表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼と彼女のデザイア。  作者: さんまぐ
シェルガイ-神獣武器を求めて。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/151

第39話 神々の掟だからね。

わずか10日で、ジヤーはかなりの領土がレーゼに攻め込まれていた。

雲平が着いたのは夜で、キャメラルは「ダメだ!?なんで夜で朝で夜なんだ!?」と驚いていた。


「時差は日本基準なのか…」

「雲平?」


驚くキャメラルを見る雲平に、シェイクが「キャメラルはどうしたんだい?」と聞いてくる。


「ああ、俺の住む日本は今、シェルガイと同じ夜中なんですよ。でもシアトルは朝です。日本を出て本来なら夜中なのに、シアトルは朝で、でもゲートをくぐった俺たちはまた夜だから、キャメラルは混乱してるんですよ」

「ああ、時差だったかな?不思議だよね」


シェイクは人の良い笑顔で微笑むが、疲労や心労は隠しきれない。


「大丈夫…じゃないですよね」

「うん。レーゼ…シュートレン陛下を討って、レーゼの王になったクラフティは、コジナーと協力してジヤーを手当たり次第に襲っているんだ。今こうしている時も民達が狙われているかと思うとね」


雲平は話を聞きながら地理感のなさで、いまひとつ状況が掴めないことで横のキャメラルに、「キャメラル、地図ってある?」と聞くと、キャメラルは部屋の隅に居るブラウニーに向けて「おう。団長ー、地図だ!地図をくれ!」と呼びかける。


地図を持ってきたブラウニーは、雲平を見て「よく戻ってくれた。キャメラルを守ってくれたそうだな」と礼を言う。


「いえ、俺こそレーゼの城でオシコを倒そうとしなければ、全員でジヤーの城に移動出来たのに、余計な真似をしてしまいました」


落ち込む雲平にキャメラルが激励をする。


「バカ!クモヒラはすげえって!身体強化に雷魔法、くる最中は大型のワイバーンすら一人で倒したじゃねーかよ!あの力があればオシコだって倒せるって思うよ!間違ってねーよ!」


その言葉に、ブラウニーが「…ワイバーンを?身体強化に雷魔法?」と驚き、シェイクが「そうだ。なぜ地球に大型の魔物が出たんだ?そうならない為にもゲートを管理していて、魔物の嫌う日当たりの良いところにゲートを移したんだ」と言う。


シェイクの話の通りだと、それがカナダからシアトルにゲートが移動した理由だった。


雲平は地図を見させてもらうと、やや複雑な形だが世界は台形に近い形をしていて、上半分がコジナーで下半分を2つに分けたのがレーゼとジヤーだった。


「コジナー側とレーゼ側の領土が侵略された。どうにか押し返す必要がある」


ブラウニーの言葉に雲平が、「え?コジナーの結界はセムラさんが居るから閉じたままなんじゃ」と聞くと、シェイクは地図を指差して「おそらくオシコの意見だろう。地図の右側がジヤーで、上側がコジナー、奴らはレーゼから直進せずに左上から侵略をしてきているよ」と言った。


理由はわからなかったが、今しなければならないことをまとめる。


「クラフティは俺と斬り合いながら、オシコに傷を付けられるのは神獣武器だと言っていました。神獣武器の回収をしましょう」

「そうなるね。それでこれは良い知らせだけど、北に出した兵士が名もない寒村でセムラ姫やアチャンメ達を発見したよ」


セムラ発見に雲平とキャメラルは素直に喜ぶと、「何日で戻れます?」と聞いた。


「いや、戻らないと言い、兵だけを戻してきた。寄せ書き風ではあったが、皆の字で折角北に飛んだから、このままビャルゴゥの神殿を目指すと書かれていたよ」


地図の上でシェイクが指差す場所を見ながら、「げぇ?マジかよ。私も行きたい!」というキャメラル。


「キャメラル、観光ではないのだぞ?」と注意をするブラウニーに、「この神獣服を着て挨拶してーし」と言うと、ブラウニーは服を見て震えて「何だこれは!?」と唸ってしまった。


「神獣武器の担い手は?」

「報告は何年も受けてないんだ。皆修行を欠かしていないが、ビャルゴゥもスェイリィもグェンドゥも担い手を選んでいない」


「シュザークは?」

「君は詳しいね。シュザークは保留になっているんだ」


「とりあえず武器の回収って出来ますかね?」

「それは可能だよ。ただ担い手以外が戦闘目的で構えを取ると…」


「取ると?」

「武器が砕けるか、持った人間が死ぬんだ」

「…厳しいですね」

「神々の掟だからね」


雲平は待つのではなく合流したいと言い、キャメラルと旅立つことにする。

時間が惜しいから食事と睡眠は馬車で済ませたいと言い、深夜の出発になった。


「合流後のルートはどうします?」

「賢者ミスティラなら他の神殿の場所も把握しているから、恐らく次はグェンドゥの神殿を目指すはずだ。シュザークの神殿はこの城を挟んで正反対だから一度城に戻ってくれないかい?」


「わかりました。スェイリィは?」

「…レーゼ側に祀られているから、今からでは到底間に合わない。三つの神獣武器を手に入れてから、出来れば1人でも担い手が居てくれればなんとかなるが、一気に攻め込んで奪還をするんだ。雲平の話通りならクラフティは神獣武器を破壊する気は無いだろう」


雲平はブラウニーに「本当はクラフティと戦う為に、ジヤーの剣を教えてもらいたかったんですが、それはシュザークの所に行く前にお願いします」と言うと、「ああ、ジヤーの剣ならばレーゼの剣に遅れは取らない。楽しみにしている」と言って見送った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ