表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼と彼女のデザイア。  作者: さんまぐ
地球-再びシェルガイへ。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/151

第35話 凄いなんてモンじゃ無い!

雲平のシェルガイ行きは11日後になった。

ジヤー側も通信は可能だったが、転移できるほどゲートが安定していなかった事が理由だった。


飛鳥山公園と同じだとすれば、セムラ達が無理矢理ジヤーに転移した結果だという見解に雲平は安心をした。

そしてゲートを管理する魔法使いの見立てで、10日もあればゲートは再始動出来るだろうと言う事だった。


「アメリカでゲートの起動を待ちますか?」

「そこまでする必要はない。姫様達は未だ見つかっていない。恐らく君達の方がジヤーに着くのが先だ」


バニエの言葉に、かのこが「ならキャメラルちゃんは、ウチの子にしますからね」と言い切ると、さっさと車を手配させて帰ることにする。


「あ!バニエ!クモヒラの剣と私の剣をメンテナンスするから工具を貸せ」

「…わかった。だが、君はもう少し目上の物に対する言葉遣いを…」


バニエの言葉に「うっせーよカス。黙れ。代わりに王子に謝ってもらえ」とキャメラルは睨みつけながら返すと、かのこに「婆ちゃんゴメンな。キチンと言わないとコイツらって、すぐに立場とか年齢とか言ってくるんだよー」と言って甘える。


かのこは「うふふふふ」と笑うと、キャメラルの頭を撫でて「キチンと立場を伝えるのは大事な事ね。戦場では歳とかじゃないものね」と褒めた後で思っている事を言う。


「でもお婆ちゃんは、可愛いキャメラルちゃんが陰で悪く言われたり、注意しない雲ちゃんが悪く言われたら嫌だわ」


そう言うと、初めはニコニコと頭を押し付けてきたキャメラルが困った顔をして、「婆ちゃん?」と質問をする。


かのこは妙案を思いついたと言う顔で、「うふふふふ。最初は普通に貸してねでいいのよ。それで悪く言われたらガツンとやりなさい」と言った。


「普通?」

「ええ、やってみて」


キャメラルは嫌そうな顔でかのこを見たが、かのこはニコニコと笑顔で「さあ、やったらウチに帰りますよ」としか言わない。

諦めたキャメラルは、モジモジと「剣のメンテナンスしたいから工具を貸してく…ください」と言い、バニエが「すぐ手配する」と返すと、かのこは嬉しそうにキャメラルを抱きしめて、「偉いしすごいわ!言ってすぐにできるなんて、キャメラルちゃんは天才ね!」と褒める。


「へ?あ?え?婆ちゃん?」

「うふふ。お婆ちゃんはキャメラルちゃんのお婆ちゃんよ!さあ帰ったらお洋服を買ったりお皿も買わなきゃ!お買い物よ!!」


キャメラルは真っ赤に照れながらかのこを抱きしめ返して、「婆ちゃん」と何回も呼び、その度にかのこはキチンと「はい」、「なに?」、「キャメラルちゃん」、「お婆ちゃんですよ」と言った。


工具を持ってきたバニエは雲平の剣を見て「…これは…どうしたんだい?」と聞く。


「どうした?」

「ヘブンチタニウム製は軽さ優先だろうが、尋常ではない刃こぼれに血油、これは戦場で拾ったのかい?」


バニエが言いたかったのは素人の雲平には過ぎた剣で傷も多い事だった。


バニエの疑問に、あんことかのこと手を繋ぐキャメラルが、「私とアチャンメがキチンと買った新品ダ。カオスチタンが品切れで仕方なくヘブンチタニウムだ。クモヒラは剣技も無いのにチュイールを倒したカラナ」と自慢げに言う。


あんこが「それって凄いの?」と聞くと、キャメラルは我が事のように自慢をする。


「凄いなんてモンじゃ無い!シェルガイ適性が高すぎる。クモヒラなら姫様の他に、私とアチャンメも妻に迎えられるくらいだ!」


そして雲平を見て不貞腐れるように「シェルガイに住めばいいのに、地球に婆ちゃんが居るから帰るって聞かねーんだ」と言った。


雲平がシェルガイなら成功する事を聞いて驚くあんこと、それでも地球を選ぶ雲平に喜ぶかのこ。


バニエは信じられなそうに「君はそんなに?」と聞くと、キャメラルは「荒熊騎士団の私とアチャンメと肩を並べる身体強化に、レアな雷魔法の使い手ダゾ?言ってやれクモヒラ!大魔法すら撃てたんだぞ!ッテナ」とニタリと笑いながら言う。


「だ…大魔法?」

「キャメラル…、あれ…やってみたけど本物かはミスティラさんに聞かないと、確実に撃てるのはサンダーボルトまでだよ」

「いいから言えっテー」


あれでなんちゃってとか擬きなら恥ずかしい雲平だったが、仕方なく「サンダーデストラクションは撃ったら出ましたけど…」と言うと、バニエは刃こぼれまみれの剣と雲平を見て目を丸くした。


この結果、バニエは雲平の才能を活かしたいと言い、出発まで毎日雲平の家を訪れて、数時間だけ基礎動作を叩き込むことになり、剣はメンテナンスでは何ともならないので本庁で打ち直す事になった。


「キャメラルの剣は?」

「にひひ、カオスチタンだからまだまだ余裕ダ」


キャメラルはカオスチタンの名前を出してから、「バニエ、カオスチタンの剣って無いか?あればクモヒラに上げたいんだ」と言ったが、バニエからは「あれはコチラの世界に持ち込み禁止になっている。君の場合は致し方ない事故だから認めるが、くれぐれも外で抜刀はしないでくれよ」と言った。


キャメラルは日本では剣が持てない事も忘れて、「えぇ!?丸腰は怖いってばよぉ」と言うが、雲平は「大丈夫だよキャメラル。日本は危なくないよ」と微笑みかけた。


キャメラルは「本当か?」と聞き、「うん。あんこなんて人を殴ったこともないよ」と教えると、キャメラルはようやく安心した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ