。この子達はコジナーで私が訓練した子だから強いわよ。でも魔物だからゲートの突破は出来ない。だからね」


オシコの説明の後で先程の老人を見ると、老人はゲートにすりつぶされて死んでいた。


「弱い個体でもこれくらいなら出来るのよ」


この説明に「成る程、弱者を生贄に強者を呼ぶのか」と納得をした国府台帝王。


老人を失って慌てる連中に「大丈夫よ。嫌なら人間を連れてきてドンドン子を産めばいいのよ。強い個体なら戦力に加えるし、弱ければゲートを破るために使うから自分の番は後回しになるわよ」と声をかけると、蜥蜴騎士に「こいつらの管理をよろしくね。あとこの女はこの子の子供を産むから殺さないでね」と指示を出すと、今度は老婆を使いもう一体の蜥蜴騎士を呼び出した。


「ねえ、早速仕事よ。古き神々が魔物達を大量虐殺する為に、神獣武器というのを作っていて、それがジヤーにあるのよ。ここから一つ目は近いから奪ってきてくれない?」


国府台帝王に断るという選択肢はなかった。


素直に頷くと、蜥蜴騎士を指差して「この子が先輩だから言うこと聞いてね。後は歩きながら野良のゴブリンとオークと人喰い鬼を連れて行きなさい。他の魔物はまだあなたのいう事を聞かないと思うから、今はその3種族よ」と言って見送った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ