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彼と彼女のデザイア。  作者: さんまぐ
シェルガイ-雲平とセムラが共に過ごせる世界。

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153/155

第153話 お兄様を蹴散らしてください!

雲平とクラフティの模擬戦は1時間かかっても終わらずに、ニョトーが「止め止め止め、止めろ!雲平!それ以上熱くなるな!神化すんぞ!」と止めに来て終わった。


これにより雲平の活動限界は熱くなると1時間だとわかる。


肩で息をして「こんなに苦戦したのは本当に子供の時以来だよ」と言って、爽やかに微笑むクラフティ。

雲平はデザーブレイドをしまいながら「前の時はクラフティさんが病気じゃなかったら勝ち目がなかったです」と返す。


尋常でない動きと模擬戦という嘘でコーティングした真剣勝負に皆が目を丸くする。

夜目がきくのか、2人とも紙一重でお互いの剣をかわし、隙を見て魔法を放ち相殺していく。

初めはギャラリーが居なかったのに、終わる頃には城の皆が仕事の手を止めて見に来ていた。

家臣達は雲平も褒めるが、それ以上に神に等しい存在になった雲平と対等に戦えるクラフティを褒め称える。


その姿にヤキモチを妬いたセムラがムキになって、「雲平さん!次は本気で戦ってください。シュザークウィングもビャルゴゥリングもグェンドゥハンマーもスェイリィスピアも持ち出して、お兄様を蹴散らしてください!」と言った。

雲平は前に自分がキレてジヤーの城でやった事を思い出して、「それ、訓練になりませんよ。ジヤーでやりましたけど悪人みたいでしたよ?」と聞き返す。


これにスイッチの入ったクラフティはこう言うところがセムラの兄なのだろう。


「確かに模擬戦がしてみたいね!雲平君!人集めをしてくれるね!?」


そんな事を言い出した。


結果…翌日には巣篭もりは強制終了になり、再びレーゼに集められる。

明らかに不機嫌なセムラと活き活きとするクラフティ。


再会を喜びたいのにそれを許さない空気に、ミスティラが何があったかを聞いて頭を抱える。


「シュートレン、育児をきちんとやれ」

「はっはっは。………すみません」


「お兄ちゃん!」

「クモヒラ!」

「私らを後に回すな!」


雲平は自身に飛びつくアグリ達を抱きしめて、「皆!ただいま」と言ってアグリの匂いを嗅ぐ。


「お兄ちゃん?私臭い?」

「ううん。アグリが安倍川の匂いになってたか確認したんだよ。今回はアグリとミスティラとオシコが大変だったんだよね」


「は?どう大変だったんだよ?」

「ミスティラなんて一気に大人でつまづいていたぞ」


「大変だったんだよ。ミスティラは死ねない魔法みたいなのを解除して、ミスティラがマフィンさんに会うときに結婚できるように調整したし」

「マジか」


「オシコなんてニョトーの力で魔物化してるから、人に戻してミスティラの一個下にしたし」

「それはやべー奴だな」


「で、アグリが1番大変だよ。俺の妹にするから、生まれた病院から、赤ちゃんの時の思い出とか全部イメージして用意したんだよね」

「あれ、驚いたけどそんなに大変だったの?ごめんね」

「何言ってんの?アグリの為なら大変でも大変じゃないよ。面倒臭いから父さんの事とか見捨てようかとおもったけどね」


これには遠くで聞いている金太郎が、「え?まだ雲平って反抗期なの?」と言って肩を落としている。



話していると駆けてくる足音がして、「雲平!!」と言ってあんこが飛びついてきた。

雲平は嬉しそうに「あんこ!」と名前を呼ぶと、あんこはもう泣いていて「やっと会えたよ!」と言う。


「うん。どう?」

「アレは完全にやな夢に出来たよ。今もジヤーで頑張ってるよ!」

そういうあんこは確かに立ち振る舞いが違う。


「マナー訓練とかしてるの?」

「そうだよ。大変だけど雲平が頑張ってるから、負けられないって思っていたの!」

「そっか。元気そうでよかった。あんこの為にただ病気が治ったり若返ったりするんじゃなくて、本気で肉体の時間を6年前に戻したんだよね。やってよかったよ」


あんこを遠目に見ているシェイクとホイップは2人して嬉しそうに頷いた後で、お互いを睨み合っている。


雲平が次にシェイクとホイップと話そうとしたところで、いよいよ我慢出来ないクラフティが「雲平くん!それは後にしてくれよ!」と言い出した。


何も知らないアチャンメとキャメラルは、「なあクモヒラ、殿下ってなんであんなウキウキしてんの?」、「てかなんで鎧姿なんだよ」と聞く。


アチャンメとキャメラルの言葉に雲平が「俺は観客で、クラフティさんが、皆対クラフティさんの戦いがしたいんだって」と説明をする。


「…何ぃ!?」

「この人数とか!?」


アチャンメとキャメラルはクラフティの戦闘力を知っているので青くなるが、クラフティはおかまいなしに「さあ皆、戦闘準備だよ!」と言った。



・・・



もうこの後はグチャグチャだった。


「王子!ホイップ!行くぞオルァぁぁっ!」

「アチャンメは右からだ!私も右!王子とホイップは間埋めろ!」


アチャンメとキャメラルの言葉にシェイクとホイップは果敢に攻め込むが、クラフティはニコニコと涼しい顔で剣を弾く。



離れたところではアグリと瓜子がスタンバイをしている。


「アグリ、タイミングよ」

「うん。お母さんにあわせるね!」


アチャンメとキャメラルが翻弄しても惑わされないクラフティは、2本目の剣でシェイクの剣を弾いて蹴りを放つ。


一瞬の隙。そこをアグリが瓜子の指示でウォーターガンを放つが、クラフティはアースランスでそれを防ぐと、お返しとばかりにアースボールを放つ。


「アグリ!メロン!」と言ってアイスウォールで防ぐホイップは本当に頼もしい。


「楽しいね」と言って涼しい顔をするクラフティの後ろで、「おお、怖いですな」と言って奇襲を仕掛けた金太郎。


「くっ!?アゴール!?」と言って必死に回避したクラフティだったが、鎧には刀傷が付いていた。


金太郎はドヤ顔で「へへっ、一本は一本ですぜ?」と言うと、クラフティは剣を下ろして「参ったよ」と言って1回戦目が終わった。

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