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彼と彼女のデザイア。  作者: さんまぐ
地球-再びシェルガイへ。

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33/155

第33話 クモヒラがブチギレたままだ。暴走する。

雲平は目を覚ますと、目の前には真っ白な天井が見えた。

自分の身に何があったかを思い出すと、レーゼからの撤退戦でブランモン達の手を借りて、なんとかクラフティの猛攻から逃れた事。


あのオシコを倒せると踏んで前に出た事で、ブランモン達を失う事になった自分にキレて、八つ当たりのようにオシコに向かって、サンダーデストラクションを放った所までは覚えていた。


あの後、ゲートの光に包まれた時、外から衝撃が来て、慌ててキャメラルを守った。

そこまでしか覚えていなかった。


そしてキャメラルの安否が気になって飛び起きた雲平は、「キャメラル!?」と呼びかけながら周囲を見ると、見覚えのある機械と薬品臭い日本の病室に居ることに気がついた。


「日本?」


驚く雲平だったが問題はキャメラルの事だったので、ナースコールを押すとすぐに看護師とかのことあんこが走ってくる。


「雲ちゃん!」

「雲平!」

「ばあちゃん、あんこ」


心配そうな顔のかのことあんこ。

かのこに至っては病院で走るなんて、どちらが病人になるかわかったものではない。


「わかる?」

「ここは日本だよ!」

「わかる。ごめん、なんで日本?セムラさん達は?俺はキャメラルと居たはずなんだ」


雲平の疑問に、あんことかのこが答える。


「ゲートに居たのはキャメラルちゃんと雲平だけ。セムラちゃん達は居ないよ」

「キャメラルちゃんなら小さな怪我を処置して、今は食堂でご飯を食べてますよ」


話している間に医師が来て、簡単に雲平のチェックを済ませると、アースランスの掠った腕の怪我だけは大きな絆創膏を貼ることになったが、それ以外は問題なかった。



・・・



食堂では入院服のキャメラルがお茶を飲んでいて、「あ!クモヒラ!起きタカ?」と言って手を振ってくる。


「キャメラル、怪我はない?」

「無いッテー。オシコの攻撃を受け止めてくれタロ?ありがとな!」

「ああ、あれはオシコの攻撃だったのか…。ゲートを抜けたけど、セムラさん達が居なかったって…」

「出たら周りはレーゼ人ばかりだし、身体強化は使えネーから、なんとかクモヒラを守ろうとしたら、バニエとかいうレーゼ人が来てなんとかなった」


キャメラルは雲平の横のかのことあんこを見て、「挨拶したけど、その2人がクモヒラの婆ちゃんとアンコだろ?」と聞く。


雲平はバニエの名前に反応をして「バニエ…」と言った後で、「うん。とりあえず婆ちゃんとあんこだよ。早くゲートを通ってシェルガイに戻らないと…アチャンメの事も心配だよ」と言った。


雲平の横で心配そうに顔を見るかのことあんこ。

その顔に気付いたキャメラルは、「うわぁ…ヤバいナ」と言って頭を抱える。


「キャメラル?」

「キャメラルちゃん?」

「どうしたの?トイレ?私と行く?」


キャメラルは頭を抱えたまま「婆ちゃん、アンコ、ヤバい。クモヒラがブチギレたままだ。暴走する。でも姫様が居ないからダメなんだよ」と言う。


そしてキレた雲平の話と、セムラを使った雲平の対処法を聞いたかのこは、「お爺さんソックリね」と言って笑い、あんこは「やっぱり雲平は怖いんだよ」と言う。


キャメラルはそんなあんこを見て「なあアンコ、腕貸してクレヨ。今のままだとクモヒラが暴れて、バニエに会わせランネーよ」と言った。


「キャメラル?バニエと話したの?」

「クモヒラが落ち着いたら話してヤル。今はアンコの腕で我慢シトケ」


あんこは真っ赤になりながら腕を差し出すが、雲平はのっけから嫌そうに「ええぇぇぇ」と言って、あんこの腕を見るだけで手も出さない。


「失礼ね!」


そうあんこが怒ると、雲平は嫌々腕を揉んですぐに渋い表情で、「コレジャナイ。ダメだよキャメラル」と言った。


「どう違うンダ?」

「セムラさんの腕より太いのに硬い」

「酷い!」


露骨にガッカリする雲平と、憤慨するあんこを見て、キャメラルは「仕方ないナ。アンコ、シェルガイの為だ、とりあえずクモヒラが喜ぶ所を探すから、全身揉まれてクレ!」と頼み、あんこは「ええぇぇぇ!?恥ずかしいよ!」と言った。


真っ赤になって身振り手振りで嫌がるあんこに、キャメラルは「これで勘弁してクレ」と言って金貨を3枚渡すと、「金?本物?」と言って目の色を変えたあんこは、「恥ずかしいんだからね」と言って身体を差し出した。


雲平は椅子に座ってあんこを抱きかかえると、胸と尻なんかの日本的にダメな部分を外して揉んでいき、最終的に「あ、ここいいね」と言ってあんこの下腹を揉みしだいていた。


下腹部だった事で、あんこは「お嫁に行けないぃぃぃっ!!」と騒ぐが、本格的に気に入ったのか、雲平は背後からあんこを抱きしめる手を緩めずに、お腹を揉み続けている。


しばらくして「お腹空いたな、キャメラルは何を食べたの?」と雲平が言い出して、「よし、終わったな。アンコ!ありがとナ!」とキャメラルが言う。


あんこは真っ赤な顔で、何かに耐えるように震えながら「ふーふー」と言っていて、キャメラルの言葉も聞こえていない程だった。


「雲ちゃん」

「ばあちゃん?」


かのこは困り笑顔で「あんこちゃんの責任は取りなさいね」と言う。


「責任?」

「…まあ今はいいわ」


かのこは追及をやめることにした。



・・・



雲平は再度キャメラルに何を食べたかを聞く。


「んー…よくわからんからバニエに任せタ。ハンバーガーは食べたけど、美味かっタゾ。まあもう少し甘い方が好きダナ!」

「成る程、じゃあまだ食べられるならラーメン食べなよ。俺も食べるし美味しいよ」


キャメラルはシェルガイにいた時同様に雲平に懐き、雲平も大切な妹のようにキャメラルを扱う。


「ラーメン!美味いな!アチャンメにも食べさせてやりタイゾ!」

「良かった。シェルガイに帰る前にもう少し食べたりお土産買ったりしようね」


仲睦まじい姿を見てかのこは「あらあらあら、良かったわね雲ちゃん。可愛い妹ね」と言い、ようやく普通に戻ったあんこも、「あー、いいな!妹!私も欲しい!」と言って、キャメラルに「仲良くしようよぉ」と持ちかける。


キャメラルは根っからの妹気質なのだろう。


「にひひ、嬉しいなぁ。私はアンコも好きだゾ!きっとアチャンメもアンコを好きになルゾ!」と言って懐く。


雲平がご馳走様でしたと言ったところで、キャメラルは看護師に頼んでバニエを呼んでいた。

バニエは深刻な顔で雲平の前に現れると「あの日は済まなかった」と言って頭を下げた。

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