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彼と彼女のデザイア。  作者: さんまぐ
地球/シェルガイ-最悪。

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125/155

第125話 ここにゲートがあります。

雲平達の捜索の甲斐もあり、原因はようやく見つかった。

群馬県伊勢崎市にある、とある民家のリビングにコジナーと繋がるゲートが生まれていた。


発見が遅れたのは、そこの家主夫婦が一人息子の死でおかしくなっていて、周囲と隔絶してしまっていたからだった。


自慢の一人息子が遠い異世界で困っていて、金が必要と言われた両親は先祖の土地を手放して金策をしようとした。そんな矢先に飛び込む息子の訃報。


それも金太郎とバニエの判断で、猪苗代湖に魔物が現れた原因にもなり、半魔半人としてシェルガイ人を殺して回った存在で、討つしかなかった事を包み隠さず伝えると両親は壊れてしまい、手入れの行き渡っていた玄関や庭先はあっという間に荒れ果てて、近所に家の中を見せつけるような特注の窓ガラスが自慢だった部屋は、一日中カーテンで覆われて中が伺えなくなっていた。



そう。

国府台帝王の生家にゲートは出来ていた。


明らかに株分けされた国府台帝王が原因だった。


群馬県警に連れられバニエと金太郎、雲平とセムラで顔を出すと、雲平とセムラは「ここにゲートがあります」、「はい。気配を感じます」と言った。


家宅捜査の令状を持って中に強行すると、リビングにゲートがある。

暴れた国府台帝王の両親は警察官に取り押さえられていた。

そしてゲートからはシェルガイの空気が漏れ出ていた。


「ありやがった」

「これが原因…」


ここで国府台帝王の両親は目を剥いて雲平を睨みつけて、「お前が息子を殺したのか!」、「大切な一人息子だったのに!!」と怒鳴ってきた。


誰も雲平が殺した事は伝えていない。

それなのに国府台帝王の両親は知っていた。


「何を…」

「今も息子が教えてくれている!力と女!人の身で手に入らなかったものを、手にしたお前が剣で斬りつけてきた!」

「身体を半分にするなんてあんまりだ!」


雲平は聞きながら情報が古い事を気にしたが、問題はそこではない。

聞き返す前に「今も息子が怯えている!今度はその剣で息子を殺すのか!?」と怒鳴りつける。


「え?息子さんは何処にも…」

「居るじゃないか!ゲートから帝王の声が聞こえてくる!今も怯えている!あの子は心優しい子!私らを置いてシェルガイに行って後悔した気持ち、日本に帰りたい気持ち、そんな事を全部教えてくれた!!」


だが雲平やセムラには聞こえない。


ずっと二度も殺すのかと聞こえてくる中、セムラはペンダントを握り雲平がサモナブレイドを構えてゲートを切った。


「帝王ぅぅぅっ!!」

「嫌ぁぁぁっ!!?」


異常な力で暴れていて、数人がかりで取り押さえられながら絶叫を放つ両親。


ゲートは一度霧散したが5分もすると元の形に戻る。


「ゲートが…」

「戻った?」


「ざまあみろ!息子が言ってる!今度こそお前達を苦しめてやる!とな!あははははは!!!」


その後何度も雲平はゲートを切り、しまいにはゲートに剣を突き立ててサンダーデストラクションを放ってみたが、ゲートは復元されていた。


仕方なく取られた処置は、国府台邸宅の差押えと国府台夫妻の身柄確保だった。

だがこうなれば噂が噂を呼び、国府台邸宅がシェルガイ適性を目覚めさせる聖地だとなり、日本各地から様々な人間が訪れる事になった。


体制を整えるべく安倍川家に戻った雲平は頭を抱えて唸る。


これがピークに達すると、空を飛んで空の上でセムラの腕を堪能する。

普段は同衾で済ませるがおそらく今日は飛ぶと誰もが思っていた。



・・・



「雲ちゃん、シェルガイに行きましょう。向こうで象神様や蛇神様にもお話を聞きましょう」


かのこの言葉でゲートを潜る雲平は直通でグェンドゥの神殿を目指していて、「お前、本当何でもありだな」と金太郎に驚かれていた。


「こんにちは象神様」

「こんにちは安倍川かのこさん」


かのこはグェンドゥに話しかけると、「象神様のお友達の事を聞きたいんです」と言った。


「んー…ビャルゴゥの事だよね?いいよー」

「コレって鯉神様がみた最悪ですか?」

「ストレートに聞かれて困るなぁ。最悪かは言えないけど、雲平がゲートを見つけて何も出来ないことがわかって、人々がゲートに殺到するよね。爆発的にシェルガイ適性に目覚める人が増えるよ」


グェンドゥが暗に最悪になったと言っていると雲平は思っていた。


「困りますね。こういう事なんですね。こうやって会話から何かを選ぶと、その先がよくなくなる。象神様は最悪の最悪については鯉神様と話されたんですか?」

「ビャルゴゥは言わないよぉ」


「なら象神様の思う最悪は何かを聞く事は出来ますか?」

「かのこは怖いなぁ」

「うふふ。もうお婆ちゃんで、老い先短いから気になってしまいますのよ」


「成程ね。かのこの思う最悪は?」

「ここでは口にする事も憚れる内容です。地球とシェルガイ、どちらの人も全滅するのは最悪とは呼ばないですよね?」

「そうだね。死滅なんてものは終われば何でも、終わりよければすべてよしだからね」


「じゃあ鯉神様の最悪って生き地獄ですね。象神様は?」

「君、怖いね。実は先々まで見えてない?」

「見えてませんよ。時間がたくさんあるから色々考えちゃうだけです」


かのこの言葉にグェンドゥは「雲平と一緒だ」と言ってしまったが、皆が聞き返す前に「僕の最悪も生き地獄って言うかな?やだよね。手足を失って生きるとか、食べるものもない世界に生まれてくるとかさ」と言って誤魔化した。


「ごめん。スェイリィがかのこに会いたいって言うから、すぐ行ける?スェイリィから雲平に話があるってさ」


グェンドゥは言うだけ言うと寝たフリを決め込んでいた。

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