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彼と彼女のデザイア。  作者: さんまぐ
シェルガイ-雲平とセムラが共に過ごせる世界。

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155/155

第155話 (最終話)俺は俺達がずっと共に過ごせる世界を願う。

アチャンメとキャメラルの、「クァ〜、疲れた…」、「なんでこんな事してんだよ?」という言葉に、雲平が「訓練だよ。そろそろコジナーの結界を外したいんだ。5年間でかなり魔物が増えたから、結界を外すと大挙してくるからさ」と説明すると、皆顔色を変えて雲平を見る。


「お前がパパッとやっちまえよ」

「父さんだけパパッと結界の向こうに送り込もうか?」


金太郎はマジ勘弁と言って大人しくなり、連合軍が結成される。


解放は半年後になって訓練をする中、雲平に呼び出された国府台帝王とキョジュとタラーベ。


「なんだよ日本人?連合軍?」

「うん。コジナーを解放するから参戦してくださいね」

「ちょっと坊や?」

「うちの帝王は顔だけだから弱いよ!」


弱いと言われても凹む事なくウンウンと頷く国府台帝王。


「でももう決定なんで、後はオシコと俺とニョトーで魔物魔法作るから、なんとかしましょうよ」


雲平の言葉で「俺様参上!」と現れるニョトー。


「来てくれてありがとうニョトー」と言う雲平の言葉に、キョジュが「坊や?この方がニョトー様?ニョトー様はもっとこう人喰い鬼とウインドホースとかを合わせた雄々しい方なのよ?」と言うと、ニョトーが「ああ、アレよそ行き。よろしくなオシコ。まあ彼氏ができてくれてよかったよ。依代とよろしくされても俺は楽しくないしな」と言って笑った。


この言葉で本物のニョトーだとわかったキョジュは赤くなる。


「オシコさん?」

「…帝王は気にしないの!魔法を作るわよ坊や!」


こうして生み出された魔物魔法との親和性の高さを見せる国府台帝王は、「キタコレ!魔法の力は最低だけど、魔物魔法は最強だった俺は、異世界で美女と共に無双する!」と喜んで、両脇にオシコとタラーベをはべらせてニコニコと喜ぶ。


喜び盛り上がる国府台帝王の姿に、金太郎が「なんか札束風呂を思い出すな」と呟く。


「父さん?」

「俺がガキの頃、週刊誌の裏表紙をめくったところに、幸運のネックレスを買って金持ちになれたとかいう男の写真が写っていてな。あんな顔してたぜ」

「ふーん。それ、効果あるの?」

「あったらこんな世の中になってねーだろ?」


雲平は日本の状況を思い出して「確かに」と言うと、今度は金太郎が「まあ良いんだが散々敵だった奴と共闘って良いのかね」と言う。確かにブランモンもジヤーの人々もキョジュや国府台帝王にはいい思い出がない。


だが雲平は世界をやり直す時に過去の遺恨を棄てるように言っていて、皆それに従っていたので雲平は「いいんじゃない?」と返す。

金太郎も雲平の言葉があって皆が従っている事で、「まあいいや」と言ってホイップに「連携の練習とかお願いしますわ」と言いに行っていた。



・・・



雲平は連合軍をクラフティとシェイクに任せると、あんこと話をしているセムラの元に戻る。


セムラはやっと帰ってきた雲平に嬉しそうな顔をして、「雲平さん!」と名前を呼ぶ。


雲平が「終わりました。何話していたんです?」と聞くと、セムラが答える前にあんこが「えぇ?」と言ってから、「シェイクさんとホイップ君が雲平帰ってきたからどっちか選べって言うの。それでセムラちゃんならどっち?って聞いてたんだよ。でもセムラちゃんの答えは、何聞いても雲平が1番って言ってて話になんないの」と言って口を尖らせる。


雲平はセムラを見て「ありがとうございますセムラさん」と言うと、セムラも「いえ、私の1番は雲平さんです」と言って見つめ合ってニコニコしている。

ここに寄ってきたニョトーが面白そうに、「楽しい話してんじゃん」と言って雲平に「創造してやれば?」と持ちかける。


「ニョトー?」

「え?雲平なら願いの力、神の力でこの子のそっくりさんを生み出せるだろ?聞いてみれば?」


この提案にシェイクもホイップも自分があんこだから、そっくりはお前にやると言い張って愛の深さにあんこは真っ赤になってアワアワしてしまうと、ニョトーはあんこの顔を見て「いいもん見れたからまた来るわ」と言って帰っていき、雲平とセムラはコレがコレからの姿だと2人で盛り上がった。



それからの半年はあっという間だった。


連合軍は魔物との戦いを想定して訓練に励み、総大将はクラフティが受け持つ事になったはずなのに、前線で暴れたいクラフティのせいで、いつの間にか雲平とセムラが受け持つ事になる。


総大将と言っても名ばかりで、普段は何もせずにシェルガイに呼ばれた日以外は雲平は日本に帰り、セムラは通い妻をする。

可愛らしい格好で商店街を歩いて買い物をする姿に皆は目尻を下げる。


今は瓜子からグラタンの作り方を教わっていて、雲平を喜ばせたいと言って研鑽を積んでいる。



・・・



半年後…。

付近の村の退避が済む。

村よりもキョジュの館が1番近いが、キョジュからは思い入れはないからと壊されても問題なしとなる。


最初は一気に全部の結界を取り除く話だったが、魔物の取りこぼしが問題としてレーゼ、ジヤー、コジナーの中心にある結界を一部だけ解除して沸き続ける魔物が出なくなるまで狩り続ける話になる。


全員が勝ちを確信した高揚した顔をしている。

ホイップと国府台帝王は不安げな顔だったが、皆はいざとなれば雲平が手を貸してくれる事を知っていて安心しきっている。


アチャンメとキャメラルは元荒熊騎士団として、レーゼとジヤー両方の兵士と面識がある関係で、取りまとめのような事をしているので今も皆に声をかけていた。


「聞けぇぇっ!お前達!私らは半年間地獄の特訓に耐えた!」

「何度クラフティ殿下をクラフティのドSクソ野郎と心で叫んだかわからない!」

「だが今まさにその苦労が実を結ぶ!」

「先陣は私とアチャンメとシェイク王子が突き抜ける!」


ここでシェイクが王子の顔で前に出ると、「聞いたな!勝利と共に新たな土地を手に入れる!コジナーの地で人々が心穏やかに暮らせるようにする!我らの後はパウンドとマフィン、賢者ミスティラの隊が続く!神獣武器の担い手、アグリとカヌレは結界付近の防衛につく!魔物魔法の使い手、国府台帝王とクラフティ殿下が各自遊撃を行ってくれる!」と言うと兵士達が歓声をあげる。


歓声の途切れたタイミングで、クラフティが前に出ると兵士達に緊張が走るが本人は関係なく、爽やかな笑顔で「やあ!ドSのクラフティです!訓練楽しくなかったかな?不甲斐ない兵達はこの後も追加訓練をするから頑張るんだよ!」と言った。


これにアチャンメが「クラフティ殿下は自分基準で訓練するからやべーんだよ」と漏らして、キャメラルが「な?地獄だよな」と続く。


そのそばではタラーベが「帝王!帝王も前に出て言いなよ!」と言って国府台帝王の腕を引っ張るが、国府台帝王は「やだよ。俺はオシコさんとタラーベとギリギリまでイチャイチャするんだよ」と返して、キョジュは国府台帝王の腕に抱き着いて「ふふ、タラーベは役立たずだけど、私は帝王と居るから安心しなさい」と言っていた。



作戦時間になる。

タラーベは半年の間にあんこ達と仲良くなっていて、瓜子達の救護室付近に戻ってきて「ヒールは使えないけどお手伝いするね!」と言って張り切っている。


それを見ながら雲平が立ち上がって、「さあ、セムラさん」と言ってセムラの手を取る。


「はい。雲平さんはご用意はいいですか?」

「クラフティさんのサモナブレイドとは繋がりましたから平気ですよ」


セムラは「では始めましょう」と言うと前に出て、「私の名はセムラ・ロップ・レーゼ!宝玉よ、サモナブレイドよ、我が前の結界を解除しなさい!」と宣言すると、真っ赤な結界の一部に穴が開き、青空と共にコジナーの景色が広がって魔物達が大挙してきた。


雲平はセムラに「セムラさん、きっと皆は大丈夫ですから、のんびり見守りましょう」と言って用意されたテントにセムラを誘う。

セムラは「はい。私はずっと雲平さんといます」と言って両手で雲平の手を握った。


嬉しそうに「はい。離れないでくださいね」と言う雲平に、セムラが目を瞑って「あの日、あなたに会えてよかった」と言う。


雲平は「俺もです」と言って、コッソリとデザーブレイドにある願いをした。


「デザーブレイド、神の力を使う。俺は俺達がずっと共に過ごせる世界を願う」


テントに置いておいたデザーブレイドは、雲平の願いに呼応するように緑の光を放っていた。


(完)

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