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彼と彼女のデザイア。  作者: さんまぐ
シェルガイ-ジヤーの地から始まる戦い。

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31/155

第31話 今日まで妹を…セムラを守ってくれた事を感謝する。

クラフティは一気に距離を詰めると、雲平に向かって剣を振り下ろした。

雲平がその剣を防げたのは身体強化の恩恵だった。


「ほう、防ぐとはな」

「くそっ、ギリギリだった」


クラフティは容赦なく剣を振り続けて雲平を攻め立てる。

合間合間にアチャンメとキャメラルがフォローをしてくれるから息が整って何とかなるが、雲平1人では10回も剣を防げなかった。


剣を振りながらクラフティは、「悪くない。今日まで妹を…セムラを守ってくれた事を感謝する。君が地球人安倍川雲平だな」と言う。


「バニエから聞いたんですか!?」

「そうだ。バニエにはジヤーに攻め込む理由が出来るまで、セムラを保護するように申し伝えたからな。話を聞けば本当にギリギリだったようだ。まさか馬車はゴブリンに襲われ、地球に行っていたとは思わなかった。そしてチュイールにしても、足止めを命じたのにセムラを危険に晒すとはな」


クラフティの言葉に嘘は感じない。

本心からセムラを案じ、雲平に感謝を告げている。


「投降しないかい?君達は地球に送って終戦まで無事に過ごしてもらう。どうかな?」


口調は優しいが剣に容赦はない。

雲平は一度も切り込めずにいた。



・・・



クラフティの活躍を見ながら、オシコは「あはは、あっちはジリ貧ね。姉さん、久しぶりよね。今は私がお姉ちゃんね」と笑いながら放つアイスボールを必死にカヌレ達は撃ち落としてウォールへの被害を減らしている。


「ふん。姉?妹?良くて孫と祖母だろう!セムラ!落ち着け!範囲の意識は教えた通り、雲平を感じろ…私達を意識しろ、出口を探せ!そして繋げろ」

「はぁ?私はピチピチで水も弾くわ!」


オシコはムキになって特大のアイスボールを放ってくる。

あのサイズは到底撃ち落とせない。

真っ青になるカヌレにパウンドは「ハニー!アレを何とかしたら惚れ直すかい?」と声をかける。


「できるものならな、直すというか惚れてやる」


なんとなく返事をしたカヌレは、自身の口から出た言葉に驚いてパウンドを見ると、「ならばやりましょう!必殺技!」と言って突きの構えをとった。


そしてウォールに向かってきたアイスボールに向かって「必殺!一点突破!!」と言って突撃突きを放ち、アイスボールは粉々に砕けた。


「んな!?」

「にひひ、ハニーは惚れたかな?」


唖然とするカヌレにアピールを欠かさないパウンド。

それを見て「何という腕だ」と褒めるブランモンと、「ひ…非常識だわ」と言うオシコ。


黙っていればいいのに、煽るように「ダサっ」と言って笑うミスティラを見て、真っ赤になったオシコはセムラを睨んで、「キィィィッ、忌々しい!そもそも足止めなんてぬるい事をしてられないからゴブリンを向かわせたのに、なんで生きてるのよ!」と言い放った。



・・・



この言葉は雲平を攻め立てていたクラフティの耳にも入る。

クラフティは「ゴブリンを向かわせた?」と言うと、怖い顔でオシコに向かって剣を振り下ろした。


間一髪で防御の間に合ったオシコは、氷の壁でクラフティの剣を防ぐと「クラフティ!何やってんのよ!裏切るの!?」と声を荒げた。


「裏切ったのはどちらだ?セムラにゴブリンを差し向けたのか?」


ギリギリと氷の壁を斬り裂きながら剣を進めるクラフティと、新たに氷を生み出して防いでいくオシコ。


「アンタが妹に執着してるからよ!あの子に戦争反対を言われたら躊躇するでしょ!」


オシコの言葉に「約束を違えたな。許さん」と言ったクラフティは、土の槍…アースランスを発動させながらオシコを攻め立てる。


その圧倒的な攻撃力にオシコも回避一辺倒で、見ているカヌレ達も見事な剣捌きに見惚れてしまう。


「バカ!やめなさい!逃げられるわよ!」

「下方修正の一つや二つは問題ではない。どのみちジヤーに逃げてもジヤーに攻め込むのだから問題ではない」


止まらないクラフティの攻撃を見て、ミスティラは「僥倖だ。セムラの準備が整った。戻れ雲平!アチャンメ!キャメラル!」と3人を呼ぶ。


「呼ばれたぞクモヒラ!」

「アチャンメ、先に戻って。キャメラル、少し手伝って」


雲平はキャメラルを連れて前に出ると、「今がチャンスだ。オシコを倒すよキャメラル」と言う。


ニタァと笑ったキャメラルは「私好みダ!クモヒラ!私を選んでくれてありがとう!」と言って2人で身体強化をすると、クラフティに気を取られているオシコの身体に一撃ずつ剣を入れた。



雲平の剣は脇腹を、キャメラルの剣は右肩に当たっていた。


「きゃぁぁぁっ!?」


甲高い悲鳴と共にうずくまるオシコの周りには赤い血溜まりが出来ていた。


「浅い!もう一度ダ!!」

「わかってる!」


剣を構え直す雲平達だったが、異質な空気に前に出れずにいた。

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