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彼と彼女のデザイア。  作者: さんまぐ
シェルガイ-ジヤーの地から始まる戦い。

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30/155

第30話 なら帰れるように頑張らねばな。

レーゼの城なのでレーゼ兵はわらわらと湧いてくる。

徐々に数で押される中、何とかゲート付近まで進むことができた。


ブランモン隊の兵達は、ブランモンを加えても6名しか残らずに、皆がセムラ達にレーゼの明日を託して死んでいった。


「あと少し…」

「姫様達だけはお送りするぞ」


血走った目のブランモン隊に、セムラは「なりません!あなた方はジヤーの地で私を守る兵達です。自己犠牲は認めません!」とハッキリと言う。


言われたブランモン達は、「失礼致しました!我らブランモン隊は、これ以上欠ける事なく、姫様をジヤーの地に送り届けます!」と言う。


「そういうの後にしてクレって!」

「ったく…クモヒラ!サンダーボルトだ!蹴散らしてクレ!」

「了解!パウンドさん!下がって!サンダーボルト!!」


クモヒラのサンダーボルトがレーゼ兵を無力化すると、ようやく邪魔が入らずにゲートに向かうことができた。


「疲れたぁぁ」

「クモヒラ、帰ったらウチに泊まれ!」


「ハニー!ジヤーでディナーだ!」

「バカを言うな!レーゼの危機だ!それどころではない!」


ようやく軽口が叩ける環境に、雲平は安堵しつつもミスティラが大人しいことが気になっていた。


「ミスティラさん?」

「…油断は命取りだから気を張っている。お前は優秀だな」

「ありがとうございます」

「お前ならサンダーボルトも鍛えれば、サンダーデストラクションになれる。大魔法すら放てるポテンシャル。きっと素質があったのだな」


そう言われてもピンとこない雲平。

魔法は普通に出せる自覚があって出している事で、苦労も何もない。


「素質…ですか?」

「ああ、適性とも言う。シェルガイに来て芽も出ない地球人もいる。だが中にはお前のように力を持つ者が現れる。シェルガイに住むか?」

「いえ、俺には帰りを待つばあちゃんが居ますから帰ります」

「そうか、なら帰れるように頑張らねばな」


角を曲がればゲートというところまで来ると、ミスティラが「宝玉の使い方はわかるな?出口をジヤーの城に繋げろ。できるか?」とセムラに聞く。


セムラは困惑の表情で「制御は可能ですが、細かい出口の指定は初めてです」と告げると、ミスティラは慌てずに「やはりか、ならば私も手を出そう」と言った。


「ミスティラは宝玉を?」

「やり方ならな、レーゼの王族にしか使えない。だからこそ何が何でも逃げ切る必要がある」


そう言って角を曲がると、50人を超える兵達とクラフティ、そしてオシコが居た。

忌々しそうにアチャンメが「待ち伏せカヨ」と言い、キャメラルは剣を構え直して「チッ、あと一戦…」と言う。


カヌレとセムラはクラフティを見て。「クラフティ様」「お兄様」と言って悲しい顔をした。


「セムラ、投降をするんだ」


穏やかに話すクラフティの声だけを聞けば、何事もない兄妹の会話に聞こえるが、クラフティには父シュートレンの返り血が付いていた。



・・・



この状況でもキチンとしているのはブランモンで、「総員警戒!」と指示を出す。


そんな中、ミスティラがオシコを見て「オシコ…」と言うと、オシコは「やだ、久しぶりなのだからキョジュで呼んでよ姉さん」と言って笑う。


皆はミスティラとオシコが姉妹と聞き驚くが、今はそれどころではない。


「うるさい!アチャンメ!キャメラル!後10歩足りない!道を切り開け!カヌレ!パウンド!ブランモン達は何が何でも私達を守れ!わかったな!」


ミスティラの声に合わせて雲平はセムラを抱えて前に出る。

それより先に前に出たアチャンメとキャメラルは、兵を斬り飛ばして「どうだ!?」、「いいか!?」と聞く。


追いついたミスティラは「ばっちりだ!でかした!雲平!私の横に姫を!」と言った。


セムラを立たせたミスティラは、「私の後に続け、ゲート操作を教えてやる」と言って集中を始める。



「バカな姉さん!そんな暇与えないわよ!」


オシコが手を前に出して「焼けなさい!メルトボルケーノ!」と言った時、ミスティラは「甘い!ウォール!」と言って、セムラの何倍も強大なウォールを用意して火炎魔法を防いだ。


「ちっ、やるじゃない。でも子供の姿で雷魔法を連発していた今の姉さんが耐えられて?」


余裕の表情でバカにしたように言い放つオシコを見て、ミスティラは「連発?私はサンダーデストラクションを一度しか放っていないさ」と言ってニヤリと笑う。


オシコが「え!?」と聞き返す中、ミスティラが「見せてやれ雲平!」と言った。


「はい!サンダーボルト!!」


雲平のサンダーボルトは容赦なくオシコとクラフティを狙う。

オシコは慌ててウォールを張り、クラフティは直撃分だけをサモナブレイドで弾いていた。


忌々しそうに雲平を見て「何あの地球人!?」と言い放つオシコを見て、気分がいいアチャンメが「ザマアミロ!クモヒラ!良くやった!これが終わったら姫様の腕を好きなだけ揉んで良いぞ!」と言い、キャメラルも「しゃぶりつくせ!許す!」と言って笑う。


「イレギュラーめ!クラフティ!兵士達を使いなさい!攻め立てて姉さんのウォールを破壊するの!」


オシコの言葉にミスティラは、「ブランモン!パウンド!カヌレ!奴らに私のウォールを傷つけさせるな!耐えろ!」と返すと、ブランモンは「任されました!」とウォールの前に出て迫ってきた兵士に「許せ!」と言うと斬り伏せる。


そのまま始まる乱戦。

ミスティラの指示はウォールを守れ、離れすぎるなだった。


「クモヒラー」

「連携教えてヤルヨ」

「うん。ありがとうアチャンメ、キャメラル」

「キャメラルが倒して、私が攻撃、それでクモヒラがトドメなー」


アチャンメが前に出ると、更に前にキャメラルが出て兵士を速さで圧倒する。

一撃必殺を狙っていない剣は兵士を怯ませたり転倒させるだけだが、そこにアチャンメが「オルぁぁぁぁっ!」と切り込んで瀕死に追い込み、「クモヒラ!」と声をかけると雲平が止めをさす。


これは確定パターンではなく、雲平には「大事なのは役割分担とフォローな」、「これはアレもこれもじゃなくて、専念できるから強ーんダヨ」と説明をする。


それを証明するようにキャメラルの攻撃を防いでキャメラルを狙う者も居たが、「甘ぇ!クモヒラ!狙った奴!私は防いだ奴!キャメラルは体制整えて次だ!」とアチャンメが指示を出すと、キャメラルの剣を防いだ奴に一撃を入れて、雲平はサンダーフォールでキャメラルを狙った奴を撃ちながら、「キャメラル!手を!」と言ってキャメラルを救うと次の敵に剣を突き立てる。


「うぉぉぉぉぉっ!!クモヒラすげぇ!地球帰んなって!ずぅっと3人で居ようゼ!」

「キャメラル、それだな。姫様にはずっとクモヒラの腕係に…、私たちがムチムチな大人になるまで居てもらおう」

「おう!それだ!クモヒラ!クモヒラなら手でも足でもしゃぶらせてやるぞ!」

「キャメラルだけではない!私も揉んでイイぞ!」

「ちょっと!?それじゃあ俺は変態みたいだよ!」


カヌレ達がウォールを守り、雲平達が敵を倒す。

勝ちパターンが見えて軽口も出るようになった所で、オシコとクラフティが動いた。

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