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彼と彼女のデザイア。  作者: さんまぐ
シェルガイ-神獣武器を求めて。

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第41話 空から降ってくるから気長に待て。

パウンドの先祖は、断っても使命だと言って聞かずに、ミスティラに尽くした。

そもそもは兄妹で妹を救った御礼で始まり、兄の衰えに妹の子供が任務を代わりに来る。

そして晩婚だが兄の子が代わるようになる。

途中から妹の子がミスティラの全盛期はミスティラを放置して、結婚と出産なんかを済ませて次の子供と共に目の前に現れるようになる。

始めは兄妹間のトラブルかと思ったが、毎回新しくなるたびに教え直すミスティラの手間を考えての事だった。


ミスティラが施した双子石の魔法が、どこに居てもミスティラとパウンドの血脈を繋げていて、どれだけ離れても会いに来る。


「よくやるな、嫌にならないか?」


かつてそう聞いた時、パウンドの祖父は「全然、当たり前だから気にならない。食事の時にいただきますというくらい当たり前だからね」と言った。


パウンドの祖父は、娘しか生まれてこなくて詫びてきたが、ミスティラは気にしなかった。


今は六度目の人生で、五度目は結婚しなかった。

言い寄ってきた男はいたが、なんの冗談か二番目に結婚した男との子孫だった。

血は薄まっているが、なんとなく受け入れられずに、男には「私は賢者ミスティラ。話くらいは聞いたことがあるね?君の古い祖父の名前はキヤドラ、私の夫だった男だよ。わかるね?」と告げて別れた。


ミスティラは男の中に見えた夫の姿に惹かれ、男はミスティラに何かを感じた結果だった。



・・・



世界は平和だった。

コジナーの結界はレーゼがキチンと管理している。

ジヤーの方は神獣武器の担い手を神獣が選ぼうとしない。

持て余した時間で恋愛小説を書いてみた。


それを読んだパウンドは「俺のハニーは何処ですか!?」と騒いだ。


これが滅茶苦茶ウザかった。


パウンドを取り上げて、産湯につけたのは老齢のミスティラだった。

子供以上の子供、孫以上の孫だった。


パウンドの母は、ミスティラの世話をしながら適齢期ギリギリだからと結婚と出産をした。


パウンドの母もミスティラからすれば娘同然で、お互いに親子に近い信頼関係はあった。


「お前…、そんな飯屋で何を食うか決めるように男を選ぶな」

「えぇ?だって私は見た目ばかりで、武力には恵まれなかったんだもん。こっちの槍使いと斧使いはどっちがいいと思う?」


パウンドの母は男の名前と特徴を書いた紙を何枚か用意して、選別をして残った斧使いと槍使いを本気で能力で選んでいて、頭を抱えたミスティラは「お前なぁ」と呆れたが、パウンドの母はミスティラを諭す。


「いつまでも平和が続くなんて思わないでください。準備ですよ準備!」


そう言っていて、諦めたミスティラは「槍使い。単体では斧使いだが、弟子の面倒をみてるのは槍使いだ。お前の子供も鍛えてくれる」と言うと、「おお!見るポイントが違いますね!」と言って、さっさと槍使いと結婚をして子を3人も産んだ。


長兄のパウンドをある程度仕込んで、ミスティラの生まれ変わりが済んで旅立てるようになると、パウンドの母は冗談を言いながら見送ってきた。


「ミスティラ様、私達はこの街に住みますから、パウンドが死んだら次の用意はあるので来てくださいね」


槍使いとはなんだかんだ相思相愛で、仲睦まじいので不安なんてものはなく、「はいはい。今までありがとう」と言って見送られることにした。



準備は間違ってなかった。

元々ゲートはシェルガイに点在していたが、異世界…地球に繋がるゲートの祭壇がジヤーとレーゼから見つかって、交流が生まれてしまっていた。

少しずつだが世界はズレ始めていた。


滅茶苦茶ウザいパウンドはミスティラに懐いていた。

優しいお婆ちゃんが、寝込んだと思ったら赤子になった。よちよち歩きなのに口調は変わらないし自分を覚えている。

そして親より博識で面倒見もいい。


ミスティラからすれば、自身が生んだ子達は皆いい子達ばかりだった。

聞き分けも良かった。


なのにパウンドと来たら、「俺はミスティラ様の従者ですから、いつも一緒です!」と言って、おはようからおやすみまで付き纏われて、「あれは何ですか?」、「あれは?」と聞いてくる。


「調べろ!」

「ええ?まあまあ、ケチケチしないでくださいよ」


この調子の良さである。


遅かったが性の目覚めは本気で困った。

普段通り風呂に入っていると、パウンドが「ミスティラ様、なんか最近変なんですよ」と言って、勃起したイチモツを見せてくる。ギンギンに硬化したそれは、凶悪さに満ちていて見ていられないものだった。

人のそれを凌駕した人喰い鬼のイチモツを彷彿させる。

ミスティラはコジナーで飼育しようとした、人喰い鬼の交尾を見てしまった事を思い出していた。


「お前!?バカか!?私に聞くな!父…」


父親か母親に聞けと言おうとしたが、パウンドは「親父もお袋もミスティラ様に聞けと言ってました!」と返してくる。


「馬鹿野郎!」


そう言ったミスティラは、風呂を出るなり4歳の姿でパウンドの両親をコンコンと説教してやった後で、致し方なく教える事にした。


「それはお前が恋をして、パートナーを迎え入れる準備ができた証拠だ。だがそれを人前で晒せば、お前の人としての人生が終わる。無闇矢鱈に見せるものではない」


そう教えると、今度は恋愛に興味を持ち、かつて書いた恋愛小説を与えれば、ハニーは何処に居るかとしつこかった。


いよいよ限界を迎えたミスティラは、適当に「空から降ってくるから気長に待て」と言ったらカヌレが落ちてきてしまった。


これによりパウンドは更にミスティラを神聖化してしまうし、ロクでもない事になった。

だがパウンドは能力で選んだだけあって槍の実力は間違いなかった。

それだけが救いだった。

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