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彼と彼女のデザイア。  作者: さんまぐ
地球-再びシェルガイへ。

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37/155

第37話 絶対帰ってきなさいよ!待ってるからね!

その後は観光代わりに散策とグルメに忙しい日々を過ごし、雲平はキャメラルとバニエから剣を習う。


「…君は本当に素人か?」

「はい」

「ウチのクモヒラは凄いんだよ」


訓練中、雲平はバニエの動きがクラフティに近い事に気付くと、「その動き、クラフティに似てますね」と聞く。


「ああ、基本的で本流のレーゼの剣だ」

「カヌレさんの剣とはまた違いますね」

「…あれは剣とは言わない。カヌレは剣にこだわるが、棒術でも構わないんだ」


雲平は少し考えてキャメラルに「バニエさんをクラフティに見立てたら、何が足りないかな?」と聞き、キャメラルの提案で、雲平は重りを身に纏って自身を重くして、バニエの剣に対応していく事にした。


もう7日が過ぎた。明後日日本を経ち、ゲートのあるシアトルを目指す事になる。

そもそもテキサスの次、カナダに出現したゲートは、ジヤー側から変更をされてシアトルになっていて、知らなかった雲平がバニエから聞いた時に驚いていた。


「お風呂沸いたよ雲平。汗かいたんだから先に入りなよ」

「いや、あんことキャメラルが先入ってよ」


風呂に関しても、初日に雲平とあんこと入りたいとキャメラルは言い、あんこは「雲平は男だから私と入ろうよ」と返すと、雲平とはもう一度風呂に入った話しをしてしまう。


頭をおさえる雲平に、あんこが何があったかを聞くと、キャメラルが「クモヒラは初めての戦闘でおかしくなってたから、普段しない事をして目を覚まさせたんだ」と説明する。


納得をしたあんこだったが、それでも混浴はダメという事でキャメラルと入る。

セムラとあんこの時はあんこがベラベラと語ってしまったが、今回はキャメラルが「アンコもおっきいぞ!いいな!それならクモヒラに抱きついたら喜ばれるぞ!」と言い出して、あんこは「えぇ!?そうかな!?」と言う。


雲平だけは頭をおさえて「キャメラル…やめてよ」と呟いていた。



・・・



最終日、かのこは朝から商店街に繰り出して、ご馳走を用意する。

メニューは雲平の好物で揃えて、キャメラルに「これは雲ちゃんが好きなやつなのよ」と教える。

キャメラルはもう少し甘めの方が好みだが、あえてそのままを出して「キャメラルちゃんにも好きになってもらえたら、お婆ちゃん嬉しいわ」と言う。


キャメラルはちらし寿司を食べて、「うん。少し酸っぱいけど美味いよ婆ちゃん!」と言った後で、「婆ちゃん、ごめんな。クモヒラは私が死んでもこの家に帰すよ」と言う。


「ダメよ。キチンと次はキャメラルちゃんとセムラちゃん。後はお姉さんのアチャンメちゃんも連れてきてね。怪我なんてしたらお婆ちゃん許しませんからね」


怖い顔で言ったかのこは、笑顔に戻ると「ねえ、キャメラルちゃんこそ、シェルガイじゃなくてうちの子になりなさいよ」と言う。


「へ?私?」

「そうよ!きっと、楽しいわよ」

「ありがとう婆ちゃん。でもシェルガイの奴らはだらし無いから、私とアチャンメがいてやんねーとよ…ダメなんだよな」


キャメラルは目を赤くして言い、かのこはキャメラルの手を取って、「じゃあ大きな休みにはきてくれる?」と聞くと「絶対行く」と答えた。


あんこは通販サイトで買っていた刺青Tシャツを取り出して、鯉柄の方をキャメラルに渡す。


「アンコ?スェイリィはアンコのか?」

「違うよ。こっちは次に来た時にあげるやつ。本当はお姉ちゃんの分でこっちも渡したかったけど、死んでもなんて言うから取りに来て貰うんだよ」

「えぇ!?死なない!死なないからスェイリィもくれよ!」


ゴネるキャメラルを優しく抱きしめたあんこは、「絶対帰ってきてよね?約束、だからこっちは私が持ってるからね」と言う。


「うう…スェイリィ…」

「交換する?」


雲平の提案にキャメラルは、あんこの持つ蛇柄を見てから自分の鯉柄を見て、「ビャルゴゥ…」と呟く。


「…キャメラル、またおいでよ。スェイリィはアチャンメにあげようよ」

「うん…」


この後は送別会を楽しみ。翌朝迎えにきたバニエと共に成田へと向かった。


でがけに昨日は普通だったかのこが、涙ながらに雲平を抱きしめて「送り出すのは嫌よ。お爺さんは帰ってきましたからね?」と言うと、雲平は「うん。ありがとうばあちゃん。行ってくるね」と返し、あんこを見て手を出して「あんこも来る?」と聞く。


照れるあんこだったが、キャメラルから「昨日私を抱きしめたんだから、抱きしめとけって」と尻を叩かれると、あんこは泣きながら雲平に抱きついて、「バカ!絶対帰ってきなさいよ!待ってるからね!」と言う。


「やっぱりあんこは泣き虫だなぁ」


そう言って笑った雲平は、「行ってくるね。ばあちゃんをお願いね」と言ってバニエの車に乗り込む。

近所の老人達がワラワラと集まって、戦争に送り出すような万歳三唱で送り出してくれた。

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