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彼と彼女のデザイア。  作者: さんまぐ
地球/シェルガイ-最悪の最悪へ。

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134/155

第134話 僕自らが火魔法で焼き殺してくれる!

あんこはかのこの胸で泣いていた。

顔中のアザが痛々しい。雲平がゲートを閉じたから、ヒールが使えない為に瓜子は顔の傷を消せずにいた。


かのこが「お婆ちゃんが代わりたい」と言うと、あんこは声を上げて泣いた。

アグリに酷い事を言ってしまった。カヌレが死んだらどうしよう。汚れてこの世界に居場所がない。きっと噂になる。もう死にたいと言ってずっと泣いていた。


そこに「入ります!」と言って入ってきたのはホイップで、「ホイップくん?」とあんこは言いながら自分の顔を思い出して、かのこの胸に顔を埋めて「見ないで!」と言い、かのこは「ホイップくん。今日はダメよ後にして?」と言ったが、「いえ。かのこお婆様もご同席ください」と言ったホイップは、あんこの前で膝をついて「あんこ、敵襲で怪我をした事を聞きました」と言う。


あんこは涙声で震えながら「見ないで。言わないで」とかのこの胸で言うが、ホイップは「今だから言わせてください!」と言うと、あんこの手を取ってアザだらけの手を見て「あんこ、僕に支えさせてください」と言った。


あんことかのこが「え?」「ホイップくん?」と聞き返すと、ホイップはしっかりと「あんこ、僕の妻になって欲しいんだ」と言ってあんこに指輪を見せた。


「は?え?私…汚されて」

「僕は気にしません。ジヤーに来てください。幸せにします。支えます。かのこお婆様が立会人です!」


ホイップは勝手にあんこの手に指輪を嵌めていた。


病室の外は、中から聞こえてくる超展開に度肝を抜かされていて、アグリが「え!?ホイップがあんこお姉ちゃんに?」と驚く中、花束を抱えたシェイクがやってきて、あんこの両親に挨拶をした後で「アグリ?ホイップがどうしたんだい?」と聞く。


アグリが「シェイク様!ホイップがあんこお姉ちゃんに結婚しようって言いました!」と報告すると、鬼の形相になったシェイクが「待て!」と言って病室に入っていく。


アグリ以外は「これはまさか?」と超展開を疑ってしまう。


ホイップはシェイクを見て「兄上、遅かったですね」とごく普通に言う。


「アチャンメ達に花屋の場所を聞いていたんだ。お前は何をしていたんだ?」

「あんこは僕が支えます。あんこに妻になって欲しいと申し出ていました」


ホイップにかつてのオドオドした態度はなかった。


「ダメだ!」


強くダメ出しをしたシェイクをみて、「私が汚れてるからだ…」と言って、またかのこの胸で泣きながらホイップのくれた指輪を外すあんこ。


「あんこ!泣かないでくれ!まずはこの花を見て、少しでも癒されてくれ!シェルガイの花は持ち込めない決まりだから、こちらで買ったんだ!あんこに似合う花を用意した!」


シェイクはあんこを振り向かせて、豪華な花束を渡して「足りなければ言ってくれ!いくらでも買ってくる!」と言うシェイク。


思わぬ勢いに「え?シェイクさん?」と聞き返すあんこに、「あんこ、ホイップはダメだ。僕が君を支える。癒してみせる!僕の妃になってくれ」と言ってアザだらけの顔を撫でて抱きしめた。


「え!?えぇ!?シェ…!?シェイクさん!?」


シェイクは驚くあんこを無視して、かのこに「かのこ殿、ホイップより僕ですよね?異論はありませんよね?」と聞き始める。


かのこはにこにこと、「お婆ちゃん嬉しいですけど、どうして?ホイップくんはあんこちゃんと仲良しですけどシェイクさんとは…」と聞くと、シェイクは「僕はジヤーにあんこが来てくれるのを楽しみに国を良くしていました。あの笑顔に癒されるうちに惹かれていたんです!」と言った。



・・・



あんこは真っ赤で処理不能になっている。


「兄上!兄上はあんこの事故を知ったフレジェや、求愛をしてくる令嬢の家族から、国王としてあんこを妻に迎えられないから諦めろと言われていました。その通りです。諦めるべきです」


割り込んだホイップはシェイクからあんこを奪うと、「あんこ、兄上ではダメだ。あんこを幸せにできない。くだらない憶測や誹謗にあんこが晒される。僕なら守れる。ジヤーを捨ててレーゼでも構わない!僕と暮らそう。慎ましやかな家庭で幸せになろう!僕と2人が不安なら、かのこお婆様も招いて一緒に暮らしましょう!」と言う。


真っ赤なあんこは「ホイップくん?シェイクさん?」と言って2人の顔を見ている。

真剣なイケメン2人に見つめ返されて、あんこは更に処理不能になる。

さっきまで死にたかったはず、消えてしまいたかったのにその気持ちはすっかり鳴りを潜めていた。


病室のドアは開けられていて、アグリが真っ赤な顔で「うわー告白を初めて見たかも」と言っている。瓜子はあんこの母に「おめでとう玉の輿よ!」と言っていて、あんこの父母は「うちの娘が?」、「王子様から?」と言って中を見守る。


「あのね…。私汚されちゃったんだよ?歯だって二本も折られて顔も沢山殴られて…」

「雲平がコジナーのゲートを閉じたからだね。早くシェルガイで治そう。ミスティラやセムラ姫にも頼んである。メロンにも頼むからあっという間だよ」

「そうです。まずは治そう。あんこ、今からシェルガイに帰ろう」


「えぇ?私汚されちゃった…」

「関係ない!」

「そうだ。僕はそんな事は関係ない!」


ホイップとシェイクはものすごい圧であんこに迫り、あんこは困惑の中、かのこに「お婆ちゃん」と言うが、かのこは「好きな人を選んで幸せになりなさい」と言って笑う。


その間にホイップは「兄上、フレジェ達がうるさいので、兄上はジュレ令嬢を妻にお迎えになってください。あんこは僕が幸せにします」と挑発的な目でシェイクを見る。


シェイクは青筋を立ててホイップを見ると、「子供の分際で!お前にあんこを幸せにできる道理はない!僕こそがあんこを幸せにする!フレジェだ?ジヤーの決まり如き、僕が王の立場で変えて見せる!あんこを悪く言う輩は誰でも一律で捕らえて僕自らが火魔法で焼き殺してくれる!」と言うと、再度あんこに「僕の妻になってくれるね?ホイップではない。僕こそが君を幸せにするよ」と言った。


そこに「やべぇ!助けてくれ!」、「アンコ!アンコの出番だ!お前じゃないとダメだ!!」と言って、アチャンメとキャメラルが病室に飛び込んできた。

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