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彼と彼女のデザイア。  作者: さんまぐ
シェルガイ-最良へ。

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138/155

第138話 全人類の協力があれば最良に辿り着くぜ。

雲平が倒れると皆正気に戻った。

慌てるセムラには人払いをさせてセムラのベッドで雲平を眠らせると、ニョトーは神獣武器に向かって「で?どうなった?模か?」と聞く。


「シェルガイだけならまだやり直しはきいたが、地球にも被害が出ている。地名はわからないが数カ所が消えた」

「もう模になってるよ」


金太郎とバニエが確認を取ると、地球では日本以外のある程度の小ささの諸島と半島と呼ばれる場所が、みな大地震と共に沈没していた。



「え?なんで?」と返すあんこの右手はシェイクがガッチリと掴み、左手はホイップが掴んでいておかしな事になっているが、それどころではなかった。


「安倍川雲平が更に神化を始めた。それも良くない方向でな。今のままだと感情のままに暴れる神になる」


ニョトーの言葉に、あんこが「神様?」と聞き返すと、雲平がデザーブレイドを手に入れるために半神半人になった事を告げて、「もう人とは半分違う存在だから、人の世界のアレコレを気にするなと教えたが、安倍川雲平は人として怒り、神として怒りがきっかけになって能力が発露した。さっきの地震はそれで、地球はある程度の小ささの諸島や半島なんかが消えて、シェルガイはコジナーがゴッソリと消えた」と説明をした。


金太郎は「これで終わりですかい?」と質問をすると、ニョトーが「まあ無理だな。破壊の神に片足を突っ込んだ安倍川雲平は、目覚めたらまた破壊の力が暴走をする。次はレーゼかジヤーか、地球なら大陸が沈むかもな」と呆れるように言うと、金太郎は雲平を見ながら「それって止めるには、雲平を殺すしかないんですか?」と確認をする。


「怖いな。お前は父親だろう?」

「アイツが悲しむことにはしたくないんですよ。それにアイツならこれを望みます」


金太郎の顔は普段のダメ親父ではなかった。

背後では皆の悲痛な声が聞こえてきて、セムラは顔を覆って泣いてしまっている。


部屋中に漂う悲痛な空気に「やだやだ」と言ったニョトーはアグリを見る。


「はい?」

「お前じゃない。腕のお魚ちゃんを見てるんだよ」


ニョトーはそのままシェイク、パウンド、カヌレを見てから「お魚ちゃんの未来視の能力は知ってるな?」と聞く。


皆が頷くと、ニョトーは「話が早くていいや。とりあえず神と違い、使いレベルのお魚ちゃんの未来視は、道程を話すだけで悪い方に進むだろ?だから何がなんでも最良を守る為に我慢してたんだよ」と言った。


アグリは「え?」と言ってビャルゴゥリングを見て、ミスティラが「性悪?」と聞き返す。


ミスティラの性悪呼びを聞いたニョトーは、笑いながら「お魚ちゃんってば性悪なんて呼ばれてんの?キッツー」と言って更に笑う。


「まあ色々見えて疲れちゃって、万年不機嫌で八つ当たりもしちゃえばそうなるか」と言ったニョトーは、「最良の結果は神の俺様ですら言うとダメだが、道程…この場合は入り口までなら話せるからよく聞けよ」と言った。


金太郎が「最良?」と聞き返し、ミスティラが「最悪の最良ではなく?」と聞くと、ニョトーは「まあ今現在の最良だな。最悪の最良ではなく、ほぼ間違いなく最良だよ。まあでも無対価ではないけどな」と言った。


「教えてくれ!それならば雲平は助けられるのか?あやつの望む人の幸せは保証されるのか?」

「まあな。その為にお魚ちゃん達の担い手は全員居るわけだし、後は安倍川雲平の覚悟と能力、そして全人類の協力があれば最良に辿り着くぜ」


ニョトーは人の悪い笑顔でニヤリと笑った。


「どこから話すかな。象さんが余計な事を口走ったけど、安倍川雲平と安倍川かのこの力の根源は同じなんだな。安倍川かのこは魔法力を乗せた言葉、別の言い方じゃ言霊を飛ばして人を動かした」


これにはバニエ達が頷いて「先程は助かりました」と言った。


「安倍川かのこ、お前がその力に目覚めた理由はわかるか?まあわかっていそうだが言うぞ?お前は息子をシェルガイに送りたくなかった。自分の言葉で思いとどまらせたかった。それを考えて願ったのは一度や二度じゃない。再会までの約七年を何度も悩み悔やみ願った」


かのこは「はい。おっしゃる通りです。私も何処かそうじゃないかと思いました」と返事をする。


そのまま眠る雲平を見て「ならウチの雲平の力の源というのも…」と言うと、ニョトーが「おいおい、先に話すなって」とかのこを止める。


「安倍川雲平は孤独の中で、自身がシェルガイに赴いたらと思っていた。それこそ無意識化から創作物を見る中でもずっとだ。物語を見て、それがシェルガイならと思っていた。初めは意識したかも知れないが、ここ数年は無意識どころの話じゃない。呼吸と同じように思っていた。孤独を埋めるためのそれが安倍川雲平の力の源だ」


合わせるように、ビャルゴゥが「元々のシェルガイ適性の高さもあったから実現した事だ。そうでなければ子供の妄想でしかない」と言うと、グェンドゥが「アグリ、雲平は君と話す時に、『昔から』と言っていたのを覚えているかい?」と質問をした。


アグリは「グェンドゥ様?」と言って頷いてから、「…うん。お兄ちゃんは日本だと言わないけど、シェルガイだと言ってました」と言う。


「それが力の源だ。安倍川雲平はシェルガイにいる時は異常さを見せたはずだ。その中で顕著なのは、安倍川アグリを今川よもぎではなく安倍川アグリとして、昔から妹だったと思い込み、井村あんこを泣き虫と決め付けていた。簡単に言えば思い込みを力に変える。だからこそ魔法を生み出して広める事も出来た」


シェイクが「さっきの民衆やアゴール達をおかしくしたのは?」と質問をすると、シュザークが「あれこそ安倍川雲平の神格の一つだ。アイツはなんだかんだ言っても、セムラ・ロップ・レーゼの夫となってレーゼの王になる事も覚悟をしていた。それどころか井村あんこを泣かせない為、幸せにする為に、おかしな事を言う連中を排斥する為に、シェルガイの王になろうとしたからこそ目覚めた、【民衆支配】と【思考誘導】の能力だ」と言った。


この説明を後ろで聞いていたニョトーが「本当、俺様が可愛い神様に見えちゃうぜ」と言い、ビャルゴゥが「太々しい奴だ」と突っ込みを入れた。


「それはわかりました。どうやって雲平さんを助けて、最良に導けば良いのですか?」


セムラの言葉にニョトーはニヤリと笑うと「言ったろ?人類全員の努力と安倍川雲平の力が必要なんだよ」と言ってするべき事を説明した。

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