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彼と彼女のデザイア。  作者: さんまぐ
シェルガイ-ジヤーの地から始まる戦い。

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第21話 ダメだ、新人がなる奴のヒデー奴だ。

少し困ったことになっていた。

チュイールを殺した雲平は、すぐに身支度を整えるとレーゼを目指す。


歩きながら雲平を心配するセムラに対して、ごく普通に「大丈夫ですよ」と返す雲平。


そんな雲平を見てセムラは安心をし、アチャンメとキャメラルが話しかけても普通の対応をしていた。


「凄かったよクモヒラ!」

「ゴメンな!アイツら伏兵が居たから、蹴散らしてたんだヨ!」

「俺こそありがとう。この剣のお陰で敵を倒せたし、セムラさんを守れたよ」


雲平はごく普通に見えた。

だがそれは完全に間違いだった。

雲平は壊れかけていて、暴走寸前だった。

それが顕著に現れたのは、次の街に着いた時だった。


気にして見ていると、やはり破滅した地球人は随所に居て、特にレーゼ領に居るので、日本人の奴隷が目立つ。


日本人奴隷の女は、雲平に気づくと「私は大橋礼那です!助けてください!」と助けを求めてきて、主人のシェルガイ人に殴られてしまったり、逆にシェルガイ人の主人から身体を売るように言われて、「この世界で日本人は珍しくないですか?久しぶりに日本人は如何ですか?」と、死んだ目で身体を売りにくる日本人女も居た。


その連中を見た雲平は突然抜刀をする。


「殺さなきゃ、俺が日本に名前だけでも連れて行ってあげなきゃ」


突然そう言って襲い掛かろうとして、セムラが慌ててウォールの魔法で守ったりした。


「どうしたんだヨ!?クモ!?」


アチャンメの言葉に雲平は涙を流して、「俺が助けないと」と言いながら、日本人奴隷に向かってサンダーウェイブを放とうとした。


キャメラルに抱きつかれて、「疲れてんだヨ!休もう!ナ!?」と言われてようやく落ち着く雲平。


街中では設定は守られていて、「セラ!クモと手を繋げ」と言うキャメラルの声に従ってセムラは雲平の手を取ると、セムラが「昨晩はお疲れ様でした」と声をかける。


雲平は「疲れてないですよ。父さんと母さんを見つけて、殺して日本に連れ帰るんです」と譫言のように言うだけで話にならない。


「ダメだ、新人がなる奴のヒデー奴だ」


そうアチャンメが言うと、キャメラルは「オルァ!散れっ!」と言って女どもをちらせながら、「んー…?非日常で目を覚まさせるしかねーナ」と言って、露店で豪華な食事を買って店の人間にある事を聞く。


「セラ、私達が間に合わせるから少し寄り道させロ」

「このままじゃ間に合わなくナル」


そう言うと村を出て歩いていく。


「アチャンメ?キャメラル?何処へ?」

「んー…、クモヒラがドスケベなら極楽」

「な、まあ私らじゃあんまり意味ねーけどナ」


アチャンメとキャメラルがそんな事を言って自虐的に笑う中、セムラがここで改めて気付いたのは、雲平が会話に参加していない事だった。


アチャンメとキャメラルがめざしたのは温泉だった。


「温泉ですか?」

「おう、本当は宿屋の風呂を貸し切りたかったが、目立てないからナ」

「ほら、血で汚れて汚ネーから入るぞクモヒラ」


アチャンメとキャメラルが雲平の服を脱がせると、雲平は気にする事なく言われるままに脱がされていきお湯に放り込まれる。

本来の雲平なら、ここで慌てるがそれもない。

ここでも深刻さが浮き彫りになった。


「ダメだこりゃ、重症ダ」

「な、普通なら驚くか喜ブ」


確かに雲平は「血…、綺麗になったらまた殺さなきゃ、助けてあげなきゃ」と呟くばかりで周りが見えていない。


アチャンメは服を脱いで湯船に入ると、雲平に密着して「風呂はいいナ!」と声をかけるが、雲平はアチャンメを見て頷いているだけで驚かない。


「ダメだ」


そう言ったキャメラルはセムラを見て、「私達はペタンコだからクモヒラが喜ばない。姫様の出番だ」と言う。


意味を理解したセムラは真っ赤になったが、「時間ねーぞ、レーゼの為に文字通り一肌脱げ姫様」と言われると、雲平と自身とアチャンメ達を見て「〜〜〜っ!」と声にならない声で唸ると、服に手をかけて脱いだ。


アチャンメ達は騎士団員らしく小さな傷が目立つが、セムラは姫だけあって肌は透き通るように綺麗で傷なんてない。


そして真っ赤になって恐る恐る湯船に入るが、雲平はセムラを見るだけで慌てもしなければ嫌がりもせず、勿論喜びもしない。


無反応とは何と不愉快なとセムラが思ってしまう中、湯船にフライドチキンを持ち込んで、飲み物も持ち出したアチャンメが、「ほら、食べさせてやる」と言いながら口元にフライドチキンを持っていくと、雲平は黙々とそれを食べた。


「風呂と飯と本当は睡眠だけど寝るのは後でナ」

「ほら、姫様も食べロ」


アチャンメとキャメラルのペースで食事をする雲平とセムラ。

セムラの緊張がほぐれてきたところで、アチャンメが雲平の手をとって自身の二の腕に触れさせると「どうだ?スベスベか?」と聞く。

首を傾げる雲平を見てキャメラルが、「次は私ダ」と言って二の腕に触れさせるが、雲平はアチャンメとキャメラルを見比べるだけで何もない。


「なら姫様はどうだ?」


アチャンメの言葉に雲平が手を出すと、セムラは身をこわばらせながら雲平に触れさせる。


「セムラさんがスベスベ」


ようやく反応を見せた雲平を見て頷くアチャンメとキャメラル。


「姫様を触るとホッとするカ?」

「もっと触っていいゾ」


この言葉に雲平は「うん」と言うと、「スベスベだ」と言いながらセムラの二の腕を触り続けている。

セムラは真っ赤で困った顔をするが、アチャンメから「もう少しだから耐えロ」と言われて受け入れる。


「クモヒラ、ジュースうまいか?」

「うん」


アチャンメの出してきたジュースを飲んで頷く雲平に、キャメラルが「それ、何味だ?」と聞くと雲平は「りんご?」と聞き返す。


最初に飲ませた時は無反応だったがそれが無くなる。

フライドチキンにしても「美味しい」と言うようになる。


段々と質問に答えられるようになると、アチャンメは「クモヒラは何歳だ?」と聞いてみる。


「17歳だよ」


そう返す雲平に、頷いたキャメラルが、「アチャンメの2つ上か!お兄ちゃんだな!」と返すと、「あれ?もうお兄ちゃんだよね?」と聞き返してくる。


「いいゾ、なんか質問していこう」

「クモヒラ!彼女はいるのカ?」


アチャンメの質問に雲平は「いないよ」と返した時、セムラは「あんこさんは?」と聞いてみた。


「あんこ?あんこは幼馴染で怖がりの泣き虫だから守ってあげるだけ」

「では、もしあんこさんが雲平さんを好きだったら?」

「それは無いですよ。あんこには素敵な男の人と結婚して幸せになってもらいたい」


会話はまともになってきたが、不思議な絵面なのは今も雲平はセムラの腕を揉み続けている事で、頭と身体は別のようになっている事だった。


「ソロソロだな」

「ソロソロだ」


アチャンメとキャメラルは雲平を見て、「クモヒラ、私とアチャンメと姫様は誰が1番胸が大きい?」と聞く。


雲平は質問の意味を理解できずに、普通に隠さずに見せてくるアチャンメの胸とキャメラルの胸、そして真っ赤になって隠すセムラの胸を見て答えた。


「セムラさん、あんこが大きいって言ってた…。大きい…。綺麗とかわからないけど綺麗…」


そう返したところでハッとなる雲平。


「胸!?セムラさん!?アチャンメ!?キャメラル!!?」


雲平は慌てて立ち上がると周りを見て「風呂!?なんで!?ここどこ!?」と言って慌てる。


「おはようクモヒラ!寝ぼけてたんだゾ!」

「疲れてたから仕方ないよナ!」


雲平は目の前で隠す事もなく笑いかけてくるアチャンメ達を見て、目を丸くして「なんで裸!?」と慌てるが、未だに自分の状況がわかってない。


「オオ!クモヒラは団長より立派だナ!」

「だけど、目の前でブラブラさせるのはどうなんダ?騎士団員の中にはわざと見せてきたりする奴も居たが、クモヒラはそっちか?」

「それに私達は団員ので見慣れたけど姫様に見せるのか?」

「姫様は見たことあるのかな?」


この言葉に雲平は自分も全裸で立ち上がり、自分の股間がアチャンメ達の目の前に晒されている事に気付くと「わぁぁっ!?」と慌てて湯船に身を沈める。


セムラは真っ赤になって照れていて「お兄様より…」とか言っていた。

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