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彼と彼女のデザイア。  作者: さんまぐ
地球/シェルガイ-やり直した世界。

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146/155

第146話 大丈夫です。何も問題ないですよ。

うちのそばに来るとカレーの匂いがする。


「ただいま。バニエさん、ちょっといい?」


玄関で言うと「遅かったですね。どうされました?」と言いながら、エプロン姿のバニエさんが来てセラさんを見て「えぇ!?」と驚く。


「バニエさん?セラさんを知ってるの?お墓に急に現れて、歩けそうもなかったから抱きかかえたら寝ちゃったんだ。布団敷いてもらえます?後はシェルガイに帰りたかった時の事とか頼んでいいですか?」


俺の言葉に真っ青なバニエさんは、「帰りたい?えぇ?なんで?」と言いながら、布団の用意をしてくれたので、下ろそうとしたらガッチリと掴まれていてセラさんは俺を離してくれない。


「バニエさん、剥がして」

「出来ませんよ…」


必死に拒絶するバニエさんに、「なんで?」と聞くと、バニエさんは「……うぅ…あぁ……」と言った後で「怖がって起きちゃうかも知れませんよ」と言った。


「確かに、仕方ない。座りながら抱くか。なんか妹のよもぎを抱いてた時みたいで懐かしいや」

「雲平殿、本庁にセラさんの事をご報告したいので、ご夕飯は少し待てますか?」

「はい。平気ですよ。バニエさんはセラさんを知ってるの?」

「いえ、全然!知りません!彼女と私は赤の他人です!」


バニエさんはよほど慌てていたのか、エプロン姿で出ていってしまう。


オウムの鳥太郎が「雲平、ラブラブだな」と、どこで仕入れたのかわからないことを口走るし、亀太郎も珍しく俺の横に来てのんびりしている。


なんか良くないとは思いながらも、俺の肩に頭を乗せて胸に顔を埋めて、苦しそうなセラさんを少し動かすと、セラさんは涙を流して眠っていた。


「大丈夫です。何も問題ないですよ」


俺はそう言って頭を撫でる。


それでもセラさんは泣いていて、何度も「大丈夫ですよ。ここには怖いものもありません。すぐにシェルガイに帰れますからね」と言いながら頭を撫でてあげて、背中を叩きながら「怖くないよセムラ」と言ったところでセラさんが目を覚ました。


「あ、セラさん。起きましたか?」

「雲平さん?今私の名を?」

「ごめんなさい。よく妹のよもぎをあやした時のことを思い出していたんです。よもぎも名前を呼びながら撫でると落ち着いてくれたんです」


「そうなんですね。それで私の名を?」

「はい。何度も怖く無いですよセラさんと呼びました」


この言葉にセラさんは顔を暗くして、「ありがとうございます」と言った。



・・・



セラさんは不思議とトイレの場所なんかを知っていて、自分の家のように振る舞う。


そして鳥太郎が「よく来たな!嬉しいか?」と話しかけるのを見て、「シュザーク様?」と声をかけた。


「セラさん?シュザーク?」

「あ…昔飼っていた鳥に似ていたもので…つい」

「そうなんですね。んー…」


「雲平さん?」

「鳥太郎よりシュザークの方が格好いいですね。お前は鳥太郎とシュザークならどっちが良い?」


鳥太郎は薄情にも「シュザーク!」と返事をした。


「じゃあお前はシュザークだよ。セラさん、ウチには後3匹居るんだけど、よかったら名前をつけてくれませんか?」

「え?はい」


セラさんは蛇太郎を紹介したら「スェイリィ」で、鯉太郎は「ビャルゴゥ」、亀太郎は「グェンドゥ」と名付けてくれた。


「良い名前をありがとうございます」

「いえ、お役に立てて良かったです」


セラさんはそのままグェンドゥを見て「あなたは雲平さんを守ってくださっていたのですね?」と言った。


守る?何のことだろう?まあいてくれると寂しくないからかな?



・・・



2時間してバニエさんが頭を抱えて帰って来た。


「バニエさん、セラさん起きたよ」

「それは良かったです。初めまして、雲平殿のお世話をしています。バニエと申します」

「セラです。お世話になります」


この時、俺の中には何故かセラさんに膝を付いてお辞儀をするバニエさんが見えた気がした。


バニエさんは本庁に言いに行ったら、急な行き来はセラさんの身体に良くないから、数日預かってもらえないかと言う話だったらしい。

後はセラさんに近くにいてもらって、俺のシェルガイの空気に慣れさせる話も出ていた。


「バニエさんのカレーは美味しいですよ」

「雲平殿、照れますよ」


カレー皿を持つ俺と、お玉を持つバニエさんを見てセラさんが、「うふふ。そうやって何日もお二人で過ごしたんですか?」と聞いてくる。

なんかセラさんの目が怖い気がしたし、バニエさんは身震いをしていた。


なんだろう?この頃から俺はセラさんから目が逸らせなかった。


食後の片付けを手伝った俺は、「じゃあ帰ります。セラさん、バニエさんとこの家ですけど、自宅のようにしてくださいね」と声をかける。


「え?」

「雲平殿?」

「そりゃあバニエさんが男の人で、セラさんは女の人で2人とも不安でしょうけど、セラさんはウチよりこっちが好きですから仕方ないですよ」


「え?」

「雲平殿?」

「ほら、シェルガイの人通し仲良くしてください。俺は帰りますね。明日は土曜日だから夕飯だけ来ますね」


俺の言葉にバニエさんは「雲平殿、あなたの体調を確かめる事も必要なので、セラさんといてください」と言い、確かにと思った所にセラさんも「雲平さんのご自宅が良いです!」と言ってついてくることになった。

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